音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

クリシェってそもそも何??~ビートルズ楽曲topic★★★

クリシェの解説は"Something"の項目を読み進んでいただければございます。

2、サムシング - Something

   

 

 

イントロ
F Eb G |
コーラス
C |CM7 |C7 |F Em |
D |G |Am AmM7 |Am7 D9 |

F Eb G |~

イントロはビートルコードですね。


そのあとコーラスの中では、二つのクリシェがあります。

C→CM7→C7

Am→AmM7→Am7

ですね。

音で聞いてみましょう。。

C6とAm6を加えてクリシェを二つ連続させてみました。

 

(音源;下記リンク先では他の一般的なクリシェを全て繋げてあります。)

rechord.cc

 

以下クリシェの一般音楽理論的解説です。

 クリシェとは?

「コード構成音が一音ずつ変化する進行」はクリシェ(フランス語 cliché)、と言いますが、不定調性論ではさらに拡張し「掛留概念の拡張進行」と呼んでいます。

クラシック曲にもバス(低音部)が順次進行(音階的に進行)する楽曲が見られますが、より「常套句」の訳語通り、手法として最初に多用したのはシャンソン、ボサノヴァなどが有名です。

<例>

下降するクリシェ(一番高い音が半音ずつ下がっていく)

f:id:terraxart:20190321140231p:plain

上行するクリシェ(一番高い音が半音ずつ上がっていく)

f:id:terraxart:20190321140240p:plain

もちろん途中で戻っても、繰り返しても、飛ばしてもOKです。

C C7 C6  C7 |

C  CM7 C7  CM7 |

また最高音でなくてもOK。

f:id:terraxart:20190321140636p:plain

クリシェ - Wikipedia

一般的なクリシェの種類をあげておきます。

根音下降型

C  |CM7  |C7  |C6 |

 

5度上行型

C|C(#5) |C6  |C(#5) |
C|C(#5) |C6  |C7 |

Am |Am(#5) |Am6 |Am7 |

 

5度下降型

C  |C(b5) |Csus4  |C  |

 

sus4-9型

C  |Csus4  |C  |Cadd9  |

C |Cadd9  |Csus4  |C |などと順番を変えてもいいです。

Am  |Amadd9 |Asus4  |Am  |

 

などなどでほぼ網羅できていると思います。これをいろんな組み合わせでやってみてください。

 

ビートルズは、シルヴァービートルズの頃から、ジャズをカバーしているので、自然とこのクリシェの手法が身についています。

www.terrax.site

Besame Muchoの5度のクリシェは、いかにもR&Rから持っていたフレーズという感じがします。

CONSUELO VELÁZQUEZ - BÉSAME MUCHO - YouTube

ところどころクリシェのようなラインが出てきます。こういうのを未来のビートルズメンバーが聴いてカッコいいと思っても不思議ではありません。

===より専門的な話===

皆さん「クリシェ」って音楽理論的に分析できますか?

なんでコードの流れで構成音が半音ずつ変わっていくのが表現として「イイ」と思うのですか??

ちなみに有名なクリシェの鬼、スティービー・ワンダーのクリシェのお話はこちら。

www.terrax.site

www.terrax.site

他にも折を見て触れているので、彼のクリシェと我々のクリシェの意味の違いを考えてみると面白いです。

 

====

不定調性論はここから先です。

たとえば、


C△--C#dim--Dbm-- Dbm(#5)


というような進行も、いってみればクリシェであり、掛留概念の拡張進行です。

 

何でもかんでも和音の1音だけを変えてみて下さい。

(これを「静進行」と分類しています)

(参考;(動画解説・補足)現代和声機能〜不定調性論全編解説22★★★★★ - 音楽教室運営奮闘記

 

C△ |Csus4  |C△omit3(#5)  |GM7omit5   |

(b-f#-g)   |(b-f#-g#)   |(b-f#-a)  |BbM7omit3  |

Bb7omit3  |Bdim7omit3  |E△/B  |Em/B  |

C△  |

 

(b-f#-g)というのは、この三音の組み合わせ、という意味です。

このような進行に「風景」や「色味」、「意味」「心象」を感じるなら、あなたは不定調性論的感覚が備わっています。共感覚と言っても良いですが、もっとプライベートな感性であると思います。一人一人それが微妙に違うから、違う音楽ができるんです。どんなにがっつり教育を強制的に施しても、人は、自己を確立したいと願っています。だから必ず自分らしさを求め始めます。それなら、最初から「自分て何だろう、何がしたいんだろう」ということを学習と並行して考えていけばいいのではないか、と考えています。

そのためには既存論を否定しない価値観が必要です。

それで不定調性論を作りました。これは既存学習の体系や精神、歴史的真実などを否定したり偏った解釈をしません。ちょっと他の記事も読んでみて便利である、と思った方には是非活用いただければ幸いです。

 

あなた自身の音楽の答えは、誰か偉い先輩ミュージシャンが持っているのではなく、あなた自身の中にしかない。と覚悟しましょう。逆にそれができば、学校の勉強とか、先輩の話も面白く聞けますよ。

