音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

ユーミン世界のビートルコード発展法~ユーミン歌詞・コード考9★★★

ユーミンの不定調性コード進行研究

ユーミン歌詞・コード考7 / アルバム「COBALT HOUR」3

 

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歌詞については掲載しておりませんので

www.uta-net.com

こちら等にて確認ください。

 

7,CHINESE SOUP

 

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「煮込んでしまえば 形もなくなる  もうすぐ出来上がり」

 

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微妙にけだるい感じがなんともいえません。
この曲のサビの最後に、上記歌詞の部分で、
C#7(9) |C7(9) |B7(9) |→E
という部分があります。


これは、Eというトニックに向かう、セカンダリードミナントによる進行、と言えなくもありませんが、この歌詞で、この進行って、なんか変な感じしませんか?

 

だって愛する人のために料理を作る割には、退廃的な落ちていく進行だと思いませんか?

けだるい、というか、あ~あ、的な印象を与えます。
きっとそういう(怪しい)意図を持った詞なのだと思います。

 

8,少しだけ片想い
(ユーミンレポートより)

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Aメロ(アルバム収録楽曲タイム0:09~)
G |Am7/G | Em7 A7 |D |
Cm7 |B♭M7 |Am7 |D7sus4 D7 |
=degree=
(key=G)
I |IIm7/I | VIm7 II7 |V |
IVm7 |III♭M7 |IIm7 |V7sus4 V7 |

ここではビートルズが用いた同主調のメジャーコード利用を発展させた、全く異なる同主調の利用法が見られる。


つまりビートルズであると、CメジャーキーとCマイナーキーのそれぞれのダイアトニックコードに見られるメジャートライアド、つまりC,E♭,F,G,A♭,B♭といったメジャーコードを組み合わせるのであるが、ここではIVmを用いて、CメジャーキーとCマイナーキーを行き来する方法が見られる。


Cm7を挿入することによって同じキーのB♭M7ヘの移行が可能となり、そこからII-Vへの戻りを用いて元のキーに戻っている。


このIVm7や「ひこうき雲」のVm7への移行は、ユーミンが活用する一時転調の手法であり、ビートルズの手法の発展利用ともいえる。
つまり、一曲の中で活用する和音を、同主調に拡張すると、

IM7-Im7-

IIm7(♭5)-IIm7

III♭M7-

IIIm-

IVM7-IVm7-

V7-Vm7-

VI♭M7

VIm7

VII♭7

VIIm7(♭5)

というグループに拡張でき、さらに短調のV7にあたるIII7、ドッペルドミナントII7、ユーミンが用いるVIIm7やVII7的利用、各種分数コードもここに加わるので、これだけでかなりコード利用の幅を広げられることになる。


またコード進行の最初の二つの連鎖には、誰しも苦労するものだが、この曲のI-IIm7/Iの停滞感、並行感も活用できるだろう。

 

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9,雨のステイション
(ユーミンレポートより)

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Aメロ(アルバム収録楽曲タイム0:29~)
DM7 |C#m7 |Em7/A |DM7 |
DM7 |C#m7 |Em7/A |DM7 |
Bメロ
Bm7 |C#m7 |C#7 |F#m7 F#m7/E |
DM7 |C#m7 |Bm7 |E7 |

=degree=
Aメロ(Key=A)
IVM7 |IIIm7 |Vm7/I |IVM7 |
IVM7 |IIIm7 |Vm7/I |IVM7 |
Bメロ
IIm7 |IIIm7 |III7 |VIm7 VIm7/V |
IVM7 |IIIm7 |IIm7 |V7 |


この曲のキーはAメジャー(A dur)なので、DM7をIVと捉えると、Em7はVm7となる。この空気感はIVM7に結びつく、II-Vの断片であり、あの「ひこうき雲」のVm7と同じである。ユーミンの感覚には、このVm7にいくつもの表情があることがわかる。またEm7/A→DM7はDメジャーキーのIIm7/Vと感じ取ることもでき、DM7がIM7のようにも響く。
DM7→DM7と二行目に流れる雰囲気は、IM7→IVM7へという同じコードであるにも関わらず色合いが変化しているようにも感じられる不思議な雰囲気をこのEm7/Aは作っている。

この二つのDM7は同じコードなのに違う機能に感じさせる

機能和声ではどうしても表現しづらいある和音から次の和音に移行するときに人が感じる「展開感」の機微を上手につかんでいる。

例え1コードの曲でもリズムがどんどん展開していけば、それは異なる和音である、と捉えらえっるかどうかが不定調性的な見方であり、同時に機能和声論においてどのようにそこを表現するか、がブラックミュージックをはじめとした"和音に重きを置かない音楽"の解釈の課題であり、それを補う一つの発想法として不定調性論的な印象感が役立てば幸いである。


10,アフリカへ行きたい
(ユーミンレポートより)

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Aメロ(アルバム収録楽曲タイム0:14~)
Gm7 |Am7 |B♭M7 |E♭/F |
Gm7 |Am7 |B♭M7 |Fm7 |
Bメロ
E♭M7 Dm7 |E♭M7 |E♭M7 Dm7 |E♭M7 |

=degree=
Aメロ(key=F)
IIm7 |IIIm7 |IVM7 |VII♭/I |
IIm7 |IIIm7 |IVM7 |Im7 |
Bメロ(key=Gm)
VI♭M7 Vm7 |VI♭M7 |VI♭M7 Vm7 |VI♭M7 |


これは様々なキー解釈が可能である。
たとえば、E♭/FをIV/Vと解釈すれば、B♭メジャーキー(B dur)とも言える。ポピュラーミュージックのコード進行の慣例では、全音で連鎖するm7コードはIIm7-IIIm7という発想となるので、必然的にkey=F(F dur)であると想定されるだろう。その感覚を巧みに活用し、その中間色が表現されている。


またFm7はkey=FではIm7となるが、聴感上はkey=B♭のVm7にも感じ、「ひこうき雲」のVm7の感覚で展開されている印象もある。
また、E♭M7→Dm7はIVM7→IIIm7の慣習的響きを持っており、これも機能や調の必然性から生まれた進行というよりも、和声進行が持つ意味を活用して作られているといえる。


これらの調的進行の断片の連鎖では、同アルバムの冒頭曲「COBALT HOUR」の手法がさらに発展させられている、といえる。

このテクニックを用いるには、まず、

"どんな和声の上でも、歌いやすいメロディを乗せることが出来る"

というスキルが必要とされる。

普段から、全く意味不明な和音の連鎖でも「あ、それ受け入れられない」という気分にならず、もう一度耳を傾けて、何かメロディを添えたり、聴いた感じに何らかの印象を与えるなどの習慣をしていくと良いだろう。

 

 COBALT HOUR

 

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