音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

不定調性論の方法論的展開(2019) その2★★★★

不定調性論の具体的な方策についてまとめます。

詳しいそれぞれの概念はこちらをご参考ください。

不定調性論用語/概念紹介 カテゴリーの記事一覧 - 音楽教室運営奮闘記

下記では一部の論拠リンクしか紹介していません。

前回

www.terrax.site

 

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その2、続きです。

統一的な和音の作成について

不定調性論独自の和音作成方法についても今回初めてまとめます。

基音cの上方オクターブレンジ3までに現れる音種類は、c,e,g,b♭です。そして下方から基音cを発生するのがc,a♭,f,dです。

上方では、

c,e,g=Cu5

g,b♭c=Cu4

下方では

c,a♭,f=Cl5

f,d,c=Cl4

という和音が出来ます。これらCu5、Cu4、Cl5、Cl4を基本和声単位と言います。

まずここから組み合わせます。注意ですが、倍音現象が直接かかわるわけではありません。音を区分けするために最も導入しやすい伝統的な倍音の数理を用いているだけです。別の集合論理で作りたいなら、自由にお作りください。

結合領域和音 は互いの構成音が重複している和音です。

CM7はCu5とBl5という二つの三和音を結合した和音です。その他1音だけ重複する希結合領域和音もあります。これらの作り方でほとんどの機能和声のテンションコードなどは作れてしまいます。調とは関係なく、基本和声単位を組み合わせるだけです。C7とEm7(b5)のように三音共通する領域を示す和音を完全結合領域といいます。

それからこれらの領域音を自在に組み合わせます。

その他上下の領域音を分数コードのように用いる領域断層和音もあります。

また、上下の領域を基音中心に対称的にピックアップして作る対称領域和音、パワーコードを原素和声単位などがあります。

そして12音それぞれが作り出すレンジ3までの構成音の種類別に分けた表が十二音連関表です。これにより、12音の領域は四つのエリアの三層が円を描くように連関していることが分かります。

そしてこの四音のグループを同列と考えて、水平領域和声単位といったディミニッシュ和音なども創ることができます。

その他十二音連関表を拡大していくことで生まれる副次的和声単位なども考えています。

<和声の分子構造について>

この考え方は、反応領域という考え方から作る音集合のフォルムをそのまま分子が拡大する用にどんどん増殖させていくやり方です。

これらの和音は解釈によっては上記した各種の和声単位で解釈できる場合もあります。

この分子構造表記によって、領域単位の基本和声単位の構造を保ちながら、音集合に含有される音を視覚的に拡大することができます。これを反応領域の形態模写と言います。

これは12音が連関表によってさまざまな関連性を見せてしまったことで、演奏で用いられるC△がAbM7のC△なのか、Db7(b5)のC△なのか、機能和声論で使用範囲を限定しない限り判明はできない、という考え方になってしまいます。C△の基音cだ、というのは先入観で、そうでない音楽を作ろうと思えば作ることができます。

それらの肥大した音関係をより自在に作り手がコントロールできるようにしたのが和声の分子構造です。ここまでくると別の方法論体系でも作ることが出来るものなので、あえて不定調性論による作成を覚える必要はありません。

(参考;和声の分子構造における形態模写

 

 

不定調性的和音進行の方法論例 その2

そして前回からの流れの方法論集、その2!!

⑦モードのダイアトニックコードと音楽的クオリアによるコード進行作成

これはより機能和声的な進行からの拡張です。各チャーチモードのダイアトニックコードを集めるとこんな感じです。

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これをディグリーごとに表にまとめると、

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あとは組み合わせるだけです。このとき和音を様々につなげながら、今作ろうとしている楽曲に合うか、合わないか、をあなたの音楽的心象だけを頼りに作ります。

何も動機が浮かばないうちはいくら作っても魂の入っていない生き物になるだけです。

たとえば、

C     |Eb    |F  |Ab  |

といったコードをピックアップすれば、ビートルズ的、ロック的なメジャーコードの連鎖が完成されます。上記の表から四和音を取り払って作ってます。

当然、

CM7  |Eb7   |GbM7  |Bbm7   |

といった一見脈絡がない進行もこうした表から作ることができます。

この表は、作曲用、である以前に、音楽的クオリアを鍛えるためのコード集合表と言ってもいいです。様々につなげてメロディを乗せてみたり、情感を捜しながら作れるようにしてみてください。

