音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

ユーミン楽曲で学ぶ7(b9)=dim7~ユーミン歌詞・コード考66★★★

ユーミンの不定調性コード進行研究

ユーミン歌詞・コード考 / アルバム「そしてもう一度夢見るだろう」1

 

歌詞については掲載しておりませんので

www.uta-net.com

こちら等にて確認ください。

 

まずはどこへ行こう

16のシャッフルビートがつくるワクワク感。リズムで表現される、内面の意識。

 

ハートの落書き

ノーサイドの世界観。

Aメロ
G# |Cm7 |Fm7 |Adim7 |
Bbm7 |C7 | Fm7 |Eb7 |
G# |Cm7 |Fm7 |Adim7 |
Bbm7 |C7 | Fm7 |G#7 |

となってまして、I-IIIm-VIm-I#dim |
となっているのですが、このI#dimはディミニッシュコードですから、四つのバリエーションがあります。

 

Cのキーで書き直すと、
C |Em |Am C#dim7 |Dm~
になるのですが、ちょっとディミニッシュコードについて知らないと、およよ!ってなりますよね。
ディミニッシュコードは、R(短三度)m3(短三度)-5(短三度)M6(bb7)と、どの構成音間も短三度なので、展開しても同じになります。ゆえに、
C#dim7=Edim7=Gdim7=A#dim7
です。構成音が同じなんです。CM7やCm7ではこうはなりません。
で、この同価性を利用するわけです。

 

A7(b9)→Dmはマイナーコードへのドミナントモーションですよね。
A7(b9)=a,c#,e,g,b♭
C#dim7=c#,e,g,a#=b♭
と良く構造が似ていますよね。つまり、
A7(b9)=a+C#dim7なんですね。
つまりこのディミニッシュコードは、DmへのドミナントコードであるA7の役割も果たしているとなるわけです。書き直してみましょう。

C |Em |Am C#dim7 |Dm~

C |Em |Am A7(b9) |Dm~

でもおんなじような感じで展開できます。


Flying Messenger

コード進行はマイナーですがこれもエオリアン進行で、短調でも「暗い」のではなく、ふんわり切ない、という暗さを保っています。メロディと歌詞の雰囲気が、切なく響きますね。
 

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黃色いロ一ルスロイス
ロックンロールなエイトビートです。
まさか、とおもいましたが、やはり不定調性進行がカッコ良く決まっています。

歌始まり~
G |G |C |C |
Eb|F |G |G |

GメジャーキーのI |GメジャーキーのI |GメジャーキーのIV |GメジャーキーのIV |
GマイナーキーのVIb |GマイナーキーのVIIb |GメジャーキーのI |GメジャーキーのI |
となりますね。

こうした進行をメジャーコードによる不定調性進行と言ってしまうんですね。

「Cの押さえ方のままさ、こうやってAbに持ってきて弾いたら、何となくカッコよかったってだけだよ。」

 

という感覚で音楽を作りたい時がありませんか?ロックの熱を感じる速度感で。


Bueno Adios

Fm7 |% |Cm7 |% |
Fm7 |% |Cm7 |% |
Fm7 |% |Cm7 |% |
D7 |% |G7sus4 |G7 |

Aメロの部分です。

このD7です。この雰囲気を醸し出すのは。

教科書では、単にドッペルドミナントとか、ダブルドミナントとか書かれているかもしれません。

しかし、それだけではいつ使うか分からないでしょう??

だからこうした曲を聴いて、
"ああ、こんなかんじになるのか。"
とそのコード感が作り出す雰囲気を知っておく必要があると思います。

"雰囲気を知って、使ってみる"これが不定調性論におけるコード解釈の方法です。

例;
Fm7 |% |Cm7 |% |
Fm7 |% |Cm7 |% |
Fm7 |% |Cm7 |% |
Dm7(b5) |% |G7sus4 |G7 |

このようにしちゃったときとの雰囲気を比べて下さい。
D7のほうが、じらされている感じがしませんか?感じ方はそれぞれであるでしょうが、「迫る男、拒む女」または「悩む男、とがめる女」みたいなかんじがタンゴのリズムに乗ると醸し出されると思いませんか?

