2018.2.11⇨2020.7.22更新c
ビートルズの不定調性コード進行研究
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ビートルコードができるまでを探る〜The Silver Beatles 7
マイ ボニー /My Bonnie
1930年のスタンダードポピュラーソングです。
どのアレンジを参考にしているのでしょうか。
絶妙な転調が、偶然なのか、これが必然なのか、ビートルコードを作っています。
このスコットランド民謡のアレンジに限らず、西洋のこうした曲のアレンジには、絶妙にセカンダリードミナントのメジャーコード化されたコードが入ってきます。
C |F |C |% |
C |F |G |% |
C |F |C |A |
F |G |C |% |
C |% |F |D |
G |% |C |G |
おなじみのIIとVIですね。
ノンダイアトニックコードをこうして自然に使えてしまう感覚というのが、ひょっとするとスコットランド系の民族の音楽性には備わっているのでしょうか。
もともとは五音~六音音階音楽でファの音が無い分、IImとIVが曖昧になるのは分かります。
しかしVIであるAを良しとする体系がとても特徴的です。
参考文献ではミクソリディアンモード、という表記もありましたね。
この辺の和音へのスリリングさが、シンプルなロックンロールにくらべると斬新で、これらがビートルコードの源流になっているともいえるでしょう。
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機能和声で考えると、このVIがダイアトニックという体系の中に出てきません。
そうすると「よそ者」あつかいせざるを得なくなってしまうと思います。
しかしもしこの曲のようにVIメジャートライアドを自由に用いる習慣に対する理論があったとしたらどうでしょう。
ダイアトニックコードという枠組みのほうが特殊だとしたら。
ビートルコードは彼らの血脈の上ではVIメジャートライアドは"セカンダリー"ではなく、むしろプライマリーなのではないでしょうか。
II、VIはスコットランド曲に良く出てくる、ということを理解し、そんな雰囲気で使ってみながら、ビートルコードへの応用を皆さんなりに考えていただければ、と思います。
ちなみに不定調性論における12音連関表を活用すると、側面領域にII、VIなどが登場します。キーで考えない体型を別にもう一つ持っておくと便利ですよ?
西欧和声に則った曲の方が世界に少ないのですから。
ノーバディ'ズ チャイルド / Nobody's Child
この曲もトニー・シェリダンでのバックで演奏した経験作品です。
イントロで、
Ddim7 |D |Dsus4 D |
というフレーズがみられます。半音使用のエッセンスとも言えますし、ディミニッシュコード 、sus4の洗礼ともいえます。
D |D7 |G |% |
D A |D |E |A |
D |D7 |G |% |
D A |E |A |D |~
コードの感じもハチロクのいわゆる、オー!ダーリング ビートで進んでいきます。
EのIIがここでもいい感じです。
さて、このあたりで、Early Beatlesの楽曲検分は終わりにして、最後に初期のカバー曲、そして残された楽曲群Past Mastersをさらって、ビートルコードのまとめに入っていきましょう。