音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

<不定調性論用語/概念紹介58>不定調性進行

2018.7.15⇨2020.11.9更新

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演奏できる方は、次のコード進行を弾いてみてください。

CM7 Dm7 Em7 FM7 G7 CM7

私はこの進行に朗らかで、穏やかな昼時を思わせる調べを感じました。

ここにアレンジを加えます。

CM7 Dm7(♭5) Em7  Fm7 G7 Cm7

こうなると陰りが差し、最後は物悲しく終わります。

長調と短調の狭間のグラデーションができます。

 

次の進行はどうでしょう。

C△ E♭△ F△ A♭△

高揚感があり、進行感があり、力強い跳躍的な心象が浮かびました。

これは明るいのでしょうか、暗いのでしょうか。長調でしょうか、短調でしょうか。

機能和声的に解説すればこの進行は最初のC△以外全てCmのキーのダイアトニックコードといわねばなりませんが、Cmはどこにも使われていません。あるのはメジャーコードを連鎖した、という統一性だけです。

 

コードの連鎖感覚は、現代音楽、ブルース、ロックという音楽ジャンルの登場で、長調と短調という二つの要素だけでは説明が収まらなくなりました。

 

和音の流れが作る調子を、長調と短調という二つの概念ではなく、不定調性論では「領域の変化」という形態分類を行うことにしました。

 

<不定長調進行>

基音は自由で、上方領域に反応領域を固定した例。

・表面回帰性長調展開の例

Cu5  Gu5  Cu5

Cu5  Fu5  Cu5

※いわゆるリアクティブモーションです。

 

・側面回帰性長調展開の例

Cu5  Au5  Cu5

Cu5  Du5  Cu5

Cu5  Eu5  Cu5

 

・裏面回帰性長調展開の例

Cu5   F#u5   Cu5

Cu5   C#u5   Cu5

Cu5   Bu5   Cu5

※さらに側裏面回帰性長調展開があります。

 

さらに中心に戻ってこない展開(非回帰性展開)もあります。

Cu5   Gu5   Du5   Fu5  A♭u5・・・  

 

<不定短調進行>

基音は自由で、下方領域に反応領域を固定した例。

・表面的回帰性長調展開の例

Cl5  Gl5  Cl5

Cl5  Fl5  Cl5

 

・側面的回帰性短調展開の例

Cl5  Al5  Cl5

Cl5  Dl5  Cl5

Cl5  El5  Cl5

 

・裏面的回帰性短調展開の例

Cl5   F#l5   Cl5

Cl5   C#l5   Cl5

Cl5   Bl5   Cl5

※さらに側裏面的回帰性短調展開があります。

 

さらに中心に戻ってこない展開(非回帰性展開)もあります。

Cl5   Gl5   Dl5   Fl5  A♭l5・・・ 

 

<上方系不定領域進行>

基音は自由で、上方領域を優先した反応領域を固定しない進行。

・表面回帰性領域展開での例

Cu5  Gl5  Cu5

Cu5  Fl5  Cu5

 

・側面回帰性領域展開での例

Cu5  Al5  Cu5

Cu5  Dl5  Cu5

Cu5  El5  Cu5

 

・裏面回帰性領域展開の例

Cu5   F#l5   Cu5

Cu5   C#l5   Cu5

Cu5   Bl5   Cu5

※さらに側裏的回帰性領域展開があります。

 

さらに中心に戻ってこない展開(非回帰性展開)もあります。

Cu5   Al5   Bl5   Fu5  Gu5・・・これはアイオニアンでのダイアトニック展開ですが、不定調性的な解釈ではこの「上方系不定領域」に区分できます。

 

<下方系不定領域進行>

基音は自由で、下方領域を優先した反応領域を固定しない進行。

・表面回帰性領域展開での例

Cl5  Gu5  Cl5

Cl5  Fu5  Cl5

 

・側面回帰性領域展開での例

Cl5  Au5  Cl5

Cl5  Du5  Cl5

Cl5  Eu5  Cl5

 

・裏面回帰性領域展開の例

Cl5   F#u5   Cl5

Cl5   C#u5   Cl5

Cl5   Bu5   Cl5

※さらに側裏面回帰性領域展開があります。

 

さらに中心に戻ってこない展開(非回帰性展開)もあります。

Cl5   E♭u5   D♭u5   Gl5  Fl5・・・これはエオリアンでのダイアトニック展開ですが、不定調性的な解釈ではこの「下方系不定領域」に区分できます。

 

<内定調性進行>

基音は固定され、各領域を優先した進行。

・上方系内部回帰性展開の例

Cu5  Cl5  Cu5

 

 

・下方系内部回帰性展開の例

Cl5  Cu5  Cl5

※いわゆるマテリアルモーションです。

 

モードに縛られない、領域展開がこれで全て解説・分類されました。

これらが組み合われた進行を考える時、センターコードの存在が欠かせません。

センターになる和音がなければそれらが展開する度に新たなセンターコードの連鎖になってしまいます。

このセンターコードの存在の有無を考慮し、

 

回帰性不定調性進行・・・センターコードが統一され存在している進行。cにはじまりcに終わる進行

非回帰性不定調性進行・・・センターコードがなく和声単位がその都度連鎖される進行。cにはじまりcに終わらない進行

不定回帰性不定調性進行・・・センターコードが随時変化していき複数存在する進行。cにはじまりdに移り、eに移りcに戻る、というような規則を持った秩序ある不定調性進行としておきます。実際の作曲ではこの三つの大枠さえも混合されて作られることでしょう。

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