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音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

M-Bankスティービー・ワンダー楽曲(コード進行)研究レポート公開シリーズ2★★★

スティービー・ワンダーの和声構造

~非視覚的クオリアを活用した作曲技法~

前回

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<不定調性論について>

盲目であるスティービー・ワンダーは、楽譜を書かない。
感じたことを創作し、録音して、記憶して、演奏する。
楽譜を考えずして、記号を考えずして音楽を捉える、このあたりにも、彼の音楽の構造を理解するヒントが隠されているのではないだろうか。視覚的ではない音楽の部分に特化して音楽を見ると、どう見えるのか。

スティービー・ワンダーの楽曲における和声の展開を考える上でも不定調性論は欠かせない。

ある和声Aからある和音Bに進行するのがコード進行であり、このAとBにはあらゆるコードが配置可能である。それを方法論的に可能にしているのが不定調性論である。正直に述べれば、“私の中ではそういう方法で全て可能になったので、非機能的な流れに迷うことはなくなった”という方法論である、というだけであり、結局どんなに出典を並べたとしても、またそれによってグラミー賞を受賞しようがしまいが、個人が考えたことはどこまで行っても「独自論」である。

大切なことは、あなたが音楽表現に迷ったとき、どうすれば解決するだろうか、という解決策を自分で創造できることである。

・インターネットサイトからヒントを調べる

・大作曲家の理論書を見る

・Youtubeでダラ見しながらお菓子を食べて閃くのを待つ

これらを選択するのは、理論書でもインターネットでもない。結局あなたなのだ。

"文章がどんなに分かりやすく書いてあっても、どんなに動画サイトの説明が分かりやすくても、解釈するのはあなただ。あなたが「自分のやり方を確立する!」という意欲さえあれば良い。"

というのが不定調性論的観点である。パソコンを「端末」と呼ぶが、それでコンピューターウイルスを作るのか、名曲を作るのかをパソコンデザイン者は指定できない。そしてどちらの者もパソコンが出来る範囲を活用した新たなウイルス、新たな楽曲表現を作っていく。

理論を作る者も端末の思想までをコントロールできない。

設計者は端末を扱うものが解釈する脳内までをコントロールできない。

これをしてはいけない。もし「これこそが正しい」と言ってしまったらそれは洗脳である。

不定調性論の基本は「矛盾=人類がまだ無知なために理解できない仕組みが一見物事を矛盾しているように見えてしまう現状、を受け入れる」であるから、もちろんあなたの振る舞いは自由である。脳の振る舞いについてまだ私たちが無知だからである。

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“その和声がなぜ自分にとっても可能なのか、なぜ自分にしっくりくるのか”

という情動的反応を不定調性論は機能や調的構造、過去の作品の美的価値観に依らず、作家自身の現時点での感性(=そこにこれまで聞いてきた全て情報が潜在的にすべて蓄積されている)で判断することになる。

学習者がそれまでの勉強によって培ってきた感性によって感じる目の前の「和声の進行感」が、作家を快に導くか、不快に導くかの選択だけである。

当然、相応の勇気が必要である。

スティービーが諦めなかったような勇気である。

 

たいてい音楽教育は中途半端な知識によって現場に押し出されてしまう。ゆえに自分の音楽は勉強が足らないからどこか劣っているのではないか、何か足らないのではないか?と考えてしまうだろう。最後は自分だけが取り残されるので、最初から最後まで自信を持って、後悔のない音楽活動を続けていけるだけの自信を学習過程で掴んで頂きたくてこのブログのような発信を続けている。

スティービーにも方法論がある。彼がその人生の中で生み出してきた方法論だ。

 

また、本レポートではスティービーの優れた歌詞の世界にはほとんど触れることができなかった。歌詞の内容が和声・旋律に及ぼす影響についてはユーミンレポートを参考に手黄葉・展開頂きたい。

 

スティービーの楽曲はレポートを書いた当時の自分には「暗号」そのものであると感じた。

 

