音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

コードスケールって何?②~勉強する意味とかの話★★★★

前回、コードスケールの考え方の基礎に触れました。それらをすべて表にしたのがこちらです。

www.terrax.site

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これ覚えていて音楽の仕事している人って、どのくらいいるんでしょうね・・。

ほとんど「体得している」ので理屈とリンクしていない場合がほとんどでしょう。

 

その状況を見て、不定調性論は「最終的に音楽が生み出せる独自なやり方」をいかに身につけるか、ということを人生の真ん中に置く、をずっと提起しているわけです。覚えなくていいけど、使えるようになっていれば良いと思います。大体は覚えていても使えない、のが普通です。だから人一倍体得しないと難しい話です。

そう、音楽は全く簡単ではなく、とてつもなく労力と才能がいる世界です。だから今からでも遅くないので気合を入れて臨んでください。

 

今回は先に答えを言っておきます。コードスケールの勉強から飛躍しますが、学習期間に自己を発見するためには、

 

覚えながら、弾きながらいつも自分が感じたことをメモっていってください。

そういうノートを持ちましょう。

答えが見えない間は一般理論を勉強してください。そのうち「なんかちがう」とはっきり察知したら、あなたは分岐点に立っています。それでも分からなければまたさらに深く一般理論を勉強してください。

 

これに尽きます。

勉強は、「あなた自身を引き出すためのトレーニング期間」です。

本当はコードスケールなどどうでもよいのです笑。

先生方はそれを明確に伝えてください。とても大事です。勉強していてあなた自身が見つかったらその瞬間から今の勉強のスタイルを丸ッと変えていかないといけません。

もしスケールなど使わない、ノイズだけを扱う音楽に秀でていたら、スケール覚える必要あります??

そしてこの判断には勇気がいります。王道からわき道(あなたにとっての本筋)に逸れるのですから。

 

あと7個覚えるスケールがあるから・・などと悠長な事を言っていてはいけません。

ピンときたら、その場で勉強を辞めて、プランを練り直しましょう。

 

 

覚える作業は切りがありません。前回も書きましたが、例えば2時間自由な時間があったら、100分は練習、20分は座学。こういうイメージで覚えなければならないことのウエイトを絞ってください。勉強を始めると一日が終わってしまいます。時間配分が大切です(っていってもいつも上手くいかないけどね)。

その中で技術が上がってくると、実際に自分が必要な知識がどれか、が見えてきます。

 

読み物企画の方に話を少し戻しましょう。その2です。再度同じ絵を。f:id:terraxart:20190403193638p:plain

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では、質問です。

「この曲の頭のFm7の小節でe音は使えるか?」

どうでしょう。

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先のページで最終的に決まったFエオリアンにはe音は♭しています。

 

これだけの条件では、Fm7でe音は使えない、と答えるのが正解ですよね。

 

教科書通りです。これを言っていれば誰からも批判されません。

しかし、ジャズの歴史は、そういう「あたりまえ」をどんどん放棄する事に快感を覚えてきた人たちの歴史です。つまり

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こんなふうにジャズは「脳内リハモ」しちゃうわけです。この曲で冒頭C7が適切かどうかはともかく、C7→Fm7は普通のドミナントモーションですからアリですよね。こうやってちょっと意外性を出すことで使えない音を入れ込んできます。これはアドリブパートにおいて顕著に現れます。最初に述べた

「この小節はFm7が支配するヨォ」

すら無視していくんですね。無法になっていきます。

また、こういうことを考えずにできるのがパーカーリックと言われるビ・バップの旋律構成論です。ひたすらパーカーをコピーすれば身につきます。問題はそれだけの時間が人生にないことです。

e音はC7における三度の音ですから、バップ的なメロディに挟み込んでe音が使えてしまうわけです。バップで何でそれが出来んの?というようなことは、下記とか。

"チャーリー・パーカーの技法"を読んで 其の1★★★★ - 音楽教室運営奮闘記

バップの旋律構造が分かると不協和を巧みに用いることができます。

 

なおジャズの場合はテンション表記がほとんどされないので、このC7のときはC7(b9,b13)とか当たり前に使えるようにしてください。テンションが乗らないジャズはジャズではない、とまだまだ思われているので。

テンションの乗らないジャズ=ポピュラーミュージック

です。ジャンルの一般名が変わるだけです。

 

時にはこうした音遣いが一時的に完全に違和感が出る場合もあります。

 

でもこれを10コーラスぐらい繰り返していると、聴き手が慣れる、ということをジャズメンは知ったのです。

そしてそれがレコードになり何年も聴かれると、ミストーンですら、ミスに感じられなくなり、愛情が出る、という心理状態になることを知っているんです。

ブ〇は三日で慣れる・・・たとえが悪いですが、そういうことです。慣れる、というより、最初の偏見が無くなり、理解が出来るようになる、という意味です。人間としての成長です。

またはビートルズ現象、とか言ったり。。長年聴くと、めちゃくちゃうまいコピーバンドより元曲のほうが"正しく愛おしく"なってしまうんです。

 

こうした感覚は、正しい音楽と違って、物議を醸しだし、何年も飽きられず、時々悪い例に出されながらも、その世代が年老いていくと懐かしがられ、最後は認められる、という欲望の構図をすべて創り出すので、クリエイターにはたまらないギリギリのラインでの挑戦です。

自分が生きていた時代に存在したものを死ぬまで認めない、ってことは、自分の時代を認めない、自分を認めない、自分は不遇だった、と認めるようなものですから、誰だって自分が生きた時代を肯定したくなるんです。

これが分かってしまったから音楽は神聖な芸術の時代を終え、庶民の普遍的な楽しみ、という文化の一形態になりました。批判を恐れないほど盲目的に自分のやり方を信じることが出来れば、生きているうちは大変ですが、歴史に名前が刻まれることでしょう。

 

そして手法が一般化してくると、例えばここでは「リハーモニゼーション」という言葉が生まれます