2017.11.14→2020.5.13更新
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アイ・ミー・マイン - I Me Mine
3/4 Am |% |D |% |
G |E7 |Am |% |
Am |% |D |% |
G |E7 |Am |% |
Dm |% |% |% |
Ddim7 |% |E7 |% |
Am |AmM7 |Am7 |Am6 |
FM7 |% |
4/4 A7 |% |% |% |
D7 |% |A7 |% |
後半のブルースロックな変化は、アビーロードで活用されるメドレー的なコンセプト、展開感の印象も受けます。
Am→Dの流れが洗練された響きになっていて良いですね。
これがAm→Dmでは、ちょっと失速しますものね。
Ddimの使用や、曲の中間部がFm7でリリースされて終わるのも、その印象をうまく用いていると思います。
レット・イット・ビー - Let It Be
機能和声ポップスの王道曲!
I V | VI IV |
ではじまる代表曲ですね。
ピアノのイントロ、綺麗なメロディ、叙情的なコーラス、口ずさめるギターソロとダミ声のような音色、ポールの歌詞と歌声。
全てがアンバランスなのに、こんなに励まされる曲はありません。
曲のせい、もあるでしょうがあの演奏にやっぱりグッときます。
音楽に下手くそとか上手いとか関係ないんだ!!
なんて若者は感じたんです。
ビートルズはヒーロー映画が生まれる前のスクリーンに現れた本物のヒーローでした。
===
さてこの曲の不思議な明るすぎない感じ、なんだと思います?
この曲は完全にCメジャーキーではないんです。一カ所ビートルコードがあります。
もうご存知ですね。
間奏のラインです。
F C Bb F | G F C |
ここにBbという和音が出てきます。
Cのメジャーキーの中にないコードです。
なぜ、ここでBbが来て、自然なのか、考えたことありますか??
この曲のメロディですが、B音がありません。導音がないんです。
Cメジャーペンタトニックスケールに一瞬だけF音が入っている曲なんです。
つまりモードで言うと、
CアイオニアンとCミクソリディアンの共通六音で出来た音階曲なんですね。
導音なし。
だからCミクソリディアンのBb△というコードが出てきてもそこまで違和感がない、という奇跡的な流れになっているんですね。
で、C-G-Am~って進んでいきますよね。この曲の全てのGをGmにして弾いてみても、なんと全部しっくりくるんですね。B音がメロディにない為なんですね。結果的に導音bが使用しづらくなり、G7→Cも使いづらくなります。
この辺がスタイルと音楽と、やりたいことの全てが一致した素晴らしいバランスを保っている曲である理由だと思います。
また曲中は、これだけダイアトニックなのに、G-F-Cと終止し(変格終止)、結果的にF-G-C(正格終止)と終止するところがないところも興味深いです。
G-F-Cというのはアーメン終止にもつながる印象を与えます。
これがこの曲を柔らかく清らかな感じにしている、というのもありますが、導音がないために必然的にこうなったのかもしれません。
題名通り。「なすがままに」「あるがままに」「それをそのままに」。
そういう感覚を知覚せず作ってこうなった、、としたらやはりこの人たちのバランス感覚がスバ抜けているのだと思います。
どのような作曲過程があったのか知りませんが、ただただ良い曲。
もうバンドは解散する、というような状況でこの曲ですからね。
鬼気迫っている。
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この曲、一か所だけあるミストーン(機能和声的に)も有名ですね。
見つけてみてください。
The Beatles - Let It Be [HQ] - YouTube
3:00ーmother maryのAmで一瞬Fに流れています。テンションリゾルブみたいになっていて自然に処理されています。(Am(#5)→Am)
これを不定調性論的に一時解釈すると、マザーメアリーの「ためらい」とか「ため息」とか「想いのくぐもり」みたいな印象を与えますよね(このように理論的正誤とは別に一時的自己解釈を与え続けるのが不定調性論であり、音楽理論のセカンドオピニオンです)。
このミストーンに慣れてしまった世代は、このリゾルブ感に違和感はありません。
それを決めるのはあなたです。そしてその意見は明日変わってもいいんです=不定調性論。
どう受け止められるかをいつも自分で決められます。
音楽を自分の内面でコントロールできるから、音楽に感動できる人は感動できるのだと思います。
この曲がふっと流れてくると、せわしない心が急にがらんと突き動かされます。
そういう曲って個人個人みんな持ってるんですよね。
そうなる自分を許してあげてください。
その「感じてしまう実感」だけが生きてる実感だと思います。