前回
E♭M7 |Fm7 |Gm7 |Am7 D7 |
E♭M7 |Fm7 |Gm7 |Am7 D7 |
degree
IM7 |IIm7 |IIIm7 |IV#m7 VII7 |
IM7 |IIm7 |IIIm7 |IV#m7 VII7 |
これを再度見てください。ここにはいくつも「進行感の連鎖」があります。
まず
IM7 |IIm7 |IIIm7
ダイアトニック進行感です。良く聴く進行です。
そして、一つ飛んで、
Am7 D7
これ、単品で見たらII-Vです。
CM7 |Dm7 |Em7 |Gm7 C7 |FM7
みたいにしたら、「ああ、はいはい」みたいに感じる方いらっしゃると思います。
この惰性を超えるための手段が同曲の
E♭M7 |Fm7 |Gm7 |Am7 D7 |
です。
メジャーコードだけのコード進行で数々の世界的ヒットを飛ばしたビートルズがライバルだった時代、スティービーはマイナーコードだけで展開できるコード進行をいくつも打ち出しています。
だから、このGolden Ladyの進行は彼の持ち駒のひとつ、マイナー7thの連鎖の技法なので、「スティービー語」なんですね。
でGm7-Am7の違和感を取り除くのがAm7-D7という流れです。既存感覚として染み込んだII-V感を用いることで、瞬間的な違和感を同様に瞬間的に回避しています(当然II-Vが染み込んでいない人はまずそこまでたどり着きましょう)。
そして最後に、
|Am7 D7 |E♭M7 |
です。このD7は半音上がって主和音に流れます。
これはIIbM7感またはVIbM7感の借用です。
Dm7 |G7 |C#M7 |CM7 |
とか、
Dm7(b5) |G7 |Cm7 |A7 |Dm7(b5) |G7 |AbM7 |DbM7 |CM7 |
みたいな感じで、ふわっと飛びあがるコード感があると思います。これを覚えておけば、
|Am7 D7 |E♭M7 |
これも必然性が出てくると思います(いつでも候補として使えるようにしておくこと)。
=====
その先を述べたいと思います。
幾つか疑問があると思います。
「なんで、スティービーはこうしたコード進行を発想できるのか」
これについては、スティービーレポートでは「目が見えないから」と書いています。もっと書けば、目が見えないことで活用することになった感覚、と感じました。
こう考えてください。
CM7-Dm7-Em7-FM7
が、朝、シャキシャキと職場へ闊歩するイメージだとしましょう。次はどうでしょう。
CM7-Dm7-Em7-Fm7
急にドラマチックに私は感じます。では、
CM7-Dm7-Em7-F#m7
は、どうでしょう。抽象的になりませんか?
景色がない、というか、景色では表現できない、というか。
でもスティービーは景色など見えません。常に頭の中の抽象的なイメージを具体化しているのみです。
だから、
CM7-Dm7-Em7-FM7
も
CM7-Dm7-Em7-F#m7
も異なるイメージ、というだけで、べつに後者に対して「イメージが薄い」などとかんじないのではないか、ということです。
私たちもこれを活用できると思うのです。
CM7-Dm7-Em7-FM7
と
CM7-Dm7-Em7-F#m7
どっちも「和音が連鎖しているだけ」と捉えてください。そして「イメージできない」なんて言わずに、イメージしてください。
たとえば、
CM7-Dm7-Em7-F#m7
は、今日の私なら、これをゆっくり弾いて、「湖の水面、鳥がゆっくり湖面をこちらに寄ってくる。」そしてIV#m7で急に湖面に強烈な光が差し、何が起きたかは分からないけれど、光が私を包んだ。
そんなかんじでストーリーをこしらえます。現実にはあり得ないかもしれません。
では、
CM7-DmM7-EmM7-F#m7
はどうですか?今度は湖面が淀んでいますね。おどろおどろしていますが何か神聖なものが棲んでいそうです。こうした響きが怪しい響きに感じられるなら、それを活用して、怪しい感じのBGMを作る、というだけです。
既存の学習を行いながら、平行して和音が持つあなたにだけ訴えてくる感覚を捉える感性を磨いてみてください。それによって音現象はあなたにとって音楽になると思います。
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