音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

"意味"のある単語を並べて歌詞を作る~ユーミン歌詞・コード考68★★★

ユーミンの不定調性コード進行研究

ユーミン歌詞・コード考 / アルバム「POP CLASSICO」1

 

歌詞については掲載しておりませんので

www.uta-net.com

こちら等にて確認ください。

 

Babies are popstars
イントロにオーケストラの調弦の部分が入っています。現代音楽的な響きによって入っているのではなく、オーケストラの調弦のサウンドが音楽的聴こえる人は、こうしたサウンドが「何かが始まる前の響き」と感じられるのではないでしょうか。クオリアですね。

 

 

 

愛と遠い日の未来へ
この作品、映画の主題歌なんですね。
(ユーミンレポートより)

サビ(アルバム収録タイム 0:59-)
E♭ |B♭/D |Cm7 |Cm7/B♭|
E♭ |B♭/D |Cm7 |Cm7/B♭|
A♭ Gm7|F#dim7 Fm7 |D♭M7|B♭ |
この作品はE♭メジャーキーが支配しているが、その中でVII♭M7であるD♭M7がサビの締めくくりに置かれて広がりを出している部分に注目いただきたい。

和声が作る情感を優先してコードを選べるタイプのアーティストにとっては、VIIm7(♭5)を使うか、VII♭M7を使うか、という選択の強度は同じであろう。

 

 

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Early Springtime

 

2と5の数字すら魔術的に見えるのユーミンの歌詞マジック。
魔術好きなんですよ、きっと。

 

だって、2羽のカモメと五時の鐘は何か関係あるの??
って思うじゃないですか。楽曲のテーマである"二人と夕暮れ"というのを言い換えているのだと思いますが、実に精妙な表現だと思いませんか?

 

夜明けの雲
 

どうやったら、素直になって、瞳を覗いて、失った想い出を取り戻せるのだろう、って一瞬考えるんですが、もっと直感で捉えると、ああ、そうか、って思える。
"素直になって”"瞳"“想い出””取り戻す”
という単語を組み合わせて文章を作る、必殺技ですね。


歌詞を作るための単語帳=好きな言葉をただ羅列しておくだけで良いです。

 

歌詞が行き詰まったり、もっと詩的に何か言葉の化学反応を起こしたいときは、ぜひそのノートを活用してください。

好きな単語を組み合わせて、いってみれば「意味の分からない文章」を作るんです。そうすると、単語単語は全て好きな言葉ですから、それらが組み合わされると、独特なあなただけの表現が生まれます。

 

シャンソン

(ユーミンレポートより)

Aメロ(アルバム収録タイム 0:45-)
A♭ B♭m7 |Cm7 B♭/A♭ |Gm7 Cm7 |Fm7 B♭7 |E♭sus4 E♭ |×2
Bメロ
E♭7 |A♭M7 A♭/G |F#dim7 F |B♭m7 G7 |C7sus4 C7 |
サビ
D♭ E♭/D♭ |Cm7 Fm7 |D♭ E♭/D♭ |C7 Fm7 /E♭|
D♭ E♭/D♭ |Cm7 Fm7 |B♭m7 |B♭m7/E♭ |
なぜだかどこか心の奥にしまっていた扉を開けられたような感動が呼び覚まされる曲。

Aメロの三小節目にII/Iがあり、これが例によって、Gm7へ流れる得意の展開である。このB♭/A♭というのは、Gm7/A♭と解釈することもでき、ベース音が半音下降していくだけで流れるこの流れだけであれば、現在ではオーソドックスなパターンの一つであろう。これが続くGm7はこの曲のキーA♭からみればVIIm7であり、ノンダイアトニックコードにいとも簡単に移行できてしまっていることになる。

ここでのポイントは、I-IIm-IIImときて、このII/Iというコードに進めたこと。



MODELE

(ユーミンレポートより)

Aメロ(アルバム収録タイム 0:14-)では、

Aメロ
EM7 |B/D# |C#m7 G#m7 |EM7 D#7 |
BM7 |G#m7 G#7(♭9) |C#m7 D#7 |G#m7 G#m7/F#|EM7 |F#7 |


となっているが、一段目と二段目はまるで違うコード展開であるが、メロディはほぼ同じである。このテクニックもユーミンが長年構築してきたメロディとコードの関係を拡張するテクニックの一つである。

サビ
EM7 | G#m7/D# |EM7 D#7 |G#m7 |
EM7 F#7 |G#m7 |EM7 Em7 |G#m7 |EM7 Em7 |BM7 |


サビではG#マイナーキーにおけるVI♭M7であるEM7の冷気のような旋律を、暖めるようにEM7→Em7という展開がまた新しさを感じる。

「自分にとって新しいものであればよい」というユーミンの発言が聞こえてきそうな展開。

この曲で用いられている展開の妙は、これまで解説してきた事例の組み合わせであることはわかるだろう。しかし、それぞれの技法が呼応するように、音楽的脈絡を作り、意味と同時に独自の雰囲気の構築を感じた。


まだまだこの挑戦は続き、私たちが考えもしない手法を持って、「ポピュラーミュージック」という枠を広げていくのではないだろうか。

 

POP CLASSICO