音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

着地するドミナントコード;SUGAR TOWNはさよならの町~ユーミン歌詞・コード考38

ユーミンの不定調性コード進行研究

ユーミン歌詞・コード考 / アルバム「DA・DI・DA」2

 

歌詞については掲載しておりませんので

www.uta-net.com

こちら等にて確認ください。

3,SUGAR TOWNはさよならの町
(ユーミンレポートより)

 

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Aメロ~(アルバム収録タイム 0:33)
B♭M7 |B♭M7 |C | C |
B♭M7 |B♭M7 |C | C |
B♭m7 |E♭7 |A♭M7 |G7 |
Cm7 |G7 |C7sus4 |C7sus4 |
=degree=
(key=F)
IVM7 |IVM7 |V | V |
IVM7 |IVM7 |V | V |
(key=A♭)IIm7 |V7 |IM7 |VII7 |
IIIm7 |VII7 |(key=F)V7sus4 |V7sus4 |


細かく転調しているように感じるが、違和感は一切無い。ここで表記したキー表記はあくまで目安である。

 

AメロでFメジャーキーへの指向を高めるような進行をしておきながら、主和音には戻らずB♭M7に戻る位置でB♭m7へと変化し新しい脈絡を作っている。


ユーミンによる長調と短調のアイデンティティを融合させるような進行形態は特徴的である。これを“転調である”という考え方ではなく、音楽的脈絡をどのように感じるか、のほうを優先して考えていくのが不定調性論の考え方である。


B♭m7への変化は、B♭M7に戻ろうとするところを戻らないミスディレクションによって聴き手に明らかな変化を感じさせる。もともとB♭M7でのメロディ音はB♭メジャーキーと言ってもよい音使いで、ちょうどCがII的に響くといえる。


またこのパートの最後にC7sus4が置かれて二小節流れている。これが不思議なリリース感を持っている。

着地しないトニックコードであり、着地するドミナントコードとでもいおうか。こうした響きへの感性に驚嘆を覚えるコード使いである。


このようなアプローチも、この流れに歌詞とメロディと和音が一貫した音楽的脈絡を持っているからこそ選択できるのではないだろうか。この最後の部分の歌詞は、「そんな気がしてた 目覚めた瞬間 町を埋めつくす大雪 カーテンひけば」となっている。朝目覚めて何となく雪の予感を感じ、カーテンを開けたときの「印象」、つまり「やっぱり」とか「ということは今日は...」というような感情と視覚の連なりがsus4の連鎖によって潜在意識に訴えてくるようである。

 

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 4,メトロポリスの片隅で
(ユーミンレポートより)
Bメロ(アルバム収録タイム0:44-)
C/F |G/F |C/F |G/F |
C/F |G/F |C/F |G/F |
=degree=
(key=C)
I/IV |V/IV |I/IV |V/IV |
I/IV |V/IV |I/IV |V/IV |


この曲はCメジャーを基調に展開していくが、このサビ前の部分で、トニックサブドミナント、トニックドミナントともいえそうな中間色の和音でメロディを作っている。

 

IVであるFを土台にC=IとG=Vが交互に鳴っている。どういう発想からこのBメロが生まれたのか想像もできないが、大いに刺激になる「機能中和コード」である。


そもそも機能という存在自体が幻影であるから、こうした組み合わせに面食らってしまうのかもしれないが、こうしたコード展開にして、Bメロを形成する、という決断に至る所が大変興味深い。

 

ユーミンチームにとっては和音の響きは多くの意味と多くのクオリアが含まれているのではないだろうか。

 

 DA・DI・DA(ダ・ディ・ダ)/松任谷由実