2018.6.18⇨2020.10.25更新
前回あげた交差する領域音の表を類似を指定して階段状にまとめたものです。
本来振動数が1異なっても数学的には違う音ですから、本来の振動数を厳密に数値で照らし合わせたらこうした関連性はできません。これは不定調性論が機能和声論と呼応できるように12音種を用いているので作れる関連性であることもお忘れなく。
またみなさんがご自身の感覚で関連音表をお作りになると良いと思います。
そしてこのモデルによって「調的なくくり」を"ある程度"作ることができます。
このモデルの上下をcで閉じることができるからです。
ただこれは、書きを見ても分かる通り、2音の類似であれば実は他にもこのモデルを作ることができます。C-D-E、C-D-B♭などです。
これはビートルズ的調性感覚も作り上げているといえます。
つまり、
C |D |B♭|C |
といった進行が安定してCに帰着できるシステムを持つ根拠を、この調向階段モデル風に考えるとしっくりくると思います。
五度圏を学習するとき、それは閉じていません。
12音をすべて用いないとcに戻ってこれません。しかしなぜ調性音楽はc、g、fという主要三つの音で閉じることができるのか、cが中心になるのか、ということの説明はこのような数理の関連性モデルで考えればしっくりきます。
それぞれの発生音の類似によって、それぞれの基音への指向性ができ、意識の上で収束させることが可能になります。
上方に向かっても下方に向かってもcに終止させる、というモデルをこれにて作ることができるわけです。
またこれを成り立たせるには音は12音である、という認識が必要なわけですが、現代日本人はこの感覚の獲得に苦労することはないでしょう。
つまり調性音楽の調の中心の存在を、このモデルで図式することができます。
非常に重要なモデルです。
ここで大事なのは、こうした関係性があるから、人はそれを意識の中で作り出して調を感じることが可能だ、と理解できる点であって、決して「このモデルが調性の存在を証明している」わけではありません。先にも述べた通り、他にも関連性を持ちた閉じたモデルは存在可能です。むしろビートルズらが拡散したコードモデルの方が、「調性が持つ関連性を拡張させていた」と考えることもできると思います。
主要三和音でなくても調的な閉じた関連性は作れる
という発想に理屈ではなく気がついていたわけです。
不定調性論は「反応領域」という考え方があるので、
このようにすればこのモデルを崩すこともできます。
どのような考えで自分の音楽をやるか、ということを具体的に作ってみると意外と何も考えずやっていたりするものです。
もし迷ったら、こうした思考ツールの是非をご自身で考えて「自分はこう考える」と決めていただくだけでも自分の音楽を肯定的に捉えられるようになると思います。