前回
前回に続き、参考曲の抜粋です。
ピアノ編曲と書いてある作品は、声楽とピアノの作品や複数のピアノ頼めの編曲の場合なども含めてあるそうです。
基本的な五音音階
全音階的
i-ii-iii-v-vi
ベロッグ
i-iib-iiib-v-vib
平調子
i-ii-iiib-v-vib
雲井
i-ii-iiib-v-vi
が列挙されています。原著にもKumoiなどと表記されています。
五音音階は半音を持たないので自由度がない分、ハーモニーをつける場合は、五音音階に半音を加えた音階から作られる和音使用とよく結び付けられる、と説明があります。
よく知られた六音音階
6音対照的
i-iib-iii-iv-v#-vi
プロメシウス
i-ii-iii-iv#-vi-viib
プロメシウス ナポリ
i-iib-iii-iv#-vi-viib
全音
i-ii-iii-iv#-v#-vi#
これらについても、音階だけではなく、通例の和音の上で用いられた時効果を発する、という考察が付されています。
わかりやすくいうと、例えばホールトーンスケールがその特徴をあらわにするのは、通例のメジャーコードの上で突如弾かれた時、などです。
ホールトーンスケール自体は増三和音しか生まないためホールトーンだけで音楽を作ることはいささか限界があります。それぞれの特徴を知り、いつ際立つかを知り、どのタイミングで、どういう楽曲の文脈上で使用するか、というのが最初のページで述べた「創造性と才能」というところでしょう。
理論書はここまでが言及の限界だったわけです。
本来最後に考えるべき問題は、いつも「最終的には結局自分が決断しなければならない」という点です。
そこに"正解がない"と認めることは社会では難しいと思います。
社会は社会的価値を生まないものは良くないもの、と決めていかないと統合的な文化の発展があり得ないからです。
不定調性論も「孤独のグルメ」も、規模は違いますが「個の価値の発信」です。
個の発信と、社会の潮流はしっかり分け、段階的に社会的価値への理解を推し進められるように知る必要があります。
五音音階
バルトーク ミクロコスモス第3巻 22頁
Béla Bartók - Mikrokosmos - Volume 3
ドビッシー 前奏曲 第1巻 16頁
La cathédrale engloutie Préludes 1" / Debussy, Claude Achille 沈める寺 前奏曲集第１集(巻) ドビュッシー
グリフィス 古代東洋の5つの詩 4-15頁
Charles Griffes - Five Poems of Ancient China and Japan
フランチェスコ マリピエロ 無限の休止 ピアノと声
ラベル バイオリン、チェロ及びピアノのためのトリオ 21頁
Maurice Ravel-Piano Trio in A minor + Sheets - YouTube
アルベール ルーセル 12の旋律(Douze Melodies) ピアノと声 49頁
五音音階と非五音音階との組み合わせ
バルトーク 弦楽四重奏曲 第3番 7-8頁
Béla Bartók - String Quartet No. 3, Sz. 85
ヒンデミット 舞踏音楽(Tanz stucke) ピアノ 18頁
Paul Hindemith - Tanzstücke Op.19
オネゲル 3つのシャンソン 2頁
バリル フィリップス ピアノのための3つのインフォマリティー(A Set of Three Infomalities for Piano) 4頁
ラベル 子供と魔法 42-43頁
Ravel - L'Enfant et les Sortileges (full score) - Part 1 - YouTube
ラルフ フォン ウィリアムス ロンドン交響曲 24頁
Vaughan Williams - Symphony No. 2 'London'
全音音階作法
バルトーク ミクロコスモス 第5巻 32頁
Béla Bartók - Mikrokosmos-Volume 5, Sz. 107
ベルグ 7つの朝の歌(Sieben Fruh Lieder) 3頁
Alban Berg - Sieben Frühe Lieder for Soprano and Piano (1907)
ドビュッシー 前奏曲 第一巻 3頁
La cathédrale engloutie Préludes 1" / Debussy, Claude Achille 沈める寺 前奏曲集第１集(巻) ドビュッシー
ヒンデミット 今日のニュース(Neues vom Tage) ピアノ編曲 171頁
Paul Hindemith: Neues vom Tage (1928/1929) - Atto I - YouTube
