2018.6/13⇨2020.10.20更新
不定調性論では「基本的な和音の状態」を四つ作ります。
あとはそれを組み合わせて和音を作ることができます。
これは既存の三度堆積では違う和音の作り方です。
あくまでこうした作り方で全ての和音構成ができるよ、という宣言であり、実際の制作作業では、厳密にこの体型に沿って全ての和音を作り上げるわけではありません。
上下とも、オクターブレンジ3までを用います。
基音がcのとき、
上方オクターブレンジ3は、
c-e-g-b♭-c
であり、下方は
c-a♭-f-d-c
です。
これを五度領域(c-e-g)と四度領域(g-b♭-c)に分けて、四つの三和音を作ります。
上方五度領域 c-e-g
上方四度領域 g-b♭-c
下方五度領域 c-a♭-f
下方四度領域 f-d-c
これを記号化します。
上方五度領域三和音 Cu5
上方四度領域三和音 Cu4
下方五度領域三和音 Cl5
下方四度領域三和音 Cl4
です。これらの三和音を基本和声単位と呼びます。
和声単位は拙論における三和音集合です。
ここですぐに
上方五度領域三和音 Cu5=C△
上方四度領域三和音 Cu4=C7omit3
下方五度領域三和音 Cl5=Fm
下方四度領域三和音 Cl4=Csus4add9omit5
とは考えません。まだ機能和声音楽の素材として"成り立っているわけではない"からです。あくまで構成音が一致しているだけです。脳はタンパク質と脂質とアミノ酸ですが、同じ分量だけ混ぜ合わせても脳にはなりません。
ダイヤがあるからすぐに指輪として使えるわけではありません。
それぞれ"加工"が必要です。
よってc,e,gという集合も現状では、即C△、長三和音ではない、と考えておいてください。家は建っていますが誰も住んでいない状態です。
ゆえに、まず和音になる前の形態を示す記号として作りました。
topicimage
これにより「上方倍音列には長三和音が現れる」と言わずに済みます。これを言わなければ下方倍音について考える必要も、なんで短三和音が倍音列に現れないのか、もわかります。
またこの倍音列問題は、
基音cの上ではC△とGmが現れる、のはどういうことかを説明できなければ倍音における和音発生についてとやかくいうことができません。
機能和声と倍音列の関係は、5度の交わりを起こしています。
つまりC△とCmを考えるのではなく、C△とGm、G△とCmという関係を調べると面白いです。
不定調性論は9倍音以上を取り扱わないので、興味のある方はお調べください。
cの上方のC△、Gm
cの下方のFm、Bb△
この4度、5度、2度の関係から新しい理論もできそうですね。