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不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

ユーミンレポート全楽曲目次

2019.3.19⇨2020.1.21更新

日本人の心の情景を変えたシンガーソングライター(改訂版)

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―研究レポート;ユーミン楽曲の和声分析と音楽的クオリアが紡ぐ作曲の手法―

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6和声技法事例集

ユーミン楽曲の独自性を学習するためだけではなく、ユーミン楽曲に使われている手法を通じて、ポピュラー作曲技法(主に和声進行)基礎段階からの発展利用に活用頂けたら幸いです。

ユーミン楽曲の半数近くがこうした実験的楽曲であり、そのもう半数は誰もが口ずさめるスタンダードメロディである、というこのバランスがまた見事ですね。

なお、コード進行体系の分類については、前回のビートルズ楽曲分析において行なった下記分類を最初は入り口としました。

下記にその時の分類を列挙しておきます。

 

分類I;

同主調の和音を混合して用いられた楽曲(I、III♭、IV、IVm、V、VI♭、VII♭系)他

例;C  |E♭ |F  |A♭ |

cを主音としてCメジャー、Cマイナーのダイアトニックコードを組み合わせて用いた楽曲構造を持つ形態をさす。ユーミン楽曲の中にも見られるが、明らかにこの考え方で収まってしまう展開については割愛した。

 

分類II;

各種7thコード(各音度調の属和音等)が用いられた楽曲(II7、VI♭7、VI7、VII7)他

例;CM7  |B7  |E7  |A7  |Dm7 G7 |CM7

いわゆるセカンダリードミナントコードなどを用いている形態をさす。ビートルズの場合はランダムに用いた形跡が感じられたが、ユーミン楽曲の場合は意図を明らかに感じたのでビートルズ色のない作風で特徴的な事例は可能な限り列挙した。

 

分類III;

クリシェの手法が応用された楽曲

例;Cm  CmM7 |Cm7 Cm6  |

前の和音の一音を順次変化させて紡いでいくコード進行の形態をさす。これはビートルズの特徴的進行というよりも、ポップミュージックの特徴的進行であるので、これらの進行については、今回ほとんど割愛している。

 

分類IV;

ブルース7thコード使用曲(分類IIと同系統であるが、ブルースという音楽性を背景に持っていると感じられる楽曲群)

例:C7  |C7  |F7  |F7  |

ビートルズの場合はロックンロール、リズム&ブルースがイメージされた作品が多いが、ユーミン楽曲のブルース7thは、ポップスとブルースの中間的な響きがする独自なものである。ブルースの匂いを洗い流して淡いカラーにしたような7thコードを適宜事例としてピックアップした。

 

分類 V;

分類IからIVのケースを複合利用する等その他の用例 

 

これらの分類によって「ビートルズのコード進行」の特殊性と、ジャズ的ハーモニーのポップス化を成し遂げた事例としてのビートルズの実験的アプローチと成果、実績は改めて明らかにできました。

 

ユーミン楽曲における特殊進行の多くは明らかに分類Vまたはそれ以外のタイプです。ビートルズにおける分類Vの多くは、従来の機能進行に属さない、というよりも「知っているコードタイプを連鎖させた結果生まれた偶然的ともいえる進行」「ギターコードの運指の類似性や簡易移動によって作られる声部進行が特殊性を生み出した結果」にとどまっていましたが、ユーミン楽曲のコード進行は意図的であり、ビートルズ的な音楽にとどまらない明らかなジャズ的精神が存在しています(ビートルズ的なアプローチを避けていた、とも受け取れます)。

ユーミンがビートルズ的作曲技法の感覚をすでに熟知しており、それを越えた作風をデビューアルバムから確立していることは当レポートからもご理解して頂けると思います。 

 

なお下記のコードアレンジ事例の部分は、必ず原曲の該当部分を各位が直接聴取しながら行なうことを推奨します。そしてこれらの進行表記は、発表当時のものであり、現在に至り解釈は進行していると思いますので、ライブ版の演奏や、最新の各曲の演奏状態を各位自身の耳でチェックしてその変化、進化を確認してみてください。

また、下記の和声進行を発展させ、各位の音楽的なクオリア=聴いた時の印象と心象の具現化、を信じて自在に応用できるようになることがこの和声分析の目的です。

 

<アルバム目次>

アルバム1;『ひこうき雲』(1973) ページ1 ページ2 ページ3

アルバム2;『MISSLIM』(1974)

アルバム3;『COBALT HOUR』(1975)ページ1 ページ2

アルバム4;『14番目の月』(1976)ページ1 ページ2

アルバム5;『紅雀』(1978) ページ1 ページ2 ページ3

アルバム6;『流線形'80』(1978) ページ1 ページ2 ページ3

アルバム7;『OLIVE』(1979) ページ1 ページ2

アルバム8;『悲しいほどお天気』(1979)

アルバム9;『時のないホテル』(1980) ページ1 ページ2 ページ3

アルバム10;『SURF&SNOW』(1980)

アルバム11;『水の中のASIAへ』(1981)

アルバム12;『昨晩お会いしましょう』(1981)  ページ1 ページ2 ページ3

アルバム13;『PEARL PIACE』(1982) ページ1 ページ2

アルバム14;『REINCARNATION』(1983) ページ1 ページ2

アルバム15;『VOYAGER』(1983) ページ1 ページ2 

アルバム16;『NO SIDE』(1984)

アルバム17;『DA・DI・DA』(1985) ページ1  ページ2  ページ3

アルバム18;『ALARM a la mode』(1986) ページ1 ページ2

アルバム19;『ダイアモンドダストが消えぬまに』(1987) 

ページ1 ページ2 ページ3

アルバム20;『Delight Slight Light KISS』(1988)

アルバム21;『LOVE WARS』(1989)  

アルバム22;『天国のドア』(1990)

アルバム23;『DAWN PURPLE』(1991) ページ1 ページ2 ページ3

アルバム24;『TEARS AND REASONS』(1992) ページ1 ページ2 ページ3

アルバム25;『U-miz』(1993)

アルバム26;『THE DANCING SUN』(1994)

アルバム27;『KATHMANDU』(1995) ページ1  ページ2

アルバム28;『Cowgirl Dreamin'』(1997)

アルバム29;『スユアの波』(1997)

アルバム30;『Frozen Roses』(1999)

アルバム31;『acacia』(2001) ページ1 ページ2

アルバム32;『Wings of Winter, Shades of Summer』(2002)

アルバム33;『VIVA! 6×7』(2004)

アルバム34;『A GIRL IN SUMMER』(2006) ページ1 ページ2

アルバム35;『そしてもう一度夢見るだろう』(2009)

アルバム36;『ROAD SHOW』(2011) 

アルバム37;『POP CLASSICO』(2013)

アルバム38;『宇宙図書館』(2016) ページ1 ページ2

 

==コーヒーブレイク〜M-Bankロビーの話題== 

これが一番衝撃的でした。作詞作曲に触れる話は、ちょっと"それ載っけていいの??"って思いました。

ルージュの伝言 (角川文庫 (5754)