2018.4.1⇨2020.9.15更新
スティーヴィー・ワンダーの不定調性進行分析
Sir Duke
Sir Duke
Aメロ
B |Abm |G |Gb |
B |Abm |G |Gb F|
Bメロ
B Bb |A Ab |A Bb |B |
B Bb |A Ab |A Bb B C |Db |
サビ
B |Ab7 |EM7 |Dbm7 Gb7 |
B |Ab7 |EM7 |Dbm7 Gb7 |
スティービー・ワンダーの「視覚的感覚を用いない作曲技法」に、こうした作品を生み出すヒントがあると、私は考えています(レポート参照)。
「視覚を越えたイメージ」について、想いを巡らせることがスティービー・ワンダーのずば抜けた音楽性をあなたの中に引き込むヒントになるのではないでしょうか。
なんといってもBメロ。
曲の中で「型にハマっちゃいけない!」と彼は歌います。
まさにその通りの展開。
あなたは次の問にどう答えますか?
そのコードから次のコードに向かう時、あなたはそれをどう決めるか?
理屈?経験・誰かの真似?感覚?直感?サイコロを振る?クライアントの希望?
結局あなたが勝手に枠を設けているだけです。決めるのは自分自身でありそこにどのくらいの決定力があるかという感覚が才能と呼ばれる能力だと思います。
(そして、この漠然とした自分で選択するという行為を中心に音楽を作っていく方法論を独自論として表現しています。)
この曲の独特な和声のジェットコースターのような感覚、視覚のないスティービーがジェットコースターに乗ったら、どんなイメージを感じるのでしょうか。
このような半音連鎖は、“Don't You Worry bout Thing”ではsus4⇒メジャートライアドの連鎖でも活用されています。彼の音楽的アイデアの一つでもあります。
For Once In My Life
Aメロ
F Faug |F6 F7 |Gm GmM7 |Gm7 C |
Gm GmM7 |Gm7 C7 |F C7 |F7 |
Bメロ
F F6 |Faug Bb |Gm7 C |EM7 |
Am |Dm |Gm7 Am7 |Bbm7 (C7) |
クリシェ進行が効果的に用いられています。
aug系とmM7系の二つのクリシェが使われています。
スティービーがなぜ沢山のクリシェ進行を使うか、ということについてもレポートにて掲載しましたね。
全盲であるがゆえに、クリシェ進行が持つ利便性と、その雰囲気との感覚的協和が起きている、という考え方です。
(他でも述べますが、クリシェは指の動きが楽なぶん、目の見えない彼には扱いやすかったという結論です)
不定調性論では、こうした和音の1音が変化する、一般的なクリシェ進行は「静進行」という区分けに入ります。クリシェ進行が本当に美しいなぁ、と思う人は、スティービーを真似て、とことんその進行感を自分なりにこの進行感を発展させてみてください。
C |E/C |C7(13) |C#dim(b13) |
Dm |DmM7(b5) |Dm7(11) |C#7(b5)
これはCとDmをベースに二音を動かしたクリシェ進行の応用例です。
不定調性論では、こうした展開を「静進行」と「動進行」という考え方で体系化していきます。