 

この感じをそれぞれが感じるが故に、その和音は使われるんです。
分かって使っている人の響きを良く聴いて、それが自分の中の「音楽のスイッチ」を押してくれるまで、何度も何度も聴いて、また自分のオリジナル曲でも使いながら究めて行くしかありません。


Judas Kiss
 

(ユーミンレポートより)
サビ(アルバム収録タイム 1:09-)
A♭M7 |A♭/B♭ |E♭M7 Dm7 |CM7 |
A♭M7 |A♭/B♭ |CM7 |
A♭M7 |A♭/B♭ |E♭M7 Dm7 |CM7 |
A♭M7 |A♭/B♭ |Cm7 |
同曲はCmでキーがスタートしているので、このサビはVI♭M7からスタートしていることになる。このコード感はおなじみなので、サビらしさの「飛翔感」があるだろう(と私は感じる)。そしてそのままベース音が全音ずつ上がってCmに結びつくのか、というと分数コード感のほうを優先し、E♭メジャーに向かい、一瞬明転(平行長調)して今度は横にスライドして同主長調の主和音であるCM7に帰着する。間にはさまれたDm7は正確に聴取できているか自信がない。


そして最後に主調Cmに戻ってくる。ここでも調の変化、というよりも、
変化1;A♭M7 →A♭/B♭
変化2;A♭/B♭→E♭M7
変化3;E♭M7~CM7
変化4;A♭/B♭→CM7
という四つの連鎖感をつなげながら、メロディを紡いでしまっているように思える。
変化1は上層部が変化せずベースだけが上がっていく進行、変化2は通例のハーフドミナントコードによるトニックへの解決進行感。そして
変化3はE♭M7→Cm7
変化4はA♭/B♭→Cm7
とCm7へと進むと見せかけたミスディレクションによって一時転調感を出す。

この「転調感」も単なるコード進行感であり、文脈や場面の展開を遮断するものではない。

このように各コード連鎖に対して十分なクオリアが展開できれば、こうした進行を作ったとき、どのような音楽的脈絡を発明できるだろう。

(ユーミンレポートより)

Aメロ(アルバム収録タイム 0:21-)
Am7 |Gm7 |Am7 |Dm7 |
Am7 |Gm7 |Am7 |Dm7 |
キーは旋律音からDm7と判断できるが、その和声進行はドミナントマイナー→サブドミナントマイナー→トニックマイナーと進んでいるため、通例のケーデンスでは感じられない重力の移動を感じる。これらがすべてメジャーコードであれば、ブルースにおける進行感に似ているが、すべてm7によって行われている、という点が面白い。


たとえばCメジャーキーであれば、C-F-Gであり、この発想を組み込むと、Cm-Fm-Gmも含まれることになり、この六つのコードを自在に操ることでシンプルで斬新なハ調の進行ができるかもしれない。
例を出しておこう。
C-Cm-F-G-C
C-F-Fm-G-C
C-F-G-Gm-C
Cm-C-Fm-F-G-Gm-C
Fm-C-Gm-C-Cm-F-G-Cm...etc
 

夜空でつながっている

それぞれのコーラスの最後の一行の前に、お得意のフェイクコードがさらりと使われて色合いをパステルにしています。探してみてください。このブログではおなじみのレベル2の同主調ダイアトニックコード(IIIbM7)による挿入コードです。

人魚姬の夢
http://gakufu.gakki.me/m/?p=DT10950&k=p2


コードはこちらを参考にしてみてください。キーをAmにしてあります。
歌二行目のAm→Gm6ですが(原曲ではGm→Fm6)、これは、Am→Em7(b5)/Gとも言えます。これも先の曲と同じように、マイナーコードの連鎖ですね。メジャーコードの連鎖がシンプルなロック曲の作り易さに比べ、マイナーコードの連鎖は、非常に詩情を捉えるのが難しいのではないでしょうか。ここでの連鎖感は「小首をかしげるような不思議な悲しさ」という情感を感じました。浮遊したマイナーコードの連鎖が、声の暗さにもマッチしていて、自然と彩りを添えていると思うのですが、どうでしょう。

展開部の分数コードも、ここでそれが来ますか?というぐらい難しい詩情が積み重なっているように思います。

そしてもう一度夢見るだろう (AND I WILL DREAM AGAIN.)