これによりモーダルインターチェンジを考えないで自在な和音展開が出来ます。

モーダルインターチェンジはアドリブの際にモードを意識する人のための考え方です。しかし作曲では瞬間的なアドリブをするわけではないし、モードは実質意識の上で判明させず、同一音のリズミックな連鎖だけでメロディを作る(ex.One Note Samba)ことなども可能なので、モーダルな意識、というよりも単純にポリトーナルな発想を背景に和音を紡いでいかに歌いやすいメロディを乗せるか、ということに作曲では注力すべきでしょう。

そしてこれに慣れてきたら、モードを増やします。

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お馴染みですね。これをまた表にまとめます。

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はい。あとは同様にこれも組み合わせて作曲してみます。

不定調性論では、一音の関係性を数理親和音モデルからどんどん拡張し、全ての音が全ての音に関係が持てるモデルを意識に組み込んでいきます。

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ゆえに、和声の分子構造のような和音の作り方もできます。そしてどの和音へも進行させることが出来るようになり、その時あなたは「非機能」などと考えずに、自分なりの心象や進行動機、その進行がもたらす情動を把握しながら作っていくことが出来ます。

コードスケールの存在は、

「こうやってある程度スケールを示しておけば弾きやすいだろう?」

という講師からの簡易な提案で、そのスケールで弾かなければならないわけではありません。最終的に手癖でいつでもどんなキーでもスケールを考えずに自在なアドリブがとれれば、文字通り音楽理論を考えなくて済みます。不定調性論が同様に表を作って提示する意味もそうした試みであり、最後は、表によらず、響きに応じて音楽を音楽だけっから作って頂くところを目指してください。スケールを覚えただけではレシピの種類を覚えただけで実際には何も作っていないのと同じです。

   

⑧センターコードとアラウンドコードによる進行作成

<不定調性論用語/概念紹介51>センターコードとアラウンドコード

これは⑦のコードを組み合わせる時の目安になる考え方です。

CM7から始まったらCM7で終わるように作る場合、CM7をセンターコードと言い、それ以外のコードをアラウンドコードと言います。これは先のLevel4の表にも慣れてしまったあと、表のコードに関わらず、なんとなくCM7から作って、つじつまを付けてCM7に戻ってきたときに、自分がある程度納得のできる進行感があれば良し、とする作曲方法です。この時コードをすでに考えない、という場合は、ヴォイスリーディングを重視します。

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こう言った各種のヴォイスリーディングの美的価値観を活用すれば、コードネームにならないようなコードでも美しく無駄のない流れを作ることができます。これは例として、同一和音の短三度進行などを考えてその美しさからインスピレーションを広げたりするといいです。

C7  Eb7

であれば、

c→d♭(半音上)

e→e♭(半音下)

g→g(同音)

b♭→b♭(同音)

となり、全く機能和声的でない進行でも、きれいな二音同音、二音反行が作れます。

これらを活用し不定調性進行も機能和声であなたが培った音楽的クオリアを活用しながらヴォイスリーディングを作っていきます。

 

⑨マザーメロディによる展開法

<不定調性論用語/概念紹介55>マザーメロディ★★★ - 音楽教室運営奮闘記

これはシンプル連鎖を作った後で、そこから詳細に分割、拡張、形態模写していくことで、音楽のアナグラム的な予測もつかない音楽に展開できます。

 

⑩和声単位作曲技法

<不定調性論用語/概念紹介56>和声単位作曲技法★★★★ - 音楽教室運営奮闘記

こちらは同一の和声単位を連鎖させる事で、統一感のある旋回調性感を創り出します。

たとえばXmM7という和音だけを使って、四つの和音によるコード進行を作れ、となれば、

CmM7  |FmM7  |GmM7  |BbmM7  |

などと機能和声的な根音進行を含みながら奇抜なサウンドを作ることができます。

 

⑪不定調性進行(領域進行モデル)

<不定調性論用語/概念紹介58>不定調性進行★★★★★ - 音楽教室運営奮闘記

こちらのリンクにすべて掲載されています。基音、和声単位、センターとアラウンドの全ての組み合わせの最も基本的な谷を列挙した例です。これらの進行がそのまま曲になることは少ないかもしれませんが、非機能和声アナライズへの活用や、アイディアの源泉として頂ければ、と思います。

