2020.1.28更新
- <上方倍音列表(自然倍音列)>
- <上方倍音列の基音からの音程>
- <下方倍音列表>
- <下方倍音列の音程>
- 不定調性論の十二音連関表
- 中心軸システムのその先
- 倍音の立体構造についてはこちら。
- 近似値について
- 倍音列数理の深淵
- 当ブログ音楽理論関連記事目次はこちら
自然倍音の第16倍音まで一覧表にまとめました。
各基音の自然倍音の関係を見たい時等ご参考いただければ幸いです。
<上方倍音列表(自然倍音列)>
1=1倍音=基音です。
以下、2=2倍音~16=16倍音まで。
・倍音名振り分けは近似値です。
・緑色のセルは異名同音の列です。例C#=Dbなど。
基音cのときの倍音を鍵盤で表すと、
<上方倍音列の基音からの音程>
1.基音
2.オクターブ
3.完全五度
4.オクターブ
5.長三度
6.完全五度
7.短七度
8.オクターブ
9.9th
10.長三度
11.#11th
12.完全五度
13.b13th
14.m7th
15.M7th
16.オクターブ
<下方倍音列表>
下方の倍音とは、同じ音を上方倍音に持つ音の集合体で、下方倍音列、という存在が自然倍音同様に実際に楽器を弾いた時等に響くわけではありません。
第16倍音が最も低いc1になるように書いてあります。青色のセルは異名同音の列です。
<下方倍音列の音程>
1.基音
2.オクターブ
3.完全四度
4.オクターブ
5.短六度
6.完全四度
7.9th
8.オクターブ
9.m7th
10.b13th
11.#11th
12.完全四度
13.長三度
14.9th
15.b9th
16.オクターブ
==音程関係図==
===
画像は自由にお持ち帰りください。
不定調性論の十二音連関表
以降は独自論を含みますのでご注意ください。
不定調性論の十二音連関表における側面領域という考え方を用いて、その音列も列挙します("側面"が実在するわけではありませんが、このように三つの領域を作ることで不定調性論は和音の関係性を作ります)。
<上方群>
<下方群>
中心軸システムのその先
これらのグループ分けについては、
中心軸システムのその先が分かると思います。
倍音の立体構造についてはこちら。
近似値について
自然倍音の振動数は音名に対して近似値で割り振っていきます。近似値の割り振りについて、は厳密に24平均律の中点を目安に振り分けています。
この場合、「調律の振動数の割り当てによって、音名解釈が変わるのではないか?」
というご指摘はその通りです。これは独自論を作るための割り振りでもあります。
それらの音名振り分け解釈はあくまでご自身の方法論が求める範囲で割り振られるものです。不定調性論も全てこの24平均律の振動数表をベースに全ての音名が解釈が割り振られ方法論が出来上がっています。
方法論が変われば解釈も変わり、それが独自性になり、それをご自身が用いやすくアレンジ、加工していくことで、その人の音楽表現を薄めることなく作りげる土台になるものと信じます。
倍音列数理の深淵
倍音列を実際の音楽に用いる際の前提条件として、次の二つの考え方があります。
・発生した振動数音をそのまま用いる
倍音列は、平均律の振動数から考えても近似値です。第三倍音自体が本来近似値なので、「倍音列の音を用いる」のであれば、この発生した近似値をそのまま用いる必要があります。
・発生した振動数音を自己解釈して平均律音名、または各位の微分音律音名に当てはめて用いる
自然倍音の中に長三和音が現れる、という考え方はこの解釈で長三和音が現れている、と解釈して用いています。本来自然倍音列の中に平均律の長三和音は現れていません。
不定調性論は、あらゆる音を12音に振り分けて用います。
そういう約束で24平均律の表から、数値を割り振り、12音名に割り振って音組織を考える方法論です。
こうした組織化を行うと、それぞれの組織化に合わせた倍音列に法則が現れてくるのが分かります。
不定調性論的方法論の中で見つけられる法則を列挙してみましょう。
■上下の倍音による完全結合領域から、12音連関表を作ることができる。これにより12音は閉じた世界となり、この配置でシーツ状に音の平原を作ることができる。
■発生音を組み合わせると、T-SD-D-Tの連結した世界が作れる、またこのことから、民族音楽的五音階の音世界と、西欧音楽的なな音階の世界が表裏一体になる。 結果として極が現れる(長調と短調世界が極まる)
といったことがまず挙げられます。
またもっと詰めれば、さまざまな連関性も構築できます。
基音cの上方領域e,g,b♭音は、基音gの上方領域音b,dを生み出す下方倍音になっています。また基音cの下方倍音は、基音fの上方領域音を生み出す下方倍音になっています。
このことから主要三和音が強く結びついていることを導き出して、独自論を作られても良いでしょう。
また、
基音cの上方領域音e,gを生み出す下方倍音は、基音gとfのそれぞれ下方倍音、上方倍音に該当します。
ここから、主和音の絶対性を導き出せる独自論を作っても良いでしょう。
その他の関係性や、徹底した倍音数理の追求は不定調性論教材でも徹底して行っていますが、あくまで上下八倍音まで、と絞って行ったものですので、より広範囲の共通性を探りたい方は、ぜひ独自探求で推し進めてみてください。
人は倍音でその音が何であるか判断して生き残ってきました。
オオカミの威嚇の声なのか、ただの風の音なのかなど。そのように耳の構造が進化したんです。空気の振動を倍音別に分解し、その含有量を「音色」として認識し、推測しやすくしました。
本来音はただの空気の振動ですから「音」はしません。しかしそれでは、狼に食い殺されてしまいます。
当然のことながら人間の倍音を聞き分ける機能が音楽表現に転用され生かされても不思議ではありません。
しかし倍音に依存することが本当に人間の文化としての音楽の表現の発展に有益かどうかは分かりません。それが足枷になっていることもあるかもしれません。
むしろ、倍音から離れ、空気の振動という原点に返って表現を組み立て直すことが、自然のあるがままに近い、ということもできるかもしれません。
その辺りも個人の嗜好や思想に因るべき話なので、一人一人がどのように空気の振動を取り扱うか、から考えてみてはいかがでしょうか。