スティービー・ワンダー(Stevie Wonder, 1950年5月13日 -)
アメリカのミュージシャン、作曲家、音楽プロデューサー。
歌のほか、様々な楽器を演奏するマルチ・インストゥルメンタリストであり、11歳の時にモータウンのTamlaレーベルと契約して以来、現在までモータウン一筋に活動する。
30曲以上のU.S.トップ10ヒットを放ち、計22部門でグラミー賞を受賞、最も受賞回数の多い男性ソロ・シンガーである。

1950年生 保育器内の過量酸素が原因で、生まれてすぐ視力を失う(注;原因不明とする資料もある)。
1963年 《フインガーティップス》でアルバム・デビュー。
1974年 グラミー賞で「アルバム・オブ・ザ・イヤー」をはじめ5部門を受賞。
1975年 グラミーで再び主要5部門を独占。
1976年 7年間で1300万ドルというレコード産業史上の最高金額でモータウンと契約更改。
1989年 「ロックの殿堂」入り。

(以上公式サイトより一部抜粋、注は別途参考文献より)

キーボード、ハーモニカ、シンセサイザー、ドラムなどを自在にプレイし、多作家とも言われ、1枚のアルバムを製作するのに1,000曲の中から厳選するなど、作品の質に厳しいアーティストであるとも言われている。ソウルミュージック、ブルース、ロック、ジャズなどのあらゆるポピュラーミュージックを自身の音楽性のなかで再生産するような楽曲が天性のメロディセンスによってスティービー節とも言われる独自の節回しで展開されていく。

以上は、インターネットサイトから一般的に知ることのできる内容として引用。

スティーヴィー・ワンダー - Wikipedia

Stevie Wonder - Wikipedia

   

 

C O N T E N T S
※リーダーアルバムより、カバー、共作も含め328曲より123曲をピックアップ。
アルバム1;「The Jazz Soul of Little Stevie Wonder」(1962)

アルバム2;「Tribute to Uncle Ray」〜レイ・チャールズに捧ぐ〜(1962)
(I'm Afraid) The Masquerade Is Over
ブルージー7thの活用
Come Back Baby
 レイ・チャールズ&スティービーブルース
Mary Ann
 回帰しないV7ブルース
Sunset
 ブルース的進行とIVm
My Baby's Gone
 三度の交換性
アルバム3;「The 12 Year Old Genius」〜12歳の天才〜(1962)

アルバム4;「With a Song in my Heart」〜わが心に歌えば〜(1963)
Dream
IからVII7の揺れ戻し
Get Happy
 I調→IV調転調曲
アルバム5;「Steve at the Beach」〜アット・ザ・ビーチ〜(1964)
Beachstomp
 和声の直感的使用
Beyond The Sea
 長三度転調から短三度転調

アルバム6;「Up-Tight Everything's Alright」〜アップタイト〜(1966)
Love a Go Go
 締めのコードがVm
Hold Me
augクリシェ、II7
Uptight(Everything's Alright)
 D-C/Dの2コード

アルバム7;「Down to Earth」~太陽のあたる場所~(1966) 
A Place in the Sun
 8小節がメロディを繰り返される
Bang Bang
 Im-VII♭-V7で変化が付けられた楽曲
Thank You Love
 曲前半に半音上昇転調三回される曲
Be Cool,Be Calm(And Keep Yourself Together)
 A♭-B/A♭-D♭/A♭-A♭ビートルズ的不定調性進行曲
Sylvia
 7(♭5)コードの登場
Hey Love
 I度調→IV度調

アルバム8;「I Was Made to Love Her」-愛する娘に-(1967)
I Was Made to Love Her
 F-B♭m-E♭7-D♭-E♭-Fの繰り返し曲
I'd Cry
 半音ベースライン下降のクリシェ的楽曲
Everybody Needs Somebody
 VII♭/Iの使用
Respect
 オーティスレディングの不定調性進行
Baby Don't You Do it
 B♭一発の曲
I Pity the Fool
 揺れ戻しのコードが入ったブルース
Every Time I See You, I Go Wild!
 四つの常套句進行を持つ曲

