音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

機能和声ではない作風と浮遊性の融合/楽曲研究レポート公開シリーズ16-1

2019.6.19⇨2020.7.30更新

スティービー・ワンダーの和声構造

~非視覚的クオリアを活用した作曲技法~

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アルバム18;「First Finale(1974)

事例73Smile Please (CDタイム 0:05-)

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Aメロ

EM7 |EM7(11) EM7 |E♭m7 |E♭m7  |

D♭m7|D♭M7 D♭m7 |F#7 |F#7 |

A   |D7 |A♭m7 |D♭m7 |

G |D |F#m7  |B7(#9→♭9) |

 

EM7 |EM7(11) EM7 |E♭m7 |E♭m7  |

D♭m7|D♭M7 D♭m7 |F#7 |F#7 |

A   |D7 |A♭m7 |D♭m7 |

G |D |EM7  |EM7  |

 

Bメロ

G#m7 |C#7 |G#m7 |C#7 |

A#m7 |D#7 |EM7 |EM7 |

G#m7 |C#7 |G#m7 |C#7 |

A#m7 |D#7 |EM7 |EM7 |

AメロのEM7(11)とD♭m7→D♭M7(またはD♭7)のメロディ感が独特で特徴的。

新たなるブルージー感覚。

 

不定調性論ではブルースの五音階性を七音音階より音が“抜けている”とは考えません。音と音との歩幅が広い、と考えます。

ゆえにm3rdとM3rdの境界を曖昧にできます。

これは半音の間を自由にとらえるのに似ています。

 

F#7→A、D♭m7→Gなども面白いです。

 

またBメロでは、スキャットを用いながら、II-Vを全音で連鎖し、トニックまたはセンターコードであるEM7をVI♭M7やII♭M7のようにD#7から半音上げて連鎖感を応用しています。

 

掲げ上げられた解放終止感・句等点感、ともいえる不定調性進行感で理解しておけば活用できるはずです。

 

事例74Too Shy To Say(CDタイム 0:29-)

 

こちらのページを参照

   

事例75;Boogie On Reggae Woman (CDタイム 0:29-)

 

こちらを参照ください。

 

 

事例76Creepin' (CDタイム 0:00-) 

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イントロ

Bsus4/F#  |B♭sus4/F# |Bsus4/F#  |B♭sus4/F# |

Bsus4/F#  |B♭sus4/F# |Bsus4/F#  |B♭sus4/F B♭7(#9) |

Aメロ

E♭m |E♭m |B  |B  |

/D♭ /E♭ /G♭ A7(♭5)  | /A♭ /B♭ /B DM7(♭5) |DM7(♭5) C#sus4 |

イントロ

Bsus4/F#  |B♭sus4/F# |Bsus4/F#  |F#7(13) B♭7(#9,♭13) |

Aメロ

E♭m |E♭m |B  |B  |

/D♭ /E♭ /G♭ A7(♭5)  | /A♭ /B♭ /B DM7(♭5) |DM7(♭5) C#sus4 |

イントロ

Bsus4/F#  |B♭sus4/F# |Bsus4/F#  |E♭/F#  C7 B7(9)  |

Bメロ

B♭M7  Dm7 |E♭M7 |E♭m7 |Dm7 |

B♭M7  Dm7 |E♭M7 |E♭m7 |Dm7 |

B♭M7/F |B♭m7 |B♭7(♭5) |

 

イントロから、コードネーム不明の響きが乱立。

 

基調はE♭マイナーですがその他の不定調性進行の変化を包みこんでます。

 

このアルバムでスティービーは全く機能和声の流れとは関係ない作風を示しながら、こうした調と、浮遊性を融合させた楽曲(恐らく当時のサウンドもこうしたサウンドであった)に仕上げている。

  

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