 

⑫セカンダリードミナントの拡張

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倍音列の数理から導き出せる和音をこまかく見てみると、機能和声で同主調転調的な和音がすでに表れています。セカンダリードミナントもここに現れています。セカンダリードミナントは機能和声的な概念ですが、そこで作り上げられたのは、進行感を変えても調は変化しない、というアイディアでした。そしてセカンダリ-ドミナントの構成音が変位しても問題なく進行出来ます。これらの概念を拡張し、セカンダリーサブドミナントやセカンダリードミナントマイナー、セカンダリーサブドミナントマイナー、はたまたセカンダリートニック、セカンダリートニックマイナーというコードを教材では確立しています。

それらをまとめます。

下記はすべて一つの基音の関連音として生まれる和音から主和音へと接続される進行です。調性的には転調のように見えますが、数理の上ではごくごく近い存在から基音に帰着しているにすぎません。

ドミナントモーション(上方セカンダリードミナントモーション)
V△→I△(リアクティブモーション)
V7→I△(リアクティブモーション)
V△→Im(マテリアルモーション)
V7→Im(マテリアルモーション)
※セカンダリードミナントモーションになる場合は、解決する先のコードを常に仮のIとして扱うことで仮のVを想定する。

サブドミナントモーション
IV△→I△

サブドミナントマイナーモーション
IVm→I△(マテリアルモーション)
IVm6→I△(マテリアルモーション)
IIm7(♭5)→I△(マテリアルモーション)

上方セカンダリーサブドミナントモーション
IV7→I△

下方セカンダリーサブドミナントモーション
VII♭m→I△
VII♭m6→I△
Vm7(♭5)→I△

セカンダリートニックモーション
I7→I△

トニックマイナーモーション
Im→I△
Im6→I△
VIm7(♭5)→I△

サブトニックモーション
(上方セカンダリーキャラクターコードモーション)
VIm→I△
VIm6→I△
IV#m7(♭5)→I△
※ダイアトニックコードで言えばIIIm→I△もサブトニックモーションに該当するといえます。

上方キャラクターコードモーション
III△→I△
III7→I△
※IIIは性格音とも呼ばれるためこのように命名してみました。

下方キャラクターコードモーション
VI♭△→I△
VI♭7→I△

下方セカンダリーキャラクターコードモーション
II♭m→I△
II♭m6→I△
VIIm7(♭5)→I△

その他の遠縁のコードを用いた上方サブセカンダリーモーション
VII♭△→I△
VII♭7→I△
III♭m→I△
III♭m6→I△
Im7(♭5)→I△

その他の遠縁のコードを用いた下方サブセカンダリーモーション
II△→I△
II7→I△
Vm→I△(ドミナントマイナーモーション)
Vm6→I△(ドミナントマイナーモーション)
III♭m7(♭5)→I△
などが挙げられるでしょう。これらは基音一音に近親する音から作り上げた進行体系です。さらにここにIVとVの基音を元にした和音が追加してみます。

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つまり、進行自体に名前を付けていては、きりがありません。

そして学習者はジャズ理論で、あらゆるモーションの可能性を熟知しているので、こうした進行への命名はあまり意味がない、と考えます。

これらは学習的アナライズの中での解釈に用いることはできますが、何かの外部の根拠を盾にして「この進行は進行できる」と考えるのではなく、あなた自身が「この進行はこういう情感で進行させた」とはっきり明言できるようになることが不定調性進行の学習の目的です。

   

⑬原曲概念によるスーパーリハーモナイズ

<不定調性論用語/概念紹介61>原曲概念★★★ - 音楽教室運営奮闘記

ジャズは原曲さえ背景にあれば、どんなリハーモナイズも可能です。この発想を活用し、変格リハーモナイズをどんどん推し進めることができます。これは「原曲という存在が主和音になっている」というような解釈で良いと思います。

もとがあれば、より奇抜なリハーモナイズが可能です。

E7sus4 | F7sus4 | C7sus4 | D♭7 |

D7sus4 | E♭7sus4 | B♭7sus4 | B7 |


B♭7sus4 | A7sus4 | D7sus4 | C7sus4 |

F7sus4 | G7sus4 | A7sus4 | B♭7 |

 