アルバム9;「Someday at Christmas」(1967)
Someday at Cristmas
 半音上げ転調を三回行う
Christmastime
 II#dim7の活用
What Christmas Means To Me
 7thコード活用の曲

アルバム10;「Eivets Rendnow」(1968)

アルバム11;「For Once in My Life」(1968)
For Once in My Life
 ラインクリシェの多用
I Wanna Make Her Love Me
 D♭マイナーペンタトニック的楽曲
I'm More Than Happy
 センターコードA♭で作曲できる曲
Don't Know Why I Love You
 センターコードB♭で作曲できる曲
I'd Be a Fool Right Now
 センターコードA♭→E♭で作曲できる曲
Ain't No Lovin'
 IV#M7から始まる曲
God Bless the Child
 テンションサウンドの曲、クリシェ使用曲
Do I Love Her
  VIIM7、VII♭M7使用曲
The House on the Hill
 E♭のブルースIII♭、VI♭、VII♭使用

アルバム12;「My Cherie Amour」(1969) 
My Cherie Amour
 IVsus4使用曲
Hello Young Lovers
 I、IImのラインクリシェ二種類が使用される曲
Light My Fire
 m7コードの短三度移動使用曲
Pearl
 ドリアンIV7使用曲、メジャーコード短三度移動使用曲
Somebody Knows,Somebody Cares
 ラインクリシェ使用曲
Angie Girl
 IVm6使用曲
I've Got You
 ラインクリシェ使用曲、セクションごとの転調

アルバム13;「Sighed,Sealed & Delivered」(1970)
Never Had a Dream Come True
 I度調、IV度調への転調曲
Joy(Takes Over Me)
 III♭、VI♭、VII♭、IV、Iのメジャーコード使用曲
I Gotta Have a Song
 転調多用曲
Something to Say
 転調多用曲

アルバム14;「When I'm Coming From」〜青春の軌跡〜(1971)
Think Of Me As Your Soldier
 IVm6の陰り、I-IV近親調転調
Do Yourself A Favor
 E♭7ワンコード/モード的ナンバー
Something Out Of The Blue
 m7コード短三度連鎖
I Wanna Talk To You
 IV7sus4的響き
Take Up A Course In Happiness
 同主調和音の借用
Never Dreamed You'd Leave In Summer
 特徴的な下降ベース
Sunshine In Their Eyes
 組曲的作品、E♭,D♭の二重調的

アルバム15;「Music of My Mind」〜心の詞〜(1972)
Girl Blue
 m7コードの連鎖
Evil
 四度での転調を三回

アルバム16;「Talking Book」(1972)
You Are the Sunshine of My Life
 VIM7、II7使用、視覚物の抽象化の歌詞例として
You And I
 エンディングコード参考例
Tuesday Heartbreak
 I-IIm7-IIIm7-IVm7-VII♭7
You've Got it Bad Girl
 m7コード実験曲
Superstition
 Bメロの7th進行、リフ楽曲例
Blame it on the Sun
 IVへの転調、景色感の激変例
Lookin' For Another Pure Love
 EM7センターの不定調性進行

アルバム17;「Innervisions」(1973)
Too High
 ホールトーン的コンセプト
Visions
 m7(9)、7(9)利用コンセプト
Living for the City
 ベースライン統一の例
Golden Lady
 曲後半半音転調5回
Higher Ground
 リフ楽曲例
Jesus Children of America
 ブルーサウンドとm7
All in Love Is Fair
 VI♭m7、IV7-VII♭7使用
Don't You Worry 'Bout a Thing
 sus4コードの連鎖、ラインクリシェ使用
He’s Misstra Know It All
 ラインクリシェ的上昇下降

アルバム18;「First Finale」(1974)
Smile Please
 コードメロディの揺れ戻し
Too Shy To Say
 下降ラインクリシェ的不定調性進行、シークエンス構造
Boogie On Reggae Woman
 ブルース的楽曲、II7、半音下降ベースライン
Creepin'
 フュージョン的和声進行曲
You Haven't Done Nothin'
 半音移動効果使用
They Won't Go When I Go
 dimコードの不安感、シークエンス下降
Please Don't Go
 ラインクリシェ使用曲、II-Vによる転調感

アルバム19;「Songs in the Key of Life」(1976)
Love's in Need of Love Today
 曲後半IIIm7に9thのサウンド効果が使われている
I wish
 リフ楽曲例
Summer Soft
 曲後半6回半音転調
Joy Inside My Tears
 関係調を行き来する曲、augコードの使用、m7コードの連鎖
As
 VII♭とVIIm7の混在
Saturn
 C、D♭キーを行き来

アルバム20;「Journey through the Secret Life of Plants」(1979)
Same Old Story
 増四度進行、Vm7(♭5)の使用
Send One Your Love
 6thコードのクオリア
Outside My Window
 IIIm7-II♭m7-IIm7の冒頭
Black Orchid
リディアンモードのイントロ
A Seed’s A Star
 5thのラインクリシェ使用

アルバム21;「Hotter than July」(1980)
Rocket Love
 5thのラインクリシェ使用
I Ain’t Gonna Stand For It
ベースライン下降のクリシェ的進行
As If You Read My Mind
 M7(11)のサウンド利用
Master Blaster
 Im7-IV7のドリアン的進行

アルバム22;「Musiquarium I」(1982)
That Girl
 m7のクリシェ、転調における選択肢事例

アルバム23;「The Woman In Red」(1984)
心の愛~I Just Called to Say I Love You
 IImのクリシェ使用
Weakness
 転調感の激しいデュエット
Don’t Drive Drunk
 C-B♭で楽曲のほとんどのパートができている

アルバム24;「In Square Circle」(1985)
Part-Time Lover
 メロディ音のぶつかりのある例
I Love You Too Much
 m7(9)サウンドとVI♭m7の使用
Whereabouts
 VIM7、IIM7使用曲、混沌とした進行感
Never In Your Sun
 X7(♭5)、半音上げ転調
Spiritual Walkers
 セクションごとの和声が固定される不定調性楽曲
Overjoyed
 IIIm7で6thがなる/メロディ音のぶつかりのある例

アルバム25;「Characters」(1987)
You Will Know
 メジャーとマイナーの響きの対比
Skeltons
 E♭m7一発で解釈できる曲

アルバム26;「Jungle Fever」(1991)
Fun Day
 半音転調をコード進行のように扱う
Each Others Throat
 7thコード全音連鎖
If She Breaks Your Heart
 X7(♭5)、飛翔感のあるCとCm的コード
Gotta Have You
 E♭-Fm7/E♭-G♭/E♭-Fm7/E♭を統一して利用
I Go Sailing
 シークエンス進行、X7(♭5)
Jungle Fever
 リフ的楽曲、スケール的に盛り上がっていくベースライン
Chemical Love
 シークエンス進行

アルバム27;「Conversation Peace」(1995)
Taboo To Love
 ダブルフェイク進行
I’m New
 同じm7(♭5)を違う色彩感で
My Love is With You
 借用コードを用いる王道的不定調性進行
Sorry
 ベースラインをeで統一

アルバム28;「A Time To Love」(2005)
Sweetest Somebody I Know
 不定調性ボサノバ、one note samba的
Moon Blue
 メロディックマイナースケールのピアノソロ
From The Bottom Of My Heart
 II-V感による連鎖
Passonate Raindrops
 二つのライン・クリシェ、Bメロで二つのキー、サビでもクリシェ的進行
True Love
 II-V感の破たん的連鎖
Can’t Imagine Love Without You
 シークエンス転調の構成曲


文言集;非視覚的な世界を考える-盲目のミュージシャンの言葉-

 

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==コーヒーブレイク〜M-Bankロビーの話題== 

スティービーのハーモニカ・・。かっこええ。。

HOHNER ホーナー スーパー 64 C調 7582/64

情報源はこちらです。

theharmonicacompany.com