音楽教育活動奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と...旧音楽教室運営奮闘記。

倍音マトリックス〜親和音としての現代ブルーノートの生成/自己の音楽システムを作る楽しみ

倍音マトリックス

当記事は多数アクセスがありますが、所詮独自論(私にとってやりやすさを提供してくれるもの)です。専門の方はご注意ください。


基音をcとしたとき、下記の図のような関係性を配置することができます。

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このチャートには基音がcならc#とb以外の音はすべて出現します(詳細は教材にて)。

この図の元を作ったのはピタゴラスです。

下方倍音が成り立つ原理自体は紀元前から知られていたわけです(彼は弦を分割する長さの比で響きの関係を把握し、整数比分割のその美しさを見つけました)。

ラモーより盛んになる和声論は下記のc,e,gの範囲を拡大解釈することだけで展開してきました。伝統音楽理論においては下方倍音列を用いる必要はなかったわけです。

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下記質問に答えてみてください。

「C△で使える音はどれですか?」

あなたは教科書で学んだ通り、以下のようにコードトーンとテンションと答えるかもしれません。

コードの構成音c,e,g

一般的スケール音d,(f#),a

しかしそれはあなたのシステムではなく、バークリー校のシステムです。

「バークリー校の独自論」と言ってもいいです。不定調性論と同じです(暴論すみません)

 

最終的に「12音全て使えます」と云うかもしれません。

では、あなたは本当にそれを信じていますか?あなた自身の音楽でそれを使っていますか?あなたが実際使ってみると、あ?この状況でこの音は使えないかな??と感じる時があると思います。それなのに本当に12音使えると言えますか?

 

つまり「個人によって、状況によって変わる」わけです。

 

そこであえて12音使える、などと言わずに、「自分が使いたいと思った音が使える」という極論を作ってみませんか?これが個人の独自論です。

「独自論」なんて響き、怖くて使えないでしょう。恥ずかしくて使えないでしょう笑

でも、これが超便利なんです。一人で作業をするときは特に。

独自論の有用性は個人の気質にもよりますが、変人な人、社会の爪弾きになってしまうタイプの人、社会で生きていくためには独自論を確立することをお勧めします。あなたの独自論があなたを社会に平和的に浸透させます。

 

不定調性論はこの倍音マトリックスを活用して

「どこまでを自分が協和する(親和する)と、決めるか?」

をその都度選択判断し、C△に親和する音を自分で決める、という思考段階があるんです。もちろん制作時にはいちいちそんなこと考えなくていいように方法論はなっているのですが。

 

機能和声や一般コードスケール論などはその対極にあります。その辺りは不定調性論の基本のスタンスをご覧ください。

 

 

例として、不定調性論では上下8倍音までを用いて和音をつくる、としました(ここから拡張して数理親和音モデルまで使用音拡張モデルがあります)。

これらの音の組み合わせを用いる理由は、それらの音集合であれば基音の特定ができるからです。基音cであれば、上下8倍音までですから、

cから順に並べると、

c,d,e,f,g,g#,a#

という7音になります。

これらが基音cに親和する音である、とするわけです。

 

ここから楽曲のジャンルによって、「上方のみ」とか「下方のみ」とかTPOに応じて使い分けます。

機能和声論は下方領域を用いず、理論の土台を上方領域だけに固定して展開しました。結果新時代の音楽であったジャズ、ブルースを分析するには不都合な部分が生まれてしまいました。

 

ここからさらに親和性を広げると、

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表全体の音に拡張できます。

つまり、

c,d,d#,e,f,f#,g,g#,a,a#

の10音集合です。

あとは同様にTPOに分けてどこまでを用いるか、を考えます。これについては、より簡素化した「数理親和音モデル」で発生音を書き出すことができます。

www.terrax.site

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上の動画では何にも考えずに12音を使うための思想的工夫を紹介しています。

制作時に理論的思考を考えていると制作の勢いが止まるからです。これは死を意味する、と私は感じています笑。それを避けるためには、制作時に変に考えないことです。

そのためには考えなくていい前提をしっかりガッツリ作っておく必要があります。

前提がはっきりしないから、考えて込んでしまう、また本来今日集中して考えるべきことが疎かになります。私はそれが嫌だったのでこのやり方を作ったんです。

ね?独自論でしょ?

 

 

あとは「これらの音からどの音をcに反応させるものとするか?」とその都度判断します。

この10音には基音cから見た

d#=e♭=m3rdのブルーノート

f#=g♭=♭5thのブルーノート

a#=b♭=m7thのブルーノート

も現れています。

つまり、C△において、

「倍音マトリックス全体を"反応"させれば、C△の上でブルーノート(現代)が使える」

という理屈が確立できます。

 

本来不協和になる音を和音の上で用いるための理論的根拠、として不定調性論は、数理の連関表である、この倍音マトリックスを限界値として用いて、「あとは"どこまでを反応させるか"を個人がその都度定める」という考え方になります。

 

この辺りの「明確な選択要素がある方法論」としてはリディアン・クロマチック・コンセプトが有名です。

 

では、どうやって自分でそれを定めるのかという疑問にたどり着くでしょう。

それは理論的根拠ではなく、最後はあなた自身の確信感覚です。

その直感を信じられるようになるためには、日頃から直感的な制作を心がけないと鍛えられません。だから私はある時期から、考える制作をやめ、すべてのこの直感的感覚で作るように訓練してきました。

なかなか大変です。この直感はさまざまな認知バイアスを含みます。

ミスや我が儘を許容/決断してしまうんです。

拙論では、この直感を「音楽的なクオリア」と表現しています。感がずにどんどん決めて作業を進めるとき、自分の弱さとか、癖、全部目の当たりします。

だからこそもっとちゃんと判断できるようになりたい、と制作以外の時間は様々な勉強をするようになりました。直感を支えるのは経験と知識です。

私自身全然まだまだ鍛錬中です。

 

参考

www.terrax.site

 

(追記2021)

最初に見たのは、

星界の音楽

ジョスリン ゴドウィン (著), 斉藤 栄一 (翻訳)

のp299、「ピタゴラス表」として記されていました。

ピタゴラステーブルなら、いわゆるマス目に数字が並んだ表とか、知っていたのだけど、それの倍音版、みたいな感じなのでしょうか。

この中で、アルベルト・フォン・ティムスという、肩書きは政治家で、日本でいう衆議院議員を務めた人です。古代の和声理論にかなり精通していた、という変わった知識人です。

このさらに大元は古代シリアのイアンブリコスという哲学者の書物でした。ピタゴラスの生涯を記しているところから、ピタゴラスの影響も大きく、当時からラムダの文字の形に数字を配置した図を書いていました。

 

ティムスはこの図を発展させ、ピタゴラス表も記しています。

同書には、

ここでその議論を追う必要はない。その起源が何であれ、このピタゴラス表は、宇宙的かつ形而上学的諸実在に関する象徴を用いての説明や、可能な限りの解明をするための手段として、思弁的音楽にとっては他に類例がないほど役に立つものだからである。

とあります。

 

このディムスの影響を受け継いだのが音楽学者のハンス・カイザーで、カイザーの学生にシェーンベルクもいるんだそうです。

そして「星界の音楽」には、あのネガティブ・ハーモニーで日本でも著名になったエルンスト・レヴィが共著で1983年に書いた「音楽形態学」という本の230ページにこのピタゴラステーブルが書かれています。倍音マトリックスを16倍音まで拡張した表です。

この本の原著は、下記のアーカイブ図書館サイトで全て見ることもできます。

archive.org

 

もちろん私は、不定調性論を作るにあたり、レヴィの著書を知りませんでした。

しかし、このレヴィ先生が同様なコンセプトに気がついていないはずはありません。

ぜひ、ご専門に研究される方はご参考になってみてください。