音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

男性はユーミン歌詞の登場女性に振り回される~ユーミン歌詞・コード考17

ユーミンの不定調性コード進行研究

ユーミン歌詞・コード考16 / アルバム「流線形'80」1

 

各種レポートはM-Bankにお問い合わせいただければPDF似て無償で配布しております。宜しくお願い致します(日本音楽理論研究会にて発表も行いました)。

歌詞については掲載しておりませんので

www.uta-net.com

こちら等にて確認ください。

 

1,ロッヂで待つクリスマス

 

 AD

 

 

小説の一節的。


コード進行も、軽い感じで、「白」をイメージさせます。

 

白って、色がないからイメージを曲調で出す、って難しいと思うんです。
それをこの曲で、ユーミンは同じ音を連続させることで作り出しているような気がします。

 

無意識なのか、ユーミンのクオリアなのか。

 

子細なことですが、
CM7 D7 E
という最後のメジャー終止が、雪の上できらっと光る「光」のように感じます。

 

2,埠頭を渡る風
(ユーミンレポートより)

Aメロ~(アルバム収録楽曲タイム0:51~)
D♭m7 |A♭m7 |AM7 |EM7 |
G♭m7 A♭7 |D♭m7 D♭m7/B D♭m7/B♭ |G♭7 |A♭7 |
=degree=
(key=D♭m)
Im7 |Vm7 |VI♭M7 |III♭M7 |
IVm7 V7 |Im7 Im7/VII♭ Im7/VI |IV7 |V7 |

 

 AD

   

   

 

ここでは6小節目にベースラインがラインクリシェのように下がってくる。こうしたラインもメロディには全く影響しないラインだが、まさしく「吹き抜ける風」をイメージさせるラインとなっており、Im6のサウンドであるD♭m7/B♭が印象的である。


そのあとに続くIV7もIm6を持つメロディックマイナーの旋法性を受けて呼応するように用いられており、ドリアンモード的な短調に、ただの短調ではない色彩感を出している。


アレンジにも関わってくることだが、「メロディ音に直接関係のないコード」をいかに適切に使用できるかが、そのサウンドを「プロっぽく」する一つの装飾技法である。

 

もちろん導入はそうした考え方でも良いが、ユーミン楽曲の場合は、さらにその心の情景に合わせたコードを追加できるがゆえに、その音楽が「ウソ」ではなく「ファンタジー」として確立されているのだと思う。

 

心の情景に合わせたコードの配置、というのは、これも毎曲異なるので事例として列挙しづらいが、たいていは、メロディが休みになった「合いの手の空間」で入る。

 

用例;
Dm7 |G7 |CM7 |CM7 |Dm7 |G7 |CM7 |CM7 |
という進行において、
Dm7 |G7 |CM7 |CM7 A7 |Dm7 |G7 |CM7 |CM7 |
と四小節目にA7を入れると、どのような情景になるだろうか。A7が「次への展開」を予感させ、「それでね」とか「でもね」という接続詞感を与えるのではないだろうか。

 

だから、逆に歌詞やメロディの流れが、そうして焦って話すような文脈ではなく、ただつぶやくような流れの場合は、A7は必要ないかもしれない。

 

ここが難しいところだ。最初に「恋の終わりで悔やんだことを歌にする」と決めていれば、A7は必要になってくるだろう。矢継ぎ早に言葉をつむいで、相手に訴えるような歌になる可能性もあるからだ。しかしそうした曲ばかり作っていれば、このA7が鬱陶しく思えてくるかもしれない。もっとさばさばと恋の終わりを美しい風景とともに歌いたい、というようになってくるかもしれない。そうした場合、例えば、
Dm7 |G7 |CM7 |Em7 E♭m7 |Dm7 |G7 |CM7 |CM7 |
のほうが、いいな、と感じる場合もあるだろう。

 

どのようなコードが合うかを決めるのは最終的に作曲家本人であり、そのクオリアが導きだす「一番しっくりくる音楽的脈絡」はどの音楽理論にも該当しないし、どの他人にも該当はしない。

 

また、歌詞が加わることでA7が加わる、というケースもあるだろう。歌詞がそのコードを求めるからである。

このようなケースを考えるだけでも作曲家の頭の中でどのようなことが起き、どうやって先手を打ち、後手で立ち後れぬようにするか、真剣勝負があることが想像できるのではないだろうか。

 

 

3,真冬のサーファー

 

「次のいい波は まっ先につかまえてよ」


海に浮かぶ、へたっぴなサーファーに願掛けして祈るセリフ。
こういうのユーミンぽくないですか?

ちょっと命令形が入った感じ笑。

男性もこのテンポに乗せられて、波を掴めないと、なんかダメな奴、みたいになってしまうマジック。そう、男は常に試されていて、それに勝ち続けないと美女は抱けないのだ笑。


「私をスキーに連れてって」そういうどこか積極的な女性の世界観の中でマッチしたり、少女が活躍するジブリの中で主題歌として使われるユーミンの歌詞世界の独特な女性の視点があるな、と感じます。

 流線形'80

AD