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音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

「Talking Book」に見るスティービー技法ビッグバンの予兆/研究レポート公開シリーズ14-3

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事例62Blame It On The Sun (CDタイム 0:13-) 

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Aメロ

A♭ E♭ |F  |Cm7 G/B |Cm7  |

Fm7  | B♭m7 |B♭m7/E♭  |E♭7 |

A♭ E♭ |F  |Cm7 G/B |Cm7  |

Fm7  | B♭m7 |B♭m7/E♭  |E♭7 |

Bメロ

B♭m7  Fm7 |B♭m7  Fm7 |Dm7(♭5) G7 |Cm7 |×2〜

=degree=

Aメロ key=A♭

I V |VI  |IIIm7 VII/III♭ |IIIm7  |

VIm7  | IIm7 |IIm7/V  |V7 |

I V |VI  |IIIm7 VII/III♭ |IIIm7  |

VIm7  | IIm7 |IIm7/V  |V7 |

Bメロ

IIm7 VIm7 |IIm7  VIm7 |IV#m7(♭5) VII7 |IIIm7 |×2〜

AメロでいきなりVI△に流れる転調。

この景色感の変化は、私などからするとダイナミック過ぎる変化で、先程まで勇壮な山並みだった風景が、いきなり海のど真ん中に移ってしまったような激しい展開を感じます。

現実的にはあり得ない風景。

海外の白い壁、石畳の街並みが、いきなり東京の街並みに変化したような、視覚的には一瞬不自然な感覚。

これについてはユーミンレポートでも言及しました。現実にはありえないような景色感を演出する事で楽曲の印象が強烈になる、音楽はそれができるから素晴らしい!

 

ユーミン楽曲の持つイメージは視覚的で幻想的ですが、目に見える風景でした。

しかしスティービーの風景は、とても想像できるものではない何かもっと違う画。

ある種の必然性を作ることに先入観がない、というようなイメージ。

 

このあたりの「非視覚的イメージ」の音像化が、先に示した上昇転調、無軌道な転調と関係があるように感じます。

 

目で見ない風景、非視覚的風景、形を持たない形状が配置された世界においては、上下の差も左右の差も、大小の差もあまり重要ではなく、変化したことの程度そのものが判断基準で、その程度の差はどれほど大きくても「劇的」というだけで「これは無謀だ」という価値観が入りこまないのではないでしょうか。

 

事例63Lookin' For Another Pure Love (CDタイム-0:18-)

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Aメロ

EM7 |EM7 |EM7 |EM7 |

G6 |G6 |C/D |C/D |

GM7 |GM7 |Gm7 |Gm7 |

CM7 |CM7 |

EM7 |EM7 |EM7 |EM7 |

G6 |G6 |C/D |C/D |

GM7 |GM7 |CM7 |A/B |A/B |

Bメロ

B7(13) |B7(13) |B7(13) |B7(13) |

G6  |A6 |EM7 |EM7 |

B7(13) |B7(13) |B7(13) |B7(13) |

G6  |A6 |EM7 |EM7 |

 

この曲もdegreeで表現が難しい不定調性進行の楽曲。

 

EM7がセンターコードになっているようにも思えるが、ここではメロディが音楽的クオリアによる旋律指向性を持っているよう。

 

EM7はいわば背景程度でメロディを支えているという感はありません。

同一コードの連続による雰囲気の作り方が絶妙。

 

特にAメロのEM7の部分は、メロディ音が、EメジャースケールのM7th音から始まるロクリアンの印象も分析者に与えます。

1コードの上で、旋法を用いてコード感を消し去るような作風はこのアルバムは特に顕著かも。

これらの作風が次のアルバムのスティービー作品につながったのではないでしょうか。

 

コード機能に囚われず、または調性の連続性に囚われず、という意味では、この楽曲の雰囲気を真似てみてまずは自作を作ってみるとよいだろう。

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