2018.6.20⇨2020.10.29更新
長調と短調という存在を理解するために先の調向階段モデルを活用します。
下記は領域と機能について改めて書き直したものですが同じ図です。
さらに、この図から
このように調性音楽で起こる「流れ」を書き込みます。
これだとわかりづらいので基音cの和音に置き換えてみます。
表の右下から左上への流れは長調でよくみられる流れが出て来ることがわかります。C⇒C7⇒Gm7(b5) ⇒Bbm⇒F⇒F7⇒Am7(b5) ⇒Cm⇒G⇒G7⇒Dm7(b5) ⇒Fm⇒C
少し奇妙ですが下方の領域を含ませるとこのような進行になります。
ここから下方領域を一切抜いて見ると、
C⇒F⇒F7⇒G⇒G7⇒C
となります。
このうち上方四度領域も抜いてしまえば、
C⇒F⇒G⇒C
という機能和声の長調の最も代表的な流れが出来上がります。
(太字、教材より引用)
そして今度は逆の流れを見てみます。
今度は下降していく様子が作れます。
C⇒Fm⇒Dm7(♭5) ⇒G7⇒Cm⇒Cm6⇒F7⇒B♭m⇒Gm7(♭5) ⇒C7⇒Fm
どうでしょうか?
短調的な流れが表出していると感じませんか?
不定調性論では、長調、短調は、この「流れの方向の違い」で表現できるわけです。
長調は明るい、短調は暗い、という印象ではなく、上下の領域を作ることによってできる流れを区別するものだ、とします。
だから「調」ではなく、「流」と言ってもいいです。
さらに長調的流れは
C⇒F⇒G⇒C
であり、短調的流れでは、
C⇒G⇒F⇒C
となります。このようにもともと不可能とされた流れがしっかり対照的に表せることで、メジャー、マイナーではなく、流れの違いが和音感の違いを示しているのだ、という発想になり、ブルースの流れを取り込むことにつながります。
ここで長調と短調は、調を超えて「流れ」となります。
調性音楽やブルース、ある種の規則を守った音楽は、こうした流れに従って作る音楽である、とすると、不定調性音楽はこの流れを自在に変化させて作る、となります。
学習者はこの二つの流れを理解することで、自分の好みや、自分の音楽の世界観の所在を掴んでいくことができると思います。