B7 | B7 | C7sus4 | C7sus4 | D♭7 | D♭7 | D7sus4 | D7sus4 |


E7sus4 | D7sus4 | C7sus4 | B♭7sus4|

A♭7sus4 | G♭7sus4 | F7sus4 | F7sus4 |

これはStella by Starlightのリハーモナイズです。テーマを弾くと何となく合いますよ?その代りテーマが歌えるぐらい原曲が入ってないと"重力(刷り込まれてきた慣習的概念としての)"を自分で作れないかも。

またこうした各種のリハーモナイズを重層的に想定したうえで、アドリブを取ることでアウトサイドを作っていく、というやり方への応用も可能です。

 

⑭動和音・静和音進行

不定調性論2019:和音は二種類しかない★★★★★

<増四度を持つ和音>と<増四度を持たない和音>という二つの和音をヴォイスリーディングを頼りに連鎖していく方法です。かなりの音楽的クオリアが要求されますので、機能和声論に未練のある人にとっては創作に喜びを見いだすまで時間がかかるかもしれません。

教材第三巻より

・その和音の裏面領域音を単数有する和音のことを「第一種動和音」とします。例;C7 、Cm7(♭5)
・その和音の裏面領域音を複数有する和音のことを「第二種動和音」とします。例;C7(#11)、Cm7(♭5,13)
・その和音の裏面領域音を基本和音と同数持つ和音のことを「完全動和音」とします。例;C7(♭9,#11)
・その和音の裏面領域音とその側面領域音を同時に有する和音を総じて「第三種動和音」とします。例;C7(13)、C7(#9,13)
・その和音の中に裏面領域を新たに付加して作る和音を「第四種動和音」とします。例:C7(9, ♭13)
・エリア音によるトライトーンの集合を「基本動和音」とします。
例;Cdim7
・和声単位は基本的に側面領域(もう一音側面領域音が加えられれば動和音)を有していますが、その単純な協和性ゆえに不協和の扱いを受けません。これらの「不完全な動和音」を「静和音」とします。

一つの和音から他の和音に進行するとき付加音を用いず、互いのコード構成音の共通音が非共通音より多い場合は掛留概念の拡張(静進行)とし、構成音の変化が半数より多くを占めるような進行を「第一種動進行」とします。
特に一般的な静進行は一音ないし二音で変化する場合に適用するのが妥当でしょう。
また四和音⇒六和音といった付加音による和声進行も、変化音が多い進行と解釈し、この場合「第二種動進行」とします。この場合において、C△⇒CM7(9)の場合は変化音が少ないようなものは静進行になります(後述)。

・その和音の構成音からの一音変化(一音除去、一音付加も含む)による掛留進行のことを「第一種静進行」とします。
・その和音の構成音からの複数変化(複数音除去、複数音付加によりコード構成音数と同等、または少ない場合に限る)による掛留和音のことを「第二種静進行」とします。※二音程度の変化が一般的です。

 

・静和音から静和音への静進行

裏領域を持たぬ二つのコードが構成音変化を最小にとどめた進行。

最もスムーズで雑多な流れのないもっとも静かな雰囲気を持つ和声進行。

C△ C△/B  Csus4/B♭ Csus4/A

C△ Caug  Csus4(6)  C7sus4

C△ Cm  C5add9

C△ C△/D C△/E C△/F

・静和音から静和音への動進行

裏領域を持たぬ二つのコードが構成音変化を伴い移行する進行。

静かなダイアトニックモーションや、同系列の和声進行から全く無関係な印象へ変化する事もできるリズミックで動きを伴う進行。

C△ Dm Em F△ G△ Am Cu4 C△

※Cu4はBm7(b5)(11)のようなコードです。

Cm B♭△ A♭△ G△ Cm

CM7 FM7 

・静和音から動和音への静進行

展開する際のコード進行、ドミナントへの移行、しずかな発散進行。コードの種類が変わるので二つのコードの流れで判断することができる。

C△ C#dim7~

C△ A7~

C△ Calt5

C△ C△/C#

CM7 C7~

C△ E7~

・静和音から動和音への動進行

展開する際のコード進行、ドミナントへの移行、より動きのある発散進行。

C△ G7~

C△ F7~

C△ B♭7~

C△ D7~

CM7 FM7(#11) ~

CM7 Dm7(♭5) ~

・動和音から動和音への静進行

裏領域を持った不安定な和音が静かに移行する、不安定維持進行。

C7  C7(#5)  C7(13)  C7

CM7(#11)  C7(#11)