全音音階と非全音音階との組み合わせ
バルトーク 弦楽四重奏曲 第1番 11頁
Béla Bartók - String Quartet No. 1
フェルッチオ ブゾーニ ピアノソナチネ 第1番 11頁
Ferruccio Busoni: Sonatina No. 1 (Slotchiver) - YouTube
ヒンデミット ピアノソナタ第1番 15頁
Paul Hindemith - Piano Sonata No. 1 "Der Main"
ジャック イベール アンジェリック(Angelique) ピアノ編曲 24頁
Angelique- Jacques Ibert Texas State Opera Theatre - YouTube
チャールズ アイヴス 34の歌曲 46頁
ラヴェル マ メール ロア(4手) 18-19頁
Maurice Ravel - Ma mère l'Oye (for Piano 4-hands) (with Score) - YouTube
ストラヴィンスキー 春の祭典(La Sacre Printemps) 67頁
Igor Stravinsky - The Rite of Spring (1913)
非半音階的和声の中の半音階的旋律
→特定の和音が半音でずれていく流れの中で半音階的な旋律が含まれる楽曲
ヘンリー カウエル 交響曲第11番 15頁
Henry Cowell: Symphony No.11 "Seven Rituals of Music" (1954) - YouTube
オネゲル ダビデ王 ピアノ編曲 6頁
Honegger's King David Part 1 of 3 - YouTube
プロコフィエフ ピアノソナタ第2番 ３頁
Boris Berman Plays Prokofiev Piano sonata no. 2 op. 14 in D minor (Full)
ショスタコーヴィッチ ピアノ前奏曲 第1番
Shostakovich, 24 Preludes op.34 - Elisso Wirssaladze
ストラヴィンスキー 詩篇の交響曲 ピアノ編曲 2頁
Igor Stravinsky - Symphony of Psalms [With score] - YouTube
半音階＝全音階の装飾として、あるいは12音が等価値として扱われ、主音も如何様にも固定／移動が可能、または調性を与えないことも可能、同時に全音音階同様、等間隔の音程を保つため、変形旋法を構成できない、という説明があります。
全ての可能性が含んだ音階ですから、旋法が制限される、ということがない分、「自由を謳歌」することができるという感覚を味わうならこの音階を楽しむことができる、と思います。
全音階的旋律を持った半音階的和声
→旋律は調的な旋法によって作られるが、そこにつけられた和音が半音階的に動いている事例
サミュエル バーバー ピアノソナタ 42頁
Samuel Barber - Piano Sonata [With score]
ロイ ハリス 小組曲 5頁
Roy Harris (Little Suite for piano) - YouTube
ヒンデミット ピアノのためのソナタ(4手) 10-11頁
Paul Hindemith: Sonata for Piano 4-Hands - YouTube
アイウス バイオリンソナタ第4番 19頁
Ives - Violin Sonata No.4, 'Children's Day'
半音階的旋律と半音階的和声
ベルグ 5つの管弦楽付歌曲 作品第4番 5頁 ピアノ編曲
https://www.youtube.com/watch?v=3KtRsTR0
ベティネリ シンフォニア ブレイーヴェ 52頁
Bruno Bettinelli: Sinfonia Breve - Leonard Bernstein (1954) - YouTube
ゴッドフリート フォン アイネム 日本の秋(Japanische Blätter) 2頁
ハワード ハンソン 交響曲第二番 2頁
Howard Hanson - Symphony No. 2, Op. 30 "Romantic" [with score] - YouTube
カール ラグルス 人と山脈 15頁
Carl Ruggles - Men and Mountains
シェーンベルク バイオリン協奏曲 ピアノ編曲 33頁
シェーンベルク：ヴァイオリン協奏曲 作品36 ハーン, サロネン 2007 - YouTube
スクリャービン ピアノソナタ第9番 １頁
