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音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

8.ユーミン楽曲からの発展技法と不定調性論3 (ユーミンレポート公開シリーズ)23~★★★

日本人の心の情景を変えたシンガーソングライター(改訂版)―研究レポート;ユーミン楽曲の和声分析と音楽的クオリアが紡ぐ作曲の手法―

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それぞれの楽曲レポートは旧ページで更新をしています。アルバム目次ページからリンクしてみてください。 ユーミン楽曲はこちらからopen.spotify.comopen.spotify.com

 

 

用例;

イントロ

CM7  |A♭m7(#5) |CM7  |A♭m7(#5) |

Aメロ

Gm7 |Am7  |Gm7 A7 |Dm7 |

Gm7 |Am7  |B♭M7 Am7 |Dm7 |

Bメロ

Cm7 F7|Em7  |Cm7 Dm7 |B7 E7 |

サビ

AM7 |DM7 |Dm7 Em7 |AM7 |

AM7 |CM7 |Cm7  |GM7 |

間奏 A7sus4 |A7sus4(フェルマータ) |→Aメロ

 

これまで121の事例を見てきた方は、きっとそれぞれのコード進行ににんまりしながら、その音楽的脈絡を頭に描くことができるはずである。しかし、それだけでは真似にとどまってしまう。

各和声進行に音楽的脈絡を作りながら、自分の頭の中のストーリー展開に説得力を持たせるためには、この作品を書くどこかの時点で、歌詞や、全体で何が言いたいのか、というストーリーを探れていなければならない。ときには作っていくうちに、きっとコードの響きがその音楽的脈絡に添わなくなってくる場合も出てくるだろう。

そこでもくじけず柔軟に変更を加え、安易な機能感ではない音楽の展開を、自身の感じる音楽的脈絡によって紡いでいっていただきたい。

 

音楽はこの音楽的脈絡の本人にとって無理のない連鎖である。コード進行の存在によって、あまりに簡略化されてしまった音楽制作をわざと旧時代のやり方に戻していると言われるかもしれない。しかし時代がコードネームシステムを得て、誰でも音楽を楽しめるという意識になって、音楽を行う人達の意識や知覚レベルが向上したのだから、この段階で、コード進行を覚えた人達の学習ステップの先に、クラシック音楽的作曲観念の現代的解釈を持ってきても良いのではないだろうか。ヴォイシング、声部進行で考える音楽である。そのあたりはこのブログが詳しい。

 

===== 

下記の進行を見て頂きたい。

例;

:C   |G  |Am7   |F  |

C   |G  |F   |G  :|

https://rechord.cc/J7vRxPMMP_A

オーソドックスなポピュラーミュージックのコード進行である。もし作曲時にこの進行ができてしまったら、その時点でボツにするかもしれない。またはメロディの一部分を変えてコード進行がオーソドックスにならないよう努めるかもしれない。しかしもしあなたの音楽的なクオリアが作り上げたメロディがこの進行を作り得たのなら、それは決してありきたりでオーソドックスではなく、今のあなたにとって全く新しい世界であるはずだ。

その時々の独自性の追求をコードネームシステムが阻害している側面がある、というだけのことだ。コードネームシステムが「当たり前の進行だよ」というようにささやきかけてくるのはあくまで記号上の類似性の問題であり、それはコードネームシステムがそういう分類性があるからというだけである。

 

ここでは、この進行に新たな意識の展開挿入をすることで、コード進行の再設定をしてみようと思う。メロディについては、各位で脈絡のある形態に整える実習として取り組んでいただければ幸いである。

 

ex2-1

:C   |Gm7  |Am7   |Fm7  |

C   |G  |Fm7   |Gm7 :|

https://rechord.cc/CGRk27ssFBs(音源)

これはユーミン技法でもおなじみの展開であろう。同主調のダイアトニックコードの併用である。これだけでもまるで違う進行になっている(こんなに一挙に変える必要があるわけでもないだろう)。

 

ex2-2

:C   |Gsus4/B  |AmM7(11)   |FM7  |

C6M7   |GM7  |FM7   |G7(13)/E  :|

https://rechord.cc/CGRk27ssFBs(音源)

少しおかしな響きも混じっているが、これまでの事例からみた方法論を発展させたフォルムを持っていると思う。「これでポップなメロディを作れるのか?」という先入観があるかもしれないが、そういうフィーリングをぜひ打破して頂きたい。「迷った先に」「思考停止になった先に」「我慢できなくなった先に」進むことを試みることでしか自信を進化させることができない。

 

ex2-3

:C   |G/C  |G/A   |F/A  |

C   |G/D  |F/E   |G/D  :|

https://rechord.cc/8Stlphm-1nQ(音源)

これは分数コードによる脈絡作りの練習である。この程度ならまだ容認できるかもしれない。

 

ex2-4

:C/D   |G/E♭  |G/D   |F/D♭  |

CM7   |G/D♭  |F/D   |G/E♭  :|

https://rechord.cc/LDf0Jac5m4Y(音源)

そしてその感覚をそのまま拡張していく。くぐもったサウンドがメロディを沈殿させる効果を感じた。

 

 

ex2-5

:Cdim7 C |Gdim7 G |G#dim7 Am7 | Gdim7 FM7  |

C  Adim7 |G  |F   B♭dim7|G  G7:|

https://rechord.cc/4aBPwf56p08(音源)

これは各種ディミニッシュコードを添えて、色合いを変えてしまったものだ。

 

ex2-6

:C  C#m7(♭5) |G6/D  |Am7/D  D7(9) |F/G  |

C/A♭ C/G |G/F#  G/F|FM7(#11)/A   |G7(♭5)(9,13)  :|

https://rechord.cc/LwHNKPm0QjM(音源)

これはさらに、自由な脈絡をつなげたものである。和声がどのように連鎖をしても、そこに風景ができるのであれば、あとは心の奥底に埋まっている表現したこともないような感情にそれを該当させ果敢に作って表現して頂きたい。

この最後のコードはいわゆるスクリャービンの神秘和音である(G7(♭5)(9,13))。こうした和音をポピュラーミュージックで自在に使えるようにするためには、ユーミン楽曲がそうしてきたように、その和音にポップな意味が十分に注ぎ込まれなければならない。

 

皆様各位の音楽活動の中でアルバム、ミニアルバムを発表される折りには、一曲でも良いので、音楽表現の多様性にチャレンジ頂きたい。ユーミン楽曲の先でも良いし、まだ追求がなされていない分野でも良い。

それによって、自身の音楽性の拡張と、社会の音楽性の拡張に呼応するような活動を折り重ねて、音楽の可能性を、より具体的なメッセージとして具体化し作品に投影して歴史に残していただくことで次のせだ、ずっと後の世代の文化が向上し、より新たな幸福を創り出すと信じてやまない。

 

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