 

最後にラフマニノフのピアノ協奏曲2番冒頭のクリシェを聴きましょう。クリシェと言ってはいけないのでしょうが、寂しげと絶望感の中にある美しさ、ですね。

open.spotify.com

 

 

 

     

3、オー!ダーリン - Oh! Darling
ポールによる"ハチロク"です。

 

中間部が盛り上がってカッコいいです。


Bメロ
D |F |A |A |
B7 |B7 |E7 F7 |
E7 Eaug |

 

このアルバムは今度は、このブルージー7thが連発して出てきますね。
この頃の作曲マイブームだったのでしょうか。

キーはAですから、IVのDに向かって、VIbのFに、はたまたII7に、と激しく動きます。

DのあとFを持ってくる、っていう思考はどこから来るのか、

という話になると思いますが、これは

「別に、普通に出てくるよ、この展開だったら」

という人と

「全然わからん、全くイメージ沸かん」

の二種類しかありません。ゆえに議論がされません。出てくる人は、創っているうちに探し当てる可能性のあるコードです。全然イメージが湧かない人は議論の対象にすらならないのでこの話題は出ません。

それでは音楽的文化が拡張しません。

 

なぜD→Fに行くか、というと、D→Fにいく心象的イメージが浮かぶ、からです。

もしあなたが「明日の朝、何食べたい?」と言われたら、あなたは何をイメージしますか?何か食べたいものがあるかどうかを考えますよね。そのとき、今場所の千秋楽の相撲を思い出したりしないはずです。

つまりDまでたどり着いた流れの中で、音楽的脈絡や歌詞のメッセージが、次どうなりたいか、と作曲家に訴えかけて来ているんです。

 

もっとこうダイナミックに、とか

もっとぎゅっと詰め込んだ感じに

ここでガーンと広がった感じに、

など、瞬時にして判断して、そういう響きの流れを見つけていきます。

 

大事なのは、音楽を聴いて、そういうイメージが湧くかどうか、ということです。

これは才能です。

でも教えることもできます。これはちょっとした物語を書くことに似ています。

 

私は小学校の頃、読書感想文を絵に書く何かそういう企画で、本を読んでいなかったので実際に存在しない本の絵を書き、(県で)表彰されました笑。

あれ?イイのかな?と一瞬思いましたが、まあきっとみんなこの絵に騙されちゃったんだな、とか思ってそれはそれでよし、としました笑。。

たしか一匹の猫が、島に渡ってアドベンチャーをする、とかそんな内容でした。絵は家に今でも飾ってあります。色が良かったんだろうな、とか時々帰省してみて思ったりします。

このストーリーが浮かぶように、それを訓練していくことが不定調性論の根幹です。

 

音楽を学ぶ、というのは、あなたの感性の感じるところを掘り下げる、ということです。独学でもできます。それを信じると必ず変人と言われますので、それを恐れないように訓練する、と言えばいいでしょうか。十年以上も義務教育で平らにされた感覚を元に戻すのですから結構荒治療です。

家に引きこもっているあなたでもできます。ぜひ自分の力で人生を開き、飯の種を作り、人に尊敬されてください。外に出よう!!と思えますから。

 

この曲のD→Fは展開部での盛り上がるところで出来ます。

がつーーーんときたかったのでしょう。

 これはがつーんのコードです。短三度上げですからね。

ここれは転調だとか、代理コードだ、とか考える必要はありません。

理屈を考えるのはジェットコースターに乗っているとき、

「ああ、いまGがかかっている、私にはこの程度のGがこの角度から来ると気持ちいい」とつぶやくようなものです。時には大事だけど、何を今感じるべきかを自分の意思でしっかり選べれば別にどんな表現でも良いです。理屈と感性を両方鍛えるんです。同時に。

 

短三度の連鎖は二音同音二音反行ですから、ボイシングの伝統的にダイナミックに動く宿命を背負っています。

だから普通に一般曲を聴いたことのある人は、あ、ダイナミックだな、って思える要素を備えています。あとはそれをそう感じるか、別なように感じるかが個性です。

ユーミン氏の「ひこうき雲」の"アソコの和音"です。分かる人は分かりますね。

別にダイナミックだって感じなくてもいです。あなたの感じかたを大切にしてください。

 

そうでなかったらこんなに世の中にいくつもコンプレッサーのプラグインがあるはずがない。一個ありゃいいじゃん。

いろんな価値観や発想があるから、いろんなのがあるんです。

 

 

それにしてもポールの声色って本当に千変万化しますね。

この人は、声も楽器。

普通歌で全部表現しようとしてしまうものですが、総合音楽プロデューサー的なボーカリスト、作曲も編曲もするボーカリストは、「俺の歌にこういうギターをかぶせて、一緒に全体で和音(アンサンブル)を創ろうぜ!!」っていう感じでバンドしているのが分かりますよね。歌が100%じゃなくて、コードがどうでもよいんじゃなくて、バンドの音があって、全員で出して100%。

だからこだわれる、ということになりますね。 

 

 

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