2018.6.23→2020.10.31更新
上方と下方が全く同じ構成音を持っている領域があります。
これは公式があります。
iの上方領域=iiの下方領域
iの下方領域=vii♭の上方領域
これをcとdで書くと。
こうなります(教材より抜粋)。
このようなC7(9)という和音を「完全結合領域和音」と呼んでいます。
上方領域の集合は、別の基音の下方領域なんですね。
これには理由があります。
12音というピッチクラスに分けたために、近似する音を12音に平均化してまとめてしまったのでこうした関連性を観ることができます。
この発想によって、
Dm7(b5)→C#M7
といった流れが「結合領域的な発想によって作る事の出来るコード進行である」
ということが分かります。これが和音作成の方法とリンクすれば、クリシェもこの概念と同じです。
C-CM7-C7
これも共通音を残し、一音を変化させる方法です。
こうした和音連鎖は、機能や調的システムで成り立っているのではなく
・演奏のしやすさ
・響きの連鎖のクオリアの明確さ
などで選ばれ、使われ、習慣になり、人々のクオリアや価値観を作ってきた音楽言語だとおもいます。
調や機能で和音が理解出来たら、その先の不定調性的和音連鎖を、こうした形態論で自分の価値感で把握できるようにしておくと、音楽を作る際に「教科書に載っていない方法を作ってしまったときに迷う感じ」がありません。
また直感的に作った名も知らぬ和音(自分が知らないだけだが)にインスピレーションをもらうこともあります。それはあなたがこれまで蓄えてきた経験値によって、脳が導き出した解答です。不定調性論は、そうしてできた和音の由来を知らなくても、その可能性を理解する方法を作りたいと思い、この形態分析を作りました。
あるときCM7(b9)と解釈できる和音が美しく響いた、としましょう。
しかしコードシステム表記しか知らなければ、あなたはこう思うかもしれません。
「M7にb9が付いて響くということは、何かがおかしい、せめて一度は修正を試みなければ」と。
しかしこれは退化しか生みません。
そのために
CM7(b9)=Cu5+Bl7
という簡潔なもう一つの回答を出せる仕組みを意識の中に持っておけば、新しい響きの意味を求める方向にも意識が向きます。
CM7(b9)が響く時は、たいていDbm7(b5)が何らかの主張をしていて、あわせてDbmM7の響きがメロディや楽器の音色感で浮き立っているときです。それを活用すべきか、変えるか、という判断をすればいいだけで、CM7(b9)と決めつけてしまうことに先入観があります。
コードネームシステムは「その部分の大枠の一時解釈」に過ぎないからです。
コードネームシステムを習得したら次は一音一音の配置、強弱、音価、流れをよく感じるようにしてください。