音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

不定調性論の方法論的展開 その1-2

前回

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不定調性的和音進行の方法論例

例えば「夏の小川」を表現する和音進行を作るとします。

ではCM7は?夏の小川のイメージがありますか?

それともCm7?人によってはCdim7?

一つ和音を選んだら、続く和音を選びます。

CM7 |Dm7 |は小川っぽい?

CM7 |DM7 |それともここっち?

CM7 EbM7 DM7 FM7 |Bdim7 F7 Bbdim7 E7 |それともこのくらい細かい?

それとも

C$&')  |D'&'  |E(%&  |F(% |

表記できない和音?

あなたの直感的イメージはあなた自身の表現を決めます。

このやり方がコントロールできたらメロディ、歌詞、リズム、アレンジにも応用します。

 

お風呂に入ってメロディを作ってしまうなら、あなたはお風呂でメロディを生み出す才能に長けています。電車に乗りたくなったら、あなたは電車派。一旦映画を観たくなるなら、映画派。

散歩派、飲み会派、友達とゲーム派、一人パソコンの前に座る派...

学校で教わらなかった「あなたの行動癖」を自覚します。

「まさかこんな情けないことで自分曲ができるなんて....」

なんて例も。メロディができるとトイレに行きたくなり、我慢しながら作るといいのができる、という人もいます。人は性癖モンスターです。それを認め磨き上げたとき、アートになります。自分を知る作業です。

 

下記は和音連鎖方法の様々な事例です。

①オクターブレンジに基づく連鎖法~同音程連鎖

オクターブレンジの考え方で一つの音から全ての「音程」を生み出すことができるので、「音程」を統一して平行移動させる(既存の並行進行の)考え方を具体化できます。

拙論では基音の倍音発生音程から

完全八度=完全五度=完全四度=長三度=短三度=増四度=長二度=短二度

という関係性ができます。これで適当に弾いても大きな意味で全て同じ音種となります。全てが同じ音なら、あとは解釈だけです。

 

1cと基音を固定すれば、自然倍音の関係は

1c-2c-3c-4c-5c-6c-7c-8c-9c-10c...です。

1c→2c

2c→3c(2g)、3c(2g)→4c

4c→5c(4e)、5c(4e)→6c(4g)、5c(4e)→7c(4b♭)、7c(4b♭)→8c(5c)、

11c(5f#)→12c(5g)

など、基音のステップで他の音程が現れることを根拠に一つの音は多くの音程を作る、という考え方です。

音程=倍音列上の基音の振動数差

です。

どれか一つの音程をピックアップする、というのは、倍音列上のいずれか音程の関係性を用いた連鎖、と言えます。

短二度同一音程連鎖

C→C#→D→D#

これは和音が短二度で連鎖されています。短二度は、第11-12倍音間で生まれる関係性です。

第11倍音+基音の振動数=第12倍音です。この二つの音は基音の振動数を母体にできている関係だから、倍音列上の関係である、という捉え方です。あとはこれを12音に拡張します。

 

c→c#は基音f#の関係

c#→cは基音gの関係...という具合です。

他の音程もできます。

C  D E  F#(全音での連鎖)

Cm  Ebm  F#m  Am(短三度の連鎖)

C7  E7  G#7 C7(長三度の連鎖)

CM7  FM7  BbM7  EbM7  (完全四度での連鎖)

...etc

サウンドイメージができるなら組み合わせて使えます。

C  DM7  Fm  AbM7  C7  E7 Am7  DM7 

サウンドはこちらで聞けます。


結果的に音楽はなんでもありですから、あとはその根拠をどこに置くか、だけです。

音楽理論で全部説明するのめんどいという人は、この「オクターブレンジに基づく音程連鎖」で全ての音を同列解釈する一時思想を持ってしまいましょう。

 

②コンポジットモーダルハーモニー

独自音階の構成音から和音を作り連鎖させる方法です。

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この音階は上方倍音を16倍音まで用いたものです。

ここから下記のような和音が作れます。

C△ Caug Em E△ Edim Eaug G△ Gm Gsus4 A♭aug B♭aug Bm 

これを作ってコード進行を作ることで音集合的な統一感が生まれます。

 C   |Em   |Gm   |A♭aug  |

 

③旋律音含有和音

c音を持つ和音には以下のような和音があります。

C

Cm

Csus4

Caug

Cdim

CM7

Cm7

CmM7

C7

Cm7(b5)

B7(b9)

BbM7(9)

Bbm7(9)

A7(#9)

Am7

AbM7

Ab7

G7sus4

F#M7(#11)

FM7

Fm7

E7(b13)

EbM7(13)

Ebm6

D7

Dm7

C#M7

...etc 

c音を固定して上記の和音を並べると音楽性が生まれます。

:C  |G7sus4 |F#M7(#11)  |Ab7  :|

 

 

 

④マテリアルモーション

上方と下方のマテリアルモーション1

サブドミナントマイナー終止です。

基音cなら

C⇔Fm、C7⇔Fm、C⇔Dm7(b5)、C7⇔Dm7(b5)

Dm7(b5)=Fm6でもOK。

基音cの上方領域和音と下方領域和音を行き来することはカデンツ的な確かな進行感があります。これを連鎖するとBe-Bopの進行感になります。

C7 |Fm  |D7 |Gm |E7 |Am |...

 

⑤単音概念的アプローチ

和音のトップノートをメロディにして、全体をシンプルな和音で組み立てるやり方です。

ドレミファソラシドにコードを付ける

次の例は、ドレミドレミドレミとメロディが進んでいく時、メロディ音を持つ和音を自在に連鎖させたものです。

C  Cadd9  Dadd9     |D7  C7(9)  Bb7(b5)  |Am7  Abm7(b5) G7(13)  |...

これは和音の響きを単音(音色)と捉えて作曲していく方法です。

 

 

⑥調向階段モデル内アプローチ

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拡大した長調的進行として、

C  |Bbm    |Am7(b5)  |C  |

などが創れます。

短調的進行には、

C  G7  F7  |C  |

というブルース的進行もみられます。

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また領域を交差させながら、"トニック"に向かう進行もできます。

A♭augM7(13) ⇒ C△

こういった進行は逆に直感では作りづらい時があります。

 

その2に続きます。