Sokolov plays Scriabin - Black Mass Sonata: Piano Sonata No. 9, Op. 68
セッションズ ピアノ協奏曲 ピアノ編曲 34頁
Roger Sessions: Concerto for Piano and Orchestra (1955/1956) - YouTube
12の和音
こうした超多声和音は、こうすればいいとか、こうしたら歴史的文脈に沿う、みたいなことも言えましょうが、逆に独自性を生みづらいので下記先例を把握しながら検討いただくと良いと思います。
ベルグ 5つの管弦楽付歌曲 ピアノ編曲 6頁
Alban Berg - Five Orchestral Songs "Altenberg-Lieder" [1/5] - YouTube
レナード バーンスタイン 不安の時代(The Age of Anxiety) ピアノ編曲 59頁
Leonard Bernstein - Symphony No. 2 "The Age of Anxiety", revised (1949/1965) - YouTube
カール バーガー ブロムダール 宇宙オペラ(Aniara) ピアノ編曲1-3頁
Karl Birger Blomdahl: Aniara (1959) Atto I - YouTube
ブリテン ねじの回転 ピアノ編曲 5頁
Benjamin Britten - The Turn of the Screw (Act 1) (with score) - YouTube
ヴィトリオ ジャンニーニ 交響曲第4番 III リハーサルナンバー9
Giannini, Vittorio (1903-1966): Symphony No 4 I Allegro con passione - YouTube
ミハエル ギーレン アルチ弦、ピアノ、バリトン、トロンボーン、ティンパニのための音楽 39頁
エヴァレット ヘルム 5人の独奏楽器、打楽器及び弦楽のための協奏曲 15頁
アイヴス 19の歌曲(Majority) 42頁
Charles Ives - Majority - YouTube
やってんな...
ロルフ リーバーマン ジャズバンドとシンフォニーオーケストラのための協奏曲 1頁
Rolf Liebermann: Concerto for Jazz Band and Symphony Orchestra (1954) - YouTube
ミヨー ピアノソナタ(1916) 10頁
Darius Milhaud - Sonata No. 1 for Piano, Op. 33 (1916)
パーシケッティ 吹奏楽のための交響曲 127頁
PERSICHETTI Symphony for Band (No. 6, Op. 69): I. Adagio; Allegro - "The President's Own" - YouTube
ロジャース 受難曲(The Passion) ピアノ編曲 98頁
十五、十七の和音(７音以上の分厚い和音)
こんな和音
バディングス、ルイスビル交響曲 p.63
Henk Badings - Symphony No. 7 'Louisville - symphony' - YouTube
ベルグ、ヴァイオリン協奏曲 p.42
Alban Berg - Violin Concerto (1935) - YouTube
オネゲル、交響曲第三番 礼拝 p.106
Arthur Honegger - Symphony No. 3 'Liturgique', H.186 - YouTube
アイヴス 19の歌曲 p.44
Charles Ives - Majority - YouTube
ギゼレール クレーべ 管弦楽のための音楽的瞬間 p.1
Giselher Klebe Moments musicaux - YouTube
リカルド マリピエロ ヴァイオリンとピアノのためのソナータ p.18
R. Malipiero - Sonata (1956) for violin and piano - YouTube
ラヴェル マダガスカル土人の歌 p.12
Maurice Ravel - Chansons madécasses [With score] - YouTube
アレキサンドル タンスマン 四つの前奏曲 p.5
Alexandre Tansman - 4 Preludes (Zelibor) - YouTube
この曲はわかりやすいですが、自然に流れていってしまいます。
ヴィラ ローボス 粗暴な詩 p.22
Villa-Lobos - Rudepoema (Roberto Szidon, piano) - YouTube
この曲もなかなか粗暴。
続く。
