音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

通例の進行を反転させて脈絡を作る~ユーミン歌詞・コード考67

ユーミンの不定調性コード進行研究

ユーミン歌詞・コード考 / アルバム「ROAD SHOW」

 

歌詞については掲載しておりませんので

www.uta-net.com

こちら等にて確認ください。

 

 


I Love You
(ユーミンレポートより)

Aメロ(アルバム収録タイム 0:25-)
G#m7 |C#7 |C#m7 F#7 |BM7 D#7 |
G#m7 |C#7 |C#m7 D#7 |G#m7 G#7 |
Bメロ
C#m7 |Cdim7 |C#m7 C#mM7 |C#m7 F#7|
BM7 BM7/A# |G#m7 G#m7/F#|
C#/F |C#/F |E/F# |E/F# |
Bメロに現れたCdim7。G#7(♭9)の根音省略形であるAdim7の転回形。
Adim7=Cdim7=D#dim7=F#dim7
たとえば、
Cm7 |G7 |Cm7
というケーデンスを、四つのディミニッシュにしてみよう。
Cm7 |G#dim7 |Cm7
Cm7 |A#dim7 |Cm7
Cm7 |C#dim7 |Cm7
Cm7 |Edim7 |Cm7
それぞれに異なる雰囲気やクオリアがあるはずである。

これらを音楽的文脈で微細な変化を的確に生かしながら選択していく。

たとえばCメジャーキーであれば、
CM7 |Dm7 | ( )|FM7
という進行があるとき、( )内には通例Em7,C7,などであるが、これらの通例を無視すれば、C7の関連ディミニッシュコードとして、C#dim7、Edim7、G#dim7、A#dim7、そしてFM7に半音上から結びつくパッシングディミニッシュとして、F#dim7、Adim7、Cdim7、D#dim7が拡大解釈されたディミニッシュコードとして使用可能と機能和声的に解釈することもできよう。

 

CM7 |Dm7 |Ddim7 |FM7 |
という進行を作ったとしよう。このDdim7は、E7(♭9)の根音省略和音と考えることができるわけであるから、
CM7 |Dm7 |E7 |FM7 |
というコード進行解釈の発展的技法ともいえる。つまりこうなると、12個すべてのディミニッシュコードが使用可能であり、問題はどのような理論的解釈がなされるかではなく、どのような響きを作曲者にもたらすかである。

 

 

 AD

   

   

 

太陽と黒いバラ

(ユーミンレポートより)
Aメロ(アルバム収録タイム 0:13-)

Fm7 |E♭ |D♭ |G♭ C7 |Fm7 |

E♭ |D♭ E♭| Fm7 |

Bメロ

D♭ |Fm7 |D♭ |G♭ |

Cm7 G7|Fm7 C7 |E♭m7 B♭7|Fm7 Cm7 C7 |

 

BメロのIm-V7。

Cm7→G7

Fm7→C7

E♭m7→B♭7という三つのシークエンスを連鎖させている。

通常は、G7→Cmと流れるところだが、それをすべて逆順するように進行していく。

この進行形態は、このアルバムでは三曲現れている。

 

コインの裏側


IVM7とIIIm7が繰り返されていく感じ。

定番コードの交代による波にゆれる感がとても、心の葛藤のようなものをパステルカラーで表現していると思います。

 

 

GIRL a go go

(ユーミンレポートより)
Aメロ(アルバム収録タイム 0:15-)

E♭m/B♭ B♭|E♭m/B♭ B♭|E♭sus4  |E♭ |

Cm7 |F7sus4 |E♭m/B♭ B♭|E♭m/B♭ B♭|

E♭m/B♭ B♭|E♭m/B♭ B♭|E♭sus4  |E♭ |

Cm7 |F7sus4 |E♭m/B♭ B♭|E♭m/B♭ B♭|

同曲が、先の逆順コード進行を持つ二曲目である。

ここではIVm=E♭m→I=B♭という流れが強調され繰り返されている。

こちらも通例はI-IVm-Iと流れるところ、いきなり、IVm-Iと流れる。

マイナーコードからメジャーコードへ四度で移動する、という点については、前曲と同様であるが、degreeが異なる点が工夫されていると言える。

 

またこの次の曲に収録されている「バトンリレー」という曲では、Vm-Imという流れが強調され、繰り返されている。

 

通例向かう方向と反対側への流れを考えて、音楽的脈絡を作る、という工夫が、これらの事例から学べるコード進行の工夫だ、と言えるだろう。

 

バトンリレー

 

 

小節的には二小節ずつきっちりコードが変わるのですが、メロディのつなぎが実にアンバランスでおもしろいです。

7小節(長い~)→3小節(遠い~)→展開(あなたの~)となっています。

微妙な小節数ですよね。

これっていずれは、コード進行の使い方の変化にもつながるんじゃないか、と考えてしまいます。

普通コードというのは、

例;C   |Dm7  |Em7  |FM7  |とか

例;C  Dm7  |Em7  FM7  |G7  |CM7  |とか一小節単位とか、二拍単位が普通ですよね。これを

例 ;CM7 ○ ○ ○ |○ Dm7 ○  ○|○  ○  ○  Em7|FM7 ○ ○ G7 |

みたいに(○は一拍として)

変則的にコードを置いても作れてしまうんじゃないか、という予想です。

 

ダンスのように抱き寄せたい

 

 

IVへのII-Vについて説明させて下さい。

この曲の、サビ
Bb--Am--D7--Gm--Fm7--Bb7--Eb--D7--Gm7--C7--Eb--F7--Bb

キーはBbですから、まず2番目のAmはいきなりノンダイアトニックです。
これはAm--D7--Gmへ流れるII-Vなのですが、解決先がGmなので、ジャズ的には、やはり
Am7(b5)--D7にしないといけないのですが、ここは"間違っている"のではなく、"こっちの方がわたしは良いと思う"という考え方で良いです=不定調性論の考え方。

 

ただし、本当にあなたがそれが良い!と思っていなければ使ってもあまり説得力を持たないと思います。

 

その次、Ebへ向かう、
Fm7--Bbです。

 

この雰囲気、良く聴きませんか?これは、
CM7--FM7--CM7--FM7--
という進行において、FM7に解決するII-Vを挟む技法です。

 

CM7--Gm7/C7-FM7です。
展開がダイナミックになります。何度も解説したかもしれませんが、何度でも解説します。ブログはそういうものですね。

さらにこのあとに、Gm7--C7という「ユーミンのII」に向かうII-Vも、また色合いを変えて挟み込まれています。この曲のサビは、代表的なII-Vの三種類が見事使いこなされているわけですね。

 

 

 

 Road Show