2018.2.26→2020.4.1更新
ユーミンレポート目次
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歌詞については掲載しておりませんので
https://www.uta-net.com/artist/2750/
こちら等にて確認ください。
丘の上の光
open.spotify.com
Aメロ~(アルバム収録楽曲タイム0:16-)
CM7 |F7 |Em7 |Em7/D |
C#m7(♭5) |CM7 Am7 D7 |GM7 |GM7 G7 |
CM7 |F7 |Em7 |Em7/D |
C#m7(♭5) |CM7 Am7 D7 |GM7 |F/G G F/G G7|
Bメロ
Cm7 |F7 |B♭M7 |Gm7 |
A♭M7 |Em7(♭5) B♭7(またはE♭M7/B♭) |Am7 |D7 |F/G |
=degree=
(key=G)
IVM7 |VII♭7 |VIm7 |VIm7/V |
IV#m7(♭5) |IVM7 IIm7 V7 |IM7 I7 |
IVM7 |VII♭7 |VIm7 |VIm7/V |
IV#m7(♭5) |IVM7 IIm7 V7 |VII♭/I I VII♭/I I7 |
Bメロ
(key=B♭)IIm7 |V7 |IM7 |VIm7 |
VII♭M7 |IV#m7(♭5) I7(またはIVM7/I) |VIIm7 |III7 |IV/V(CM7に帰着する属和音として) |
BメロへのCm7の移行は、転調を伴った形態でのII-Vにメロディを乗せる、というアプローチで、初心者には難しい技法です。
この辺りの少し哲学的な響き、ともいえるような堅さがまた「丘の上の光」感を感じさせるから不思議。題名が後だったかもね。曲全体のイメージから題名決めることもありますよね。
Bメロ。B♭7の部分のメロディがB♭のP4thの音を経過していて、avoidノート的な危うい響きを醸し出して陽炎のような変化になっています。この辺が使用を迷うところでもあり、棋士が「この手打ってもいいのか・・・」という迷いの一手です。
悲しいほどお天気
open.spotify.comAメロ(アルバム収録楽曲タイム0:27~)
DM7 C#7 |F#m F#m/F F#m/E F#m/E♭|DM7 Bm7/E |AM7 |
Em7 A7 |DM7 |Bm7/E |AM7 |
=degree=
(key=A)
IVM7 III7 |VIm VIm/VVI♭ VIm/V VIm/V♭|IVM7 IIm7/V |IM7 |
Vm7 I7 |IVM7 |IIm7/V |IM7 |
IVM7からはじまり、クリシェをはさみ、Vm7-I7も登場する、というここまでのユーミン楽曲の集大成のような進行。
気ままな朝帰り
Bメロ(アルバム収録楽曲タイム1:25〜)
Bm7/E |Bm7/E |F#m |F#m F#7 |
Bm7 C#m7 |DM7 G#7 |C#7sus4 |E7sus4 |
=degree=
(key=A)
IIm7/V |IIm7/V |VIm |VIm VI7 |
IIm7 IIIm7 |IVM7 VII7 |IIIsus4 |V7sus4 |
通常IM7に戻るIIm7/Vが偽終止してVImに流れる。
後半DM7→G#7と増四度の根音進行が見られます。
水平線にグレナディン
A'メロ(アルバム収録楽曲タイム2:15〜)
Em7 Em7/D |CM7 |CM7 D |Bm7 E7|
G/A G |FM7 |Dm7 Em7 |A |
Bメロ
Dm7 G |CM7 |Dm7 E7 |A |
Dm7 Csus4 |FM7 |E♭M7 |D7sus4 |D7sus4 |
A''メロ
Gm7 Gm7/F |E♭M7 |E♭M7 F |Dm7 G7|
B♭/C B♭ |A♭M7 |Fm7 Gm7 |C |
=degree=
A'メロ(key=Em→A)
Im7 Im7/VII♭ |VI♭M7 |VI♭M7 VII♭ |IIm7 V7|
(key=Am)VII♭/I VII♭ |VI♭M7 |IVm7 Vm7 |(key=A)I |
Bメロ
(key=C)IIm7 V |IM7 |(key=A)IVm7 V7 |I |
(key=F)VIm7 Vsus4 |IM7 |(key=Gm)VI♭M7 |V7sus4 |V7sus4 |
A''メロ
(key=Gm)Im7 Im7/VII♭ |VI♭M7 |VI♭M7 VII♭ |Vm7 I7|
(key=Cm)VII♭/I VII♭ |VI♭M7 |IVm7 Vm7 |(key=C)I |
これまでの事例とはまた違うタイプの転調で、曲調は初期の印象。
後半のA''メロでは、同じメロディをまた別の転調をさせて用いています。
78
Aメロ(アルバム収録タイム0:14-)
Am7 |Bm7 |Am7 |Bm7 |
CM7 |F7 |Em7 |Em7 |
=degree=
(key=Em)
Ivm7 |Vm7 |Ivm7 |Vm7 |
VI♭M7 |II♭7|Im7 |Im7 |
トニックに戻る際にII♭7であるF7が用いられています。裏コードです。
しかしこのサウンドはCM7から四度上行しているので、裏コード感が大変薄いと思いませんか?
印象としては、CからみたIV7のようにも響くし、GマイナーキーのVII♭7のようにも感じます。ここではFM7でもメロディには影響ありません。
結果として裏コードになっただけです。
CM7をIM7としたとき、CM7→F7がカッコ良かったので、それにあわせてメロディを組んでいったら、うまいことEm7に向かった、という場合も起こりえるでしょう。
不定調性論はむしろこうしたことが起きやすくなるように訓練していきます。
難しいのはそのコントロールです。意識のコントロール。
「その手を打って本当に良いのか」
ということとの戦いです。作曲は机上でやるように思えますが、体力と精神力がないとできない仕事です。
さまよいの果て波は寄せる
(アルバム収録タイム0:00-)
E♭M7 E♭6 |E♭aug E♭6 |Fmadd9 Fm |FmM7 Fm |
B♭sus4 B♭7 |B♭m7 B♭7 |E♭add9 E♭ |E♭M7 E♭6 |
同曲のイントロは変則的なクリシェです。
キーはE♭で、B♭のクリシェでVm7を用いている辺りが特殊ですね。
ぜひ聴いてみて!
Vm7はユーミンブランド。
「波が寄せる」という雰囲気もこのクリシェによって表現されているように感じられてきますね。
クリシェは、「あ、また出て来た、これはダメ」と却下しがちです。
当たり前すぎる、前に使った、昨日街で流れていたからダメ、とか。この辺りも自分との戦い。
どうやったら今直感的に頭に浮かんだ音楽的脈絡としてのクリシェを独自性を持って使えるのか、何を工夫すればいいのか?
というところで戦うんですね。
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