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不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

Innervisionsで完成されたスティービーコード進行/研究レポート公開シリーズ15-2

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事例69Jesus Children of America (CDタイム 0:10-) 

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Aメロ

A♭m7 |A♭m7 |A♭m7 |A♭m7 |

G♭u4 B7 |EM7  E♭7 |A♭m7  |A♭m7  |

A♭m7 |A♭m7 |A♭m7 |A♭m7 |

G♭u4 B7 |EM7  E♭7 |A♭m7  |A♭m7  |

Bメロ

A♭m7  |A♭m7  D♭7 |E7  |E♭7 E♭7(#9) |

A♭m7  |A♭m7  D♭7 |E7  |E♭7 E♭7(#9) |

 

AメロのG♭u4はG♭7かG♭m7かはっきりしない。ただのG♭5という三度のない和音かも知れません。

これも前曲同様に四度領域和音(三度のない和音)について皆さんなりの理解を確立しておけば、“三度がない和音だから、なんかいまいち親しみが感じなコードだ”などということを感じなくて済むはず!

 

三度がなくても和声が作り出す音楽的なクオリアの独自性は他の曲と同じように確立されているからです。

 

こうしたサウンドは、ブルース的背景や、ペンタトニックモードから生まれるサウンド。このサウンドの特質を調性音楽に混ぜることで、新たなブルージー音楽をスティービーは見事に確立してます。

 

またBメロがサビですが、その前の部分のA♭m7がそのままいかされ、音楽的クオリアによる旋律指向性によってサビらしい雰囲気が作り出されてます。

 

後半は五度上がってE♭のキーでこの展開が移調されてます。

 

事例70All in Love Is Fair (CDタイム 0:16-) 

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Aメロ

C#m7  |C#m7/B |F#/A# |AM7  |

G#m7(♭5)  C#7 |F#7  |B7  |

C#m7  |C#m7/B |F#/A# |AM7  |

G#m7(♭5)  C#7 |F#m7  |F#/G#  |

Bメロ

C#m7  |C#m7/B |F#/A# |Am7  D7 |

G#m7  C#7(♭9) |F#7  B7  |EM7 |EM7  G#7 | 〜Aメロ

=degree=

Aメロ key=C#m

Im7  |Im7/VII♭ |IV/VI |VI♭M7  |

Vm7(♭5) I7 |IV7  |VII♭7  |

Im7  |Im7/VII♭ |IV/VI |VI♭M7  |

Vm7(♭5) I7 |IVm7   |IV/V |

Bメロ

Im7  |Im7/VII♭ |IV/VI |VI♭m7  II♭7 |

Vm7  I7(♭9) |IV7  VII♭7  |III♭M7 |III♭M7  V7 | 〜Aメロ

 

この曲も下降するベースラインを重力にして作られたコード進行でしょう。

 

これをAマイナーのキーで書いてみます。

(参考 Am)

Aメロ

Am7  |Am7/G |D/F# |FM7  |

Em7(♭5) A7 |D7  |G7  |

Am7  |Am7/G |D/F# |FM7  |

Em7(♭5) A7(♭9) |Dm7  |D/G  |

Bメロ

Am7  |Am7/G |D/F# |Fm7  B♭7 |

Em7  A7(♭9) |D7  G7  |CM7 |CM7  E7 |

VI♭m7やIV7-VII♭7などは特徴的。

 

このなかのD7、すなわち平行調のCからみたII7-V7のつながりやメロディ作りはスティービーの特徴コード。

 

Bメロの冒頭部分はAメロと同じコード。これも技法的なバリエーションとして使えるかも。

つまり同じコード進行でサビをつくり、歌詞の内容、説得したい方向に応じてコードの連鎖の雰囲気に変化をつけ、句読点まで持っていく、という流れを作る手法です。

 

事例71Don't You Worry 'Bout a Thing (CDタイム 0:38-)

 

こちらをご参照ください。

Don't You Worry 'Bout A Thing / Stevie Wonder

 

事例72He's Misstra Know It All (CDタイム 0:27-) 

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Aメロ

F#  F#7 |B/F# Bm/F# |F#/B♭ C# |F#sus4  F# |2/4 F#  |×4

Bメロ

G#m7  A#m7  |B  C# |D#m7  C#/F |F#  F#/G# |

C#sus4 G#  |B/C#  C#7 |〜Aメロ

Degree

Aメロ  key=F#

I  I7 |IV/I IVm/I |I/III V |Isus4  I |2/4 I  |×4

Bメロ

IIm7  IIIm7  |IV  V |VIm7  V/III |I  I/II |

Vsus4 II  |IV/V  V7 |〜Aメロ

 

Aメロはクリシェ的。

Bメロは上昇形の重力を用いてます。

ダイアトニックなコード連鎖とも理解できますが、ベースラインの重力を感じながらメロディを添えていくとこうした構造は出来るので、真似して試してみてください。

 

最後のC#sus4 G#  |B/C#  C#7にスティービーの名刺代わりの一工夫。

V-II-IV/Vの感じはビートルズ的でもあり、スティービー的でもあります。

 

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