2018.2.20⇨2020.3.3更新
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歌詞については掲載しておりませんので
https://www.uta-net.com/artist/2750/
こちら等にて確認ください。
さざ波
"月の形のボートの上で 素敵な日々を想い出にしたい"
"ひざに開いた短編集も 風がめくっていつの間にかエピローグ"
歌詞だけ見るとゆったりとしたバラードかと思いきや、アップテンポの歌詞です。
ユーミンの歌詞の歌いやすさである七五調のようなリズムの良さ。
厳密になっていないアンバランスはニューミュージックらしさ。
14番目の月
この曲名、とても心がざわざわしませんか?
ユーミンはこの文字だけを見て、作ったようにウィキペディアに書かれていましたが。
共感覚的にはとてもざわつく言葉です。
「14番目の月」というのは、月齢で言う十五夜の前の、満月になる前の、いってみれば「成就間近」な月。いろんな意味を込められます。
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さみしさのゆくえ
このころのユーミンの声は好きですね。
なんか本当にこういう人がこういうことを思っていっているような「普通の女性の想い感」があふれています。男性はユーミンにそそられる、というよりも好きな女性の言葉と照合するので勝手にそういう構図を作ってしまいます。
Aメロ(アルバム収録楽曲タイム0:15~)
E♭M7 Dm7 |G7 |Cm7 F7 |B♭M7 D7 |
E♭M7 Dm7 |G7 |Cm7 Dm7 |Gm7 |
=degree=
(key=B♭)
IVM7 IIIm7 |VI7 |IIm7 V7 |IM7 III7 |
IVM7 IIIm7 |VI7 |IIm7 IIIm7 |Im7 |
ここでのキーは、B♭メジャーですが、主和音の存在感は乏しいです。
E♭M7のIV度感からIIIm7感を持つDm7に落ち、VI7に該当するG7で浮遊感が出ます。
そこからII-V-IでB♭M7。
すぐIII7であるD7が短調感がでます。
これらのG7やD7は、それぞれが持つ雰囲気が活かされ、主和音の重心を曖昧にすると、歌詞の印象からも、文章の最後に「だけどね」といった口ごもりのような雰囲気を感じさせながら、曲調を作っていると感じました。
本来は、E♭M7 Dm7 |Gm7 |で短調なるべきところが、G7によって「乾燥」を起こし、あとに続くB♭メジャーキーのII-VであるCm7 F7は、まるで別のキーのII-Vのように感じさせます。
また、続くD7によって強烈に短調を指向するIII7が存在感を打ち出しますが、Gm7には向かわず、またE♭M7に向かい、引き戻されたように次の歌詞へと続きます。
"おだやかな冬景色が なつかしかっただけなの?"
もはや男はここで質問攻めにされます。主和音に戻れない感じが、どぎまぎとした空気を発する女性のそれとなっているように感じました。。怖い!笑
サビ (1:11-)
Cm7 | F7 |B♭7 |B♭7 |E♭ |F7 |Dm7 |Gm7 |
Fm7 |B♭7 |E♭M7 Gm7 |Cm7 |
Fm7 |B♭7 |E♭M7 |D7sus4 D7 |
=degree=
(key=B♭)IIm7 | V7 |I7 |I7 |IV |V7 |IIIm7 |VIm7 |
(key=E♭)IIm7 |V7 |IM7 IIIm7 |VIm7 |
IIm7 |V7 |IM7 |III7sus4 III7 |
ここではpivotコードを用いた転調のような最後になっています。最初はバイプレイヤーだったE♭が最後には主和音になってしまう・・・、
まるであなたからスッと離れて別な人に気持ちが移ったような‥
というのは想像ですが、こうした色合いの変化で、同じ和音でも「主和音感」「IV度和音感」を持たせることのできるユーミンチームならではの微妙な和声のグラデーションはまさに伝統芸です。
ユーミン楽曲の薄い転調は、微妙で多彩な恋心をイメージさせる、というより、色合いが豊富だから、「心がざわついてしまってそういうクオリアを持たされてしまう」とかって人のせいに感じています。
結構人の欲望なんて、ちょっとしたことで揺らぐんだなぁ、なんて。
だからそういうサインを出す異性と一緒にいると、すぐに染まってしまうんだと思います(ただの言い訳か)。
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