・動和音から動和音への動進行

裏領域を持った不安定な和音が大きく移行する、不安定展開進行。ブルース的進行。

A♭7  G7  C7

Dm7(♭5)  G7  C7

C7  F7  D7  G7~

C7  F7 G7 C7

・動和音から静和音への静進行

不安定和音から、安定和音への静かな安定化/収束進行。

C7 CM7

G7(9)  CM7(9)

Bdim7  Cm(11,♭6)omit5

・動和音から静和音への動進行

G7  C△

D♭7  CM7

F7 CM7

Dm7(b5) CM7

G7  Cm7

不安定和音から、安定和音へダイナミックに進行する、強力な安定化/収束進行。

 

⑮トーナリティモーションとモーダリティモーション

調を扱いたい人のための技法です。たとえば、メジャースケールのみで音楽を作っているところに、メジャースケール外の音が入ってくる状況があります。

CM7 A7  Dm7 G7

といったときのA7ですね。

このとき、CM7→A7はCメジャーキーの外側への進行です。これをエクストーナリティモーションと言い、A7→Dm7とまたメジャースケール内の和音に戻る進行を、リトーナリティモーションと言います。これは不定調性論でははっきり言って何でもいいので、

CM7 F#mM7(b9)  Dm7 G7

 といったような進行でも同様なことが言えます。調がないからですね。本人にとって綺麗なヴォイスリーディングが創れれば良しとします。

また当然、

CM7  |トイレ休憩の音|  Dm7| G7|

 みたいな表現も同様になります。これはトイレから帰ってきてDm7に戻る行為がセカンダリードミナント進行の拡張、となぜとらえてはいけないのか??という答えが明確に定義されていない場合に可能です。

トーナリティから外れた時の現象を、全てトーナリティモーションという概念でくくってしまうわけです。これは方法論です。

また同様に、ホールトーンスケールだけで音楽を作っている途中で、他の構成音外の音が入り込んだ場合などもトーナリティモーションと言えます。

 

またモーダリティモーションとは、

C7 F7 C7 C7 G7 F7 C7 C7

こう言った、一つの音階集合から作れない和音の連鎖全般を指します。モードからモードへと移行が行われているような進行です。

特に、ブルースや、モーダルな楽曲など、モード指定がある程度明確になっているような楽曲の際にこうした解釈が可能でしょう。

はじめからモードを想定してないような楽曲はモードの共有が計れないためモーダリティとは考えません。この辺は楽曲により恣意的な解釈をされても構いません。

   

⑯ブロックモーダルチェンジとブロックコーダルチェンジ

モードを用いたい人のための技法です。主要なモードや調の設定を一切せずコードごとに調やモードがランダム変化する進行や楽曲を「ブロックチェンジによる楽曲」といいます。

|CM7   |C#dim7  |D7   |Fm7  E7 |D#M7 C#M7|

この進行では全てのコードでモードが変化します。

個々のモード、もしくはコード一つ一つが単位となっているような形式です。

<ブロックコーダルチェンジ>

CブルースのC7-F7というコード進行においてC7・C7(#9)-F7というような挿入コードがあった場合を指します。こういった挿入コードは個人が勝手に差し挟むものでライブなどでは他のメンバーは対応しない場合もあります。このような即興的なコード変化をブロックコーダルチェンジとします。

<ブロックモーダルチェンジ>

C7-F7という進行のC7においてCミクソリディアン・Cオルタードドミナント-Fミクソリディアンといった変化の即興的挿入をさします。モードが自由に変化する場合です。バックのコードはC7のままで勝手にF7に帰着するF#7などのアルペジオやスケールをメロディライン、アドリブライン、フィル・インとしてはさんでしまう場合などです。モードが自由に変化する、ということは想定された別のコード進行に沿って変化させることと同じですから、このようなランダムなモード変化による楽曲の即興的二層化もブロックチェンジと考えます。

 

⑰ハーモニックインターチェンジ

楽曲内でコード変化(代理・分解)が良く起きる場所をインターチェンジポイントとします。そこでは自由に定められたコードを挿入することができます。

ジャズアレンジにおけるドミナントコードが良い例です。自由なテンションや自由なモードが使用されるわけですから代表的なインターチェンジポイントです。

Dm7  (   )  CM7

コード進行の変化しやすいところは自由にコードが使用できるよう(  )が付くイメージになります。

|Cdim7|(  )|(  )|(  )|

|Fdim7|(  )|(  )|(  )|

|G7   | (  )|(  )|(  )|

というような進行の場合、想定されるモード以外は全て自由ですから、演奏の際、モードを想定し、和声付けを行います。結果としてモーダリティモーションのようになることがほとんどですが、このようなブロックチェンジより自由なコード進行形態を「ハーモニックインターチェンジを置く」といいます。

実際、完全即興とされる形式(?)においても、モチーフやモチーフの名残ともいえる存在がフレージングに現れてきます。

|:(   )|(   )|(   )|(   )|

(   )|(   )|(   )|(   ):|

という楽曲は、実際形式がありません。この場合調が乱れても、不協和音が入り乱れてもこれはこの形式に沿っている、と言わざるを得ません。

このようにハーモニックインターチェンジポイントが全てフリーの状態を完全即興形式=フリーインプロヴィゼーションと本書では定義することにします。

ジョン・ケージの『4:33』やオーネット・コールマンの作品もこのインターチェンジポイントの拡大によって解釈が可能でしょう(もちろんほかの解釈でも可能です笑)。彼らの求めた道を越えて、より自由になることは、それらの楽曲がそもそも求めていたことの体現でもあります。

 

⑱十二音連関表に基づく進行から完全領域変換

12音連関表を自由に区分して、センターコードとアラウンドコードの領域を作ります。

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後は自在に行き来するだけです。ニルヴァーナ的進行はこうした感覚を自分なりに発展させていけばいいだけです。まずは上記のようにメジャーコードだけ、など和声単位を統一してみると分かりやすいでしょう。

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Csus4(9,10,13)→F#sus4(9,10,13)

これは12音を二つの和音で用いた進行例です。こうした進行を12音完全領域変換などと教材では書いています。機能感とは違う、変化感の大きい進行に当然なります。

 

⑲不定調性希機能進行

機能和声は、トニック→サブドミナント→ドミナントの三つの機能を行き来する事で音の重力を作っていきます。不定調性論では、重力ではなく、

トニックになり得る要素を持つ和音

サブドミナントになり得る要素を持つ和音

ドミナントになり得る要素を持つ和音

の条件を満たした和音を調とは関係なく行き来させる方法論を作りました。その際に活用されるのがモードマトリックスです。下記記事が詳しいです。

不定調性希機能進行~モードマトリックス★★★★★ - 音楽教室運営奮闘記

   

⑳マルチファンクショナルコードマトリックス

逸脱進行に慣れてくると、

Dm7  G7  AM7

と言った進行は、

Dm7  G7  Am7ではなく、ピカルディ終止的な転調進行である、と解釈し、「これは解決ではなく転調だ」みたいに理解することができます。この感覚が肥大すると、

Cメジャーキーのトニック→Dメジャーキーのサブドミナント→F#メジャーキーのドミナント→Bマイナーキーのトニック

みたいな流れも「転調の拡大された機能進行」と捉えることが可能です。

あとは構成の中にパターンを組み込んだり、様式を組み込むことで意味はより明確になって音楽的クオリアを生みやすくなります。

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矢印に沿ってコードを並べると、

CM7 GM7 AM7 F#M7 E♭M7  DM7  GM7  E7  CM7

となります。これはそれぞれのキーで並んでおり、

トニック→サブドミナント→トニック→サブドミナント→ドミナント→トニック

という流れを作っていることがわかります。

全く目安のない状態で不定調性進行を作ろうとするとき、こうした「機能の残像」はある種の補助になる人もいます。

これらは弱い重力の連続を作り出す、とイメージもできます。和声の進行感を、ある種の機能重力の連鎖として感じてしまう方は、こうした考え方で作られた表を独自に作り、不定調性的和声進行を作られることを提案します。

表の完全版は教材第四巻に全てまとまっています。

 

これ以降の手法は、民族音楽との融合になります。そのためには、五度と四度の歩幅の違いを理解し、ブルースがなぜブルースなのかを把握できないと意識が拡張しません。

www.youtube.com

以降の内容は、この25本目ぐらいから見て頂くと概略が分かります。

そしてこの先は、未解決、未体系化のジャンルですので、どんどん独自研究を進めてみてください。

 

このほかにも教材では様々な和音連鎖の常識をはがしていく方法論が大小多数書かれています。

問題はこの次のステップです。

 

完全即興制作

 

何度も例に出して恐縮ですが、

www.youtube.com

こうした楽曲は、全く何の指標もなく、自分の音楽的クオリアだけで作った作品です。
同様に、ポピュラーミュージックを即興的に作れる人も、結局は同じことです。

何らかの理論的手法を意識して作るのではなく、着想から数秒でメロディを作り、和音を置き、展開を作り、グルーヴを作っていきます。

そこに至るまではさまざな学習と経験値が蓄積されて、インスピレーションまでの時間が短くなり、またそのインスピレーションを広げることができるようになっています。そうやって自然に生まれる音楽があなたの音楽です。 そうした自分だけの音楽があることで、普段の商業音楽も距離感をしっかり保ちながら取り組むことができます。「音楽性が、、」などと迷ったりしません。なぜならそれは自分がどういう音楽を作るタイプなのかを、十分知っているからです。

外国に行けばその国の言葉で表現するのが最もコミュニケーションが取れます。

商業音楽はそういう「諸外国」にすぎません。

 

 

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①-⑳までの手法はあくまで、

・あなた自身の音楽常識感覚をゆるくする

・自分自身の感性に気が付く

ために様々な論拠や手法を紹介していくわけです。これらを実際に使ってもいいですが、作曲家は常に新しいサウンドを求めます。だから既存の手法を安全のためだけに用いることはないと思います。

①-⑳までの手法は「練習曲」として教室の課題として用いていくのは良いと思います。

「自分の発掘」です。既存のやり方に囚われず、一度自分自身を勉強してみてください。そのうえでヒット曲が作りたいのなら、ヒット曲を創った人に教えを乞えばいいし、大学に行きたければ行っても良いと思います。その前に自分がどういう感性を持っているのかを知っておくことで、好きな音楽をあなたなりの解釈で作りやすくなることでしょう。

その中で、サンバのグルーヴを勉強したり、オーケストラの編曲を学んだり、指揮法を学んだり、DTMを学んだり、とやらなくてはならないことが膨大にあります。

しかしサンバ一筋に取り組んでも「不定調性論的な音楽の感性へのアプローチ」は当然身につきます。その代わり本当に毎日人生掛けて取り組んでいないと見えてこないでしょうが。大学に行かなくてもひたすらオーケストラの譜面を打ち込みしていれば、ある程度同程度の事を身につけることができます。それが好きで好きでたまらないから、理論学習よりも譜読み打ち込み研究が繰り返され、結果として学習を感性が凌駕し、自分自身が見えてくる、という寸法です。

 

改めて最初と同じことを書きます。

不定調性論の思考は、2~4年間の学校等での音楽の学習期間の有効活用補助、という側面があろうかと思います。学校の勉強、偉人の方法論の習得と同じくらい魅力をもって、自分自身をもっと深く知ること、が自分の音楽を見つける一番の手助けになると信じています。

不定調性論は、和音連鎖の自由を導き出す思考体系です。

これをそのままあなた自身の思考を導き出すためのモデルの一つとして頂ければ幸いです。

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ふえぇ...13000字。。

 

随時この二本の記事は提唱者存命中は毎年リニューアルさせて頂きます。

 

不定調性関連含めてM-Bankの制作作品つれづれは下記からご覧いただけます。

制作メモ カテゴリーの記事一覧 - 音楽教室運営奮闘記

 

   

==コーヒーブレイク〜M-Bankのロビーの話題から==

これとこれは内容をなるべく理解した上で進んで頂きたいです!似たような本でも良いです!ご自分が読みやすそうな本を選んでください!!この二冊は内容が完璧で退屈です(褒めてます)。

楽典―理論と実習

ポピュラー音楽理論 改訂版 北川祐 編著 

(楽器を始めて半年以上ぐらいの本格派になるぞ!!って決めた人が対象です。)