ついにシーズン10がスタートしましたね。
今回はシリーズ通して深夜に響くあの音について語ってみましょう。
なおこの記事での音程表記にはDAWで出力したままに基づいて音程名をつけてます。理論的スタンスの深い意図はありません。減五度=増四度等として扱ってください。
この曲(メロディ)には「孤独の空腹」と曲が銘打たれています。
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これによれば最初にfの音が連打されて、例のフレーズに流れます。
これをdからとると、
d...e♭...f...a♭..
でDコンビネーション オブ ディミニッシュスケール(またはディミニッシュスケールとなんとなくの解釈でも良い)でできているメロディ、ということができます。
通称「コンディミ」スケール。
混沌、混乱、殺伐...こんなクオリアが浮かびませんか?
空腹が五郎に食に集中するように脅迫するようなスイッチを入れる存在感。
我々世代だと「一休さん」がとんちをひらめくシーンの音なども思い出します。あれは木魚とリンですが、やはり何か神通力を得るような神妙な瞬間です。神聖な感じしますよね。このドラマだと、このシーンがないまま普通に空腹だぁって店に駆け込むのは、手水舎で手を清めずに神社に入るような行為に見えてきます笑
年末のゴールデンタイムとかではこの音は例えば、
ちょっとこっちにしたい、とか思うこともできます笑。
これはコンディミではなく、ジャズのオルタードミナントスケールです。ゴールデンタイムだから、あまり寂寥とならないように2音目は減五度の代わりにその反対側に一個あげた増五度(短六度)にして、少し動きを出します。
ちゃんと減五度(増四度)も最高音との関係で残してます。
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音ひとつでもそれが連鎖するとそれなりのイメージを聴き手に与えます。
比較することでそれぞれの違いも感じられる方もおられるでしょう。
不定調性論ではこれらを「音楽的なクオリア」「進行感」などと一時解釈し理屈と感性を直感的に使い分けて音を紡いでゆきます(その解釈はその都度深める気概で)。この記事が「わかる!」という人は、効果音作成のスキルは身につけられると思います。
今回のようなフレーズは、ぱ!っと決められるようになりたいものです。
この記事のように考え込んでしまうと創作自体に覚めてしまいます。
たった三つの音についての記事でした。
きっとスタッフの皆様からは「そんなことまで考えてないよ」と言われてしまっても良いのです。音楽は自分の机に出された食事と同じ。自由にとことんまで味わってナンボです。今回は皿を舐める勢いでたった三粒のご飯粒を味わいました。
もちろん。まるですき焼きの中を泳ぐような食欲溢れるメインBGMの数々が魅力でもあります。
食神井之頭のマインドフルネスとも言える孤高の食と音楽を楽しみましょう。