2018.2.25→2020.3.31更新
ユーミンレポート目次
前の記事
歌詞については掲載しておりませんので
https://www.uta-net.com/artist/2750/
こちら等にて確認ください。
最後の春休み
"因縁文"的。
ああ、今日は嫌なことがあったなぁ、ああ、だから今日のこんなどしゃ降りの雨なのかなぁ。
みたいなかんじで、二つの全く関係のない事柄を二つ関係があるように並べる、というものです。音楽の場合は簡単です。
これも結構使える技法だと思います。
全体がなんとなくできたら、こうしたテクニックを一か所入れるだけで、歌詞全体が印象的になります。
この歌は、「卒業写真」の前段階、みたいに位置づけたら、勝手ですけど、なんかいろいろリンクしてきそうですね。
甘い予感
伝聞歌詞、ですね。いわゆる伝説を語る歌の系統です。
これも一つテクニックです。
よく「今朝の新聞の記事に」とか「雑誌で見た」とか「夏の映画で」とか、そういう作詞家の外からやってきた知識、というのが何かの暗示のように、その人の今に照合される、という歌詞技法と言えます。
技法技法というと聞こえがあまり良くありませんが、もはやユーミンがやってしまったので、方法論になってしまっているんですね。真似ても真似に過ぎません。
冷たい雨
この歌も雨とけんかと赤い靴が「因縁文」になっていると思います。
けんかして家を飛び出して、戻ってきたら、別の女の赤い靴。赤って言うのが強烈ですよね。
"おい、おい何だよ、この色の靴!"
ふつうそれを見たら、誰でもそう思うでしょう。その強烈な体験感をこうしてさらっと歌詞にすることで、ローキックのように効いてきます。
それに駄目押しの冷たい雨、凹む経験のデパート。
でもこれもストーリーの割に、軽いシャッフルビートの明るいコミカルな曲になっています。
このような感覚が、死をふっと歌にできるユーミンの昇華感覚なのかもしれませんね。
死についての歌があれほど軽いのですから、これだけ凹む歌でも、このくらいの軽さになっていくのかもしれません。
でもふっと聴き終わると、そういう凹む出来事もいずれ時間が解決してくれて、軽い存在になっていく、薄れていく、そういう先の主人公の心を想定したような感じにも聴こえますし、ソウルソングの伝統のように、黒人達の葬列のステップのように、"昇華"の早さ、がユーミンソングの特徴なのかもしれません。
そういう意味でも"ひこうき雲"みたいな歌も、そうした昇華力が、あの清々しさとなり、魅力を放ち続けるのかもしれません。どんなに強い思いも、時間による風化は防げません。良い意味でも悪い意味でも。ユーミンソングにはそうした普遍性があるように思います。
りんごのにおいと風の国
Aメロ〜(アルバム収録楽曲タイム0:33〜)
Cm7 |A♭M7 |Gm7 B♭m7 E♭7|A♭M7 |
Dm7(♭5) G7 |Cm7 Cm7/B♭ |Am7(♭5) D7 |G7sus4 G7 |
Cm7 |A♭M7 |Gm7 B♭m7 E♭7|A♭M7 |
Dm7(♭5) G7 |Cm7 CmM7/B Cm7/B♭ |Fm7 B♭7 |E♭M7 |
=degree=
(key=Cm)
Im7 |VI♭M7 |Vm7 VII♭m7 III♭7|VI♭M7 |
IIm7(♭5) V7 |Im7 Im7/VII♭ |VIm7(♭5) II7 |V7sus4 V7 |
Im7 |VI♭M7 |Vm7 VII♭m7 III♭7|VI♭M7 |
IIm7(♭5) V7 |Im7 ImM7/VII Im7/VII♭ |IVm7 VII♭7 |III♭M7 |
Cマイナーのキーを基調、最後はE♭メジャーキー(平行長調)に陽転。
三小節目でGm7→B♭m7という短三度のm7コードの移動が見られます。
これが静かな展開の中で「緩やかだが大きな動き」を感じさせます。ユーミン語です。
次の記事