ユーミン歌詞・コード考16 / アルバム「流線形'80」1
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歌詞については掲載しておりませんので
https://www.uta-net.com/artist/2750/
こちら等にて確認ください。
ロッヂで待つクリスマス
小説の一節的。コード進行も、軽い感じで、「白」をイメージさせます。
白って、色がないからイメージを曲調で出す、って難しいと思うんです。
それをこの曲で、ユーミンは同じ音を連続させることで作り出しているような気がします。
子細なことですが、
CM7 D7 E
という最後のメジャー終止が、雪の上できらっと光る「光」のように感じます。
埠頭を渡る風
Aメロ~(アルバム収録楽曲タイム0:51~)
D♭m7 |A♭m7 |AM7 |EM7 |
G♭m7 A♭7 |D♭m7 D♭m7/B D♭m7/B♭ |G♭7 |A♭7 |
=degree=
(key=D♭m)
Im7 |Vm7 |VI♭M7 |III♭M7 |
IVm7 V7 |Im7 Im7/VII♭ Im7/VI |IV7 |V7 |
6小節目にベースラインがクリシェのように下がっています。
メロディには全く影響しないラインですが、「吹き抜ける風」をイメージさせるラインとなっています。
「メロディ音に直接関係のないコード」をいかに適切に使用できるかを、こうした既存曲をコピーすることで学んで行きます。曲が豪華になります。
フォークソンングにこういうことをするとビートルズになります。変過ぎることをせず、どこかで聞いたことのある感じを混ぜる、みたいなことは得意な人、得意でない人がいます。メロディが休みになった「合いの手の空間」です。
用例;
Dm7 |G7 |CM7 |CM7 |Dm7 |G7 |CM7 |CM7 |
という進行において、
Dm7 |G7 |CM7 |CM7 A7 |Dm7 |G7 |CM7 |CM7 |
と四小節目にA7を入れると、どのような情景になるでしょう。
A7が「次への展開」を予感させ、「それでね」とか「でもね」という接続詞感を与えると思います。
だから、逆に歌詞やメロディの流れが、そうして焦って話すような文脈ではなく、ただつぶやくような流れの場合は、A7は必要ないかもしれません。この辺の感覚=音楽的なクオリアを磨きあげるんです。
最初に「恋の終わりで悔やんだことを歌にする」と決めていれば、A7は必要になってくるでしょう。矢継ぎ早に言葉をつむいで、相手に訴えるような歌になる可能性もあるからです。
もっとさばさばと恋の終わりを美しい風景とともに歌いたい、というようになってくるなら、例えば、
Dm7 |G7 |CM7 |Em7 E♭m7 |Dm7 |G7 |CM7 |CM7 |
のほうが、いいな、と感じる場合もあります。
どうでしょう?100曲ぐらい作らないと掴めて来ないのではないかって感じません?
その通りです笑。
また、歌詞が加わることでA7が加わる、というケースもあるでしょう。
歌詞がそのコードの意味感にフィットしちゃうんですね。もちろん全く関係ない時もあるので、結果論かもしれませんのでセオリーに頼るより、あなたの直感=音楽的なクオリアを磨きましょう。
真冬のサーファー
「次のいい波は まっ先につかまえてよ」
海に浮かぶ、へたっぴなサーファーに願掛けして祈るセリフ。
こういうのユーミンぽくないですか?
ちょっと命令形が入った感じ笑。
男性もこのテンポに乗せられて、波を掴めないと、なんかダメな奴、みたいになってしまうマジック。そう、男は常に試されていて、それに勝ち続けないと美女は抱けない笑。
「私をスキーに連れてって」そういうどこか積極的な女性の世界観の中でマッチしたり、少女が活躍するジブリの中で主題歌として使われるユーミンの歌詞世界の独特な女性の視点があるな、と感じます。
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