音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

アルバム27;「Conversation Peace」スティービー・ワンダー楽曲レポート公開シリーズ24

スティービー・ワンダーの和声構造

~非視覚的クオリアを活用した作曲技法~

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アルバム27;「Conversation Peace(1995)

CONVERSATION PEACE 

事例114;Taboo To Love(CDタイム 0:14-)

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Aメロ

Fm(9)  |C7/G  |A♭7 |B♭7 |

B♭m7  |A♭ |Gm7(♭5)  |C7sus4 C7 |

Fm(9)  |C7/G  |A♭7 |B♭7 |

B♭m7  |A♭ |B♭m7 E♭7  |A♭  |

Bメロ

A♭7  |B♭7  |B♭m7(♭5) | A♭  /G |  /F   /E♭ |

A♭7|B♭7 |Bm7(♭5) |C7sus4 C7 |

Aメロ

Fm(9)  |C7/G  |A♭7 |B♭7 |

B♭m7  |A♭ |B♭m7 E♭7  |

Bridge

Fm7  D♭m7  |B♭m7  /E♭ |D♭ G♭ |A♭ E♭m7/A♭ |B♭  |×2

 

ブリッジ部分、正しく取れているのか自信ありません。

このようなサウンドでこのラインは歌えるはずです。

マイナーコードの連鎖といい、A♭ E♭m7/A♭ |B♭  |の部分の変化といい、二重三重の進行感の展開。

 

ユーミン楽曲分析の時は、基本は一般的に使用されている進行感のランダムな連鎖で考えることができました。

たとえば、ここのA♭ E♭m7/A♭ |B♭  |を例にとると、

A♭はトニック感、

E♭m7への変化は、本来なら、A♭ E♭m7 A♭7 |D♭M7  |といったVm7 I7という進行感が始まる合図、しかし当然ありきたりな展開はせず、メジャー化陽転、B♭コードで締めくくってます。

 

これは、キーがCであれば、

Cm  |Fm7 |C  |

という陽転感に似ています。 

   

事例115;I’m New(CDタイム 0:17-) 

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Aメロ

B  F# |B7  |Fm7(♭5) EM7 |B   |

C#m7 D#m7 |Fm7(♭5) G |A  B |C#m7 C#m7/E |

 

Fm7(♭5)が二回出てきますが、初回は王道をいくベース半音下行のEM7、

二度目は、全音上がって、主和音がBであるとしたら、VI♭にあたるGに飛躍しています。

奔放。

スティービーはこの辺りの展開を少し前のアルバムから柔軟に活用していますね。

 

事例116;My Love is With You(CDタイム 0:55-)

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Aメロ

Am7  |C  |D  |F  G |

借用和音を用いていくことで、楽曲が独特な奮い立たせる感情をこちらに感じさせます。

長調とか短調とかではない、不定調性進行独特のコード感。

 

ユーミン楽曲では「LAUNDRY-GATEの想い出」でこの手の進行を用いてました。

blondieの"Call Me"やbon joviの"Keep The Face"などが思い浮かびます。

 

なぜこの進行には、独自の感情的雰囲気が常に生まれるのかは、わからないし、私だけかもしれません。

 

事例117;Sorry(CDタイム 0:00-)

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E  |D/E  |A6/E  |Am6/E  |

全曲を通してベース音がeで統一されたきわめてソリッドな曲構成。

退屈することはありません。

当然コード進行がただ固定化されているネガティブな印象もありません。

 

アレンジや展開、使用されたパーカッションサウンドなどを参考にしながら、こうした統一感のある曲も実験的に制作するのもよい学習だと思います。

 

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