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音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

三度を曖昧にできる理由;長調と短調が激しく混ざり合うブラックミュージックの根元について〜スティービー・ワンダーレポート3

2019.3.20⇨2020.1.22更新

スティービー・ワンダーの和声構造

~非視覚的クオリアを活用した作曲技法~

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アルバム1;「The Jazz Soul Of Little Stevie Wonder」(1962) 
※記念すべき作品ですが、本レポートの主旨では解説を割愛します。

 

アルバム2;「Tribute To Uncle Ray」〜レイ・チャールズに捧ぐ〜(1962)  
事例1;(I'm Afraid) The Masquerade Is Over(CDタイム 0:22-)

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E♭ |G7 |Cm |B♭m7 (E♭7/B♭) |
A♭ |C7 |F7 |B♭7 |
E♭ |E♭7 |A♭ |A♭m|
E♭ |C7 |Fm7 |B♭ 7 |
E♭ |A♭m |E♭ |E♭ |〜


=degree=  key=E♭
I |III7 |VIm |Vm7 (I7/V) |
IV |VI7 |II7 |V7 |
I | I 7 |IV |IVm|
I |VI7 |IIm7 |V 7 |
I |IVm | I | I |〜
Herbert MagidsonとAllie Wrubelの作品。

ブルージーな要素が満載の進行感とメロディ。

11歳のスティービーの声も若く幼いけど、その表現力は凄みすら感じます。

 

7thコードの進行感のマスターとして。


ここでは、III7、VI7、II7など、ブルージー楽曲で出現する7thコードがすべて現われてます。


ブルース楽曲はもともと調性とコードの概念がないため、抽象性が高くなり、調的外コードが入ってきても、それなりの解釈を促すことができます。

ブルーノートの話については下記あたりから。

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いかに西欧音楽が「正統」を創り出しても、それ以外の方法でまた魅力的なものが作れる、ということをブルースは示してくれました。そしてジャズから派生したポップカルチャーミュージックは20世紀から世界を支配しています。

黒人文化はある意味で世界一優秀だと感じています。西欧人が黒人を奴隷にしたのは彼らを直感的に恐れたからかもしれませんね。力、というより文化的な質の高さが白人の野蛮さとは違うもっと種族の危機を感じるほどの野蛮さと高性能を誇っているのですから。ブルースはその野蛮さを1ミリリットルだけ混ぜた教会音楽、と考えれば言いのかもしれません。ラップにしても、ファンクにしてもあの躍動感=これを野蛮さというとして。は、絶対に我々では真似ができないんです。飛び抜けて優れた彼らの能力はもっともっと敬意を持って国家によって研究・育成されるべきだと思います。日本人の子供の文化教育もまた是非。

===
さて、この7th連鎖の和音感覚を身につけるためには、自由に7thコードを繋ぎ合わせて、16小節のコーラスを作ってみる、というような練習を繰り返すしかありません。

例)
|:C7 |D7 |F7 |A♭7 |
C7 |D7 |F7 |A♭7 |
B7 |B♭7 |A7 |A♭7 |
G7 |F7 |E♭7 |D♭7 :|

こうした進行感で、メロディを乗せたり、アドリブをしたりすることで、自身の和音感覚を鍛えていきます。

これらがなんのキーかとか、何スケールが使用できるか、とかを考えず、まずはゆっくり楽器で弾きながら、鼻歌でメロディを乗せ、イメージを作り、それを喚起するような歌詞を載せてみるわけです。彼らがキーとかスケールとか、考えてると思います?

もっと別なものを感じながら音楽をやっているように思いませんか?

じゃあ、何を感じてるんでしょう?聞いてみて?

M-Bankにも黒人ミュージシャンたくさんいらっしゃるのでよく話を聞きます。するともっと霊的なものを大事にしていたりします。文化性の高さ、感性の違いを実感します。それを拙論では「クオリア」と呼んで日本にもあった霊的な直感力を鍛えればいいのでは?なんて考えています。

 

事例2;Come Back Baby (CDタイム0:04-) 

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A♭7 |A♭7/G♭ |D♭ |Ddim7 D♭ |A♭7 | F7 |B♭7 |E♭7 | A♭7 |D♭ |A♭7 |E♭7 |


=degree= key=A♭ブルース
I7 |I7/VII♭ |IV |IV#dim7 IV |I7 | VI7 |II7 |V7 | I7 |IV |I7 |V7 |


レイ・チャールズの作品によるブルースである。11歳の歌表現ではない笑。

コードから考える、というスタンスのない天才の構築感。コードの変化感に頼るのではなく、メロディそのものがそのコード連鎖を生み出しているような。

これを「音楽的なクオリアによる旋律的指向性」と本レポートでは呼び、展開していこうと思います。

コードなどなくても、リズムと旋律だけで起承転結が作られている、という事です。

これもまたブラックミュージックの旋律依存性の高さ、リズムが高揚していく過程の中で、まるで解決という概念の無い、
“起承転起承転起承転起承転起承転”
と展開しながら節目を自然と設けるような形式です。

 

ユーミンレポートでは完全に和声進行にのみ着目してもある程度の形式解説になりましたが、スティービーの音楽は、和声などなくてもリズムとメロディとリフによって「進行感」を楽曲が持っていることに気がつきます。

スティービーが自分のメロディで“ストーリーを作り、起承転結をメロディで作っている”がゆえに、変態的なコード進行でも起承転結がはっきり見える、という表現技術を持っていることが分かります。

コードで変態なことをするのではなく、もともとどんな旋律展開でも音楽として成り立たせてしまう能力、とでも言えばいいでしょうか。コードの価値がjpopよりも下位なんですね。


機能和声初学者はコード機能に頼ってストーリー性を作ってしまう音楽性だと、似通ったストーリーを作らざるを得ない、というジレンマに陥ってしまいます。

本レポートで紹介するスティービーの楽曲のメロディ、リズム、リフ(バッキングを含む)を良く観察して同系統の曲を作ってみるトレーニングを積むと、和声の機能からだいぶ解放されるのではないでしょうか。

 

例えば、メロディがc-c-c—d-d-d—e-e-e—d-d-d—とある場合に、乗せるコードを、
CM7 |Ddim7 |D♭m7 |G7 |

としてみましょう。このとき、この和声の流れを「起承転結」と捉える発想の転換をしなければなりません。

ストーリー感が作れれば、あとは楽器・歌での表現。

です。

さらに和声がない状態で、16ビートを基調にしてc-c-c—d-d-d—e-e-e—d-d-d—というメロディのみ延々セッションして、進行感を和音によらず作っていくトレーニングも有効でしょう。

 

単純にE7一発のセッションで、様々なリフ、ソロを出して音楽的会話をする、というところからトライしてみてくだださい。

   

事例3;Mary Ann (CDタイム 0:42-)

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G7 |G7 |G7 |G7 |
C7 |C7 |G7 |G7 |
D7 |C7 |G7 |G7 |


=degree= Key=Gブルース
I7 |I7 |I7 |I7 |
IV7 |IV7 |I7 |I7 |
V7 |IV7 |I7 |I7 |
レイ・チャールズの作品。

オーソドックスなブルース進行でV7がIに帰着しないタイプのブルースの特徴的進行例、またコーラスの最後からIに戻る際もVを挟まず、Iのままブレイクを作り戻る→ブレイクそのものが「ドミナント性」を体現している例です(ハーモナイズポイント=不定調性用語)。

これも機能に頼らない一つの方法です。

盲目のスティービーにとってもこうした"目に見えないけど明らかに区別でき、メンバー間と共有できる時間的な差異=時間による音楽の機能感"による楽曲展開は理解しやすかっただろうと感じます。

ブレイクは目が見えなくても、音楽の知識がなくてもハッとします。そこには変化、緊張のクオリアがあります。これがドミナントの代わりになるわけです。

 

CM7 Dm7  |Em7   A7 |Dm7   | ■  |CM7

というように、ブレイクにしても、このお休みの小節ではドミナントを感じるように教育されています。

 

(CDタイム1:24-)
曲に変化をつけるため、シャッフルビートになっています。

ブルース音楽のリズム変化は程よいエキサイティングを提供します。「リズムの転調」というのもあるでしょう。またリズムが変わればイメージも情感もすべて変わります。

不定調性論は和音の連鎖論なのでリスムは専門外です。というか逆にリズムは好きな学習法を取ってください、という意味であり、また逆にリズムもまたクオリア的な「イエメージで選ぶ」ということが和音練習から培われていくと思います。

 

リズム変化、5曲作るなら、一曲ぐらい入れても良いですよね。

また2:28-にみるようなブレイクもまた、まさに奇抜なドミナントコードが挟まれたのと同じ効果があるように思えます。

学ぶことありすぎブラックミュージック。

 

事例4;Sunset (CDタイム0:11-) 

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F5 E♭5 E5 |F5 E♭5 E5 |F5 E♭5 E5 |F5 E♭5 E5 |
F5 E♭5 E5 |F5 E♭5 E5 |F5 E♭5 E5 |F5 E♭5 E5 |
※ここまでのメロディ音にF7の7th音、3rd音などが音価を持っているため、F5はF7に該当すると解釈できます。
B♭m /A ♭ /A |B♭m /E♭ /E |F5 E♭5 E5 |F5 E♭5 E5 |C |B♭ |

 

=degree= key=F
I5 VII♭5 VII5 |I5 VII♭5 VII5 |I5 VII♭5 VII5 |I5 VII♭5 VII5 |
I5 VII♭5 VII5 |I5 VII♭5 VII5 |I5 VII♭5 VII5 |I5 VII♭5 VII5 |
IVm /III♭ /III |IVm /III♭ /III ||I5 VII♭5 VII5 |I5 VII♭5 VII5 |

この曲はスティービーもクレジットされています。

 

ブルース的進行の中でIVmが変化を与えています。


※F5ではM3rd音と、m3rd音がメロディに共存しています。

この辺りは不定調性論の第五章でも述べている通り、ブルースは四度音程を軸にしている、と考えられるので、五度領域部分の三度にあまり重きを置く必要がない、という特性の体現、となります(これは不定調性論の論法なので、歴史的な事実ではない)。

 

五音音階を基調に音楽を考えようとすると、どうしても五度ではなく四度を主体にしなければなりません。そうして三度の浮遊性と七音音階との差によって現われるブルーノートの存在が明らかになるわけです。

あなたは考えたことがありますか?

「ブルーノートって和音から外れてるのになんであんなにカッコよく響くんだろう。」

私はあります。不定調性論では「反応領域」という考え方で響くベクトルをコントロールできるので、一回「良い!」と思ったら次からはそれが反応するように感じることができる、という人の感覚をうまく活用できるようにしました。するとかっこいい、と思うアウトな音はブルーノートだけでないことが明らかになります。

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事例5;My Baby's Gone (CDタイム 0:17-)

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E♭ |A♭ |E♭ |A♭ |E♭ |A♭m |E♭ |B♭ | 〜


=degree= Key=E♭
I |IV |I |IV |I |IVm |I |V | 〜


Berry Gordy, Jr.の楽曲。

I-IVの交換から、変化をつけるためにIVmを使用、長調感と短調感が即座に入り交じっています。これは先の曲と同様に、三度の交換性が容易なため、長短調がほぼ同等に存在する価値観を持った民族性(アフリカ音楽では常識;参考

『アフリカ音楽の正体』から不定調性論第六章への展開)。

 

これもブルーノートの三度に対する広義な解釈の発展した姿と考えてみてはどうでしょう。


ここで考えて頂きたいのは、盲目のスティービーにとって、短調と長調の劇的な変化の雰囲気がいったいどのような存在であり、概念としてとらえられていったのだろうか、ということです。

よく光と陰りというが、彼は光が認知できません(どの程度光源がみえるのかは不明)。

そうなるとイメージや感情的な喜怒哀楽にこの二つの概念を落とし込むことになります。

この辺りの謎解きが本レポートの目的でもあります。

この段階ではまだよく分からない、という結論で先に進めたいと思います。

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==コーヒーブレイク〜M-Bankロビーの話題== 

スティービーのハーモニカ・・。かっこええ。。

HOHNER ホーナー スーパー 64 C調 7582/64

情報源はこちらです。

theharmonicacompany.com