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M-Bankスティービー・ワンダー楽曲(コード進行)研究レポート公開シリーズ8★★★

スティービー・ワンダーの和声構造

~非視覚的クオリアを活用した作曲技法~

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アルバム9;「Someday at Christmas(1967) 

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事例26Someday at Christmas (CDタイム 0:05-)

A  |E/G# |G |D |Dm |A |Bm E |Bm E  |

A  |E/G# |G |D |Dm |A |Bm E |A   |

=degree=  key=A

I  |V/VII |VII♭ |IV |IVm |I  |IIm V  |IIm V  |

I  |V/VII |VII♭ |IV |IVm |I  |IIm V  |I  |

このパターンで、半音ずつキーを挙げAで2まわし、B♭で3まわし、Bで1まわし、Cで2まわしという流れで展開する。

この曲こそ後に何曲か登場する、転調によって雰囲気を盛り上げていく作品の初期の代表作であろう。

声のレンジが広いから出来る、というようなボーカリストのポテンシャルによる技巧とも言えるし、声の調子と、クリスマスの雰囲気の盛り上がりのようなテンションがこの単純な転調技法によって表現されている。

Ron Miller and Bryan Wellsの作品であるから、スティービーの技能が良く把握されている。スティービー本人は、より高く、よりクリアーにという音楽の展開に彼なりの価値観を形成していったはずである。ゆえにこの進行感が後の曲でもパターンとして用いられる。上昇することへの迷いがない。

 

事例27Christmastime (CDタイム 0:03-)

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Em7 |D#dim7 |Dm7 |Dm7 |

G  |G  |C  |C  |

=degree= Key=C

IIIm7  |II#dim7  |IIm7  |IIm7  |

V  |V  |I  |I  |

スティービーの作曲ではないが、IIIm7からパッシングディミニッシュを伴う作風で、これが冒頭に出てくることで、クリスマスの雰囲気を醸し出している理由を各位で考えてみるとよいと思う。むしろディミニッシュがなぜクリスマスの雰囲気になるのか、という事を考えてみても良い。

このあたりは音楽的なクオリアの範囲になってくるので、各位で検討頂きたい。

   

事例28What Christmas Means To Me (CDタイム 1:18- ) 

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〜F7  |F7  |F7  |F7  |C7  |C7  |C7  |C7  |

D7 |D7 |D7 |D7 |G7  |G7 |A♭7  |A♭7 |

D♭7  |G♭7 |D♭7  |G♭7 |

D♭7  |G♭7 |D♭7  |G♭7 |〜

=degree= Key=C→D♭

〜(Key=C)IV7  |IV7  |IV7  |IV7  |I7  |I7  |I7  |I7  |

II7 |II7 |II7 |II7 |V7  |V7 |VI♭7  |VI♭7 |

(Key=D♭)I7  |IV7  |I7  |IV7  |I7  |IV7  |I7  |IV7  |〜

CメジャーキーのVI♭であるA♭7が一瞬サブドミナントのVI♭のように響くが、これは当然半音上げ転調のためのV7であり、そのままCから見たII♭であるD♭キーに上がっていく。オーソドックスな転調方法だが、このVI♭を随所に出しておけば、いつ転調してもおかしくないし、転調しないでV7に戻ることで転調に見せかけるようなフェイクも作れるのではないだろうか。これは曲調が7th系統だからできるアイデアであろう。

 

アルバム10;「Eivets Rendnow(1968) 

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このアルバムは、イージーリスニング的なアルバムで、全曲インストゥルメンタルであるため、今回の分析では詳細の分析掲載は割愛する。同アルバムでは自身名義のみのオリジナル曲を三曲掲げ、メインのメロディをハーモニカで取っている。

それまでのヴォーカル楽曲にはない転調なども多用され、イージーリスニングというよりも、当時最先端のハーモニカを中心したフュージョンアルバムと言っても良いだろう。ホーンセクションやストリングスセッションも多用されている。

 

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==コーヒーブレイク〜M-Bankロビーの話題== 

スティービーと共に過ごした三浦氏の著書。。ぜひ再販してほしいなぁ。。

f:id:terraxart:20190403163204p:plainM-Bankにあるよ!

 スティービー・ワンダー我が半生の記録―冷たい鏡の中に生きて (1976年)