音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

ジャズの抽象的技法をポップに昇華する;COBALT HOUR~ユーミン歌詞・コード考7

ユーミンの不定調性コード進行研究

ユーミン歌詞・コード考7 / アルバム「COBALT HOUR」1

 

各種レポートはM-Bankにお問い合わせいただければPDF似て無償で配布しております。宜しくお願い致します(日本音楽理論研究会にて発表も行いました)。

 

歌詞については掲載しておりませんので

www.uta-net.com

こちら等にて確認ください。

1,COBALT HOUR
(ユーミンレポートより)

 

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Aメロ(アルバム収録楽曲タイム0:30~)
C# |C#m7 |F# |B |
Bm7 |E7 |A |A7 |
D |Dm7 |G7 |C |
Cm7 |F7 |B♭ |B♭7 |
Bメロ
E♭M7 |Dm7 |D♭7 |Cm7 |
A♭M7 |Gm7 |Fm7 |Fm7/B♭ |
E♭M7 |Dm7 |D♭7 |Cm7 |
A♭M7 |Gm7 |Fm7 Fm7/B♭ |E♭M7 |


Aメロは同型進行の連続手法になっている。
拙論「不定調性論」では、このような進行を作っていく場合は、一番最初のコードをI(センターコード)と意識して自由に展開していく。感覚としては、しりとりをしていくような感じで、それぞれの連鎖にストーリー性を持てるかどうか、という個人の価値基準で作っていく。

 

この進行は長和音→短和音という変化と、ジャズ的なII-Vという四度進行を紡ぐことによって和声進行の既視感を活用している。

C#→C#m7やB→Bm7や、A→A7、B♭→B♭7というのはジャズ的な変化であり、ビ・バップ系のテーマなどでは多用される音楽語法と言って良い。

単純な色合いの変化でも、大きな雰囲気の違いや「展開感」を感じることのできる作曲家にしてみれば、十分音楽的展開としてポピュラーミュージックに応用できたのだろう。

 

この曲の歌詞、
「夜の都会を さあ飛び越えて 1960年へ バックミラーに吸い込まれてく ちりばめられた 光の中へ」
という歌詞の「夜の都会」「飛び越えて」「吸い込まれてく」「ちりばめられた」という印象はまさにこの進行における「展開感」を言い表しているように私は感じた。

 

抽象的であったはずのジャズ的進行である旋回するような調性感に対して、具体的に、映りゆく景色、風、空気感、街の移ろう香り、時の流れの速い時間感覚に置き換えて「ポップスとしての表現」に進化させた事例といえる。

またBメロはE♭M7を出発点として、A♭M7への経過点を経てE♭メジャーキーに帰結させている。

 

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2,卒業写真
(ユーミンレポートより)
Aメロ(アルバム収録楽曲タイム0:13~)
F G/F |CM7 |Am7 D7 |G7 |
Dm7 G7 |Am7 |Dm7 G7 |CM7 ~
=degree=
(key=C)
IV V/IV |IM7 |VIm7 II7 |V7 |
IIm7 V7 |VIm7 |IIm7 V7 |IM7 ~

これは下記のように四つのケーデンスが用いられている。
F G/F |CM7 |→分数コードを用いたケーデンス
Am7 D7 |G7 |→II7を用いたケーデンス
Dm7 G7 |Am7 |→VIm7に解決する偽終止
Dm7 G7 |CM7 ~→通常のII-V-I(正格連終止)

これは、
F G |C |Am D |G7 |
F G |Am7 |F G |C ~
と代理コードを元に戻すこともできるが、これではシンプル過ぎて、ユーミンのパステルカラーにはほど遠い。


こうした微妙な色彩感の差異を活用しながら作っていくことで、本来は単純な進行の曲も、光の加減が絶妙に変化するアレンジに仕上げることもできる。


3,花紀行

 

春の風の口づけ、に「祝福」を感じます。より魔術的な感じしますね。

ユーミンは魔術好き。 

「この場所で嵐見送れば 時の流れに 埋ずもれてしまう」

こういう表現て、まさに言語を超えた感情表現だと思いませんか?

 

花を見届けているうちに、自分を見失う、

 

春の麗しさに心奪われて、憂うべきことを忘れ去ろうとしている、なんて。よくあることです。

  

唇が一度の口づけで道に落ち、はかなく一瞬で命を終えるように道に積もる。

優しく散っていく花びらが「あなたはまだまだこの先生きていられてステキよ」なんていって去っていくようです。

 

こんな音楽家がいる、ということをもっとたくさんの人に知って頂き、音楽の勉強が文化の勉強であることをもっと感じて浅はかにならないように突き詰めて頂きたいです。私は気がつくのが遅すぎました。でも頑張ります。


この曲、細かくコードが変わる随筆のような展開で、ユーミンミュージックの一つのスタイルになっていきます。

 

 COBALT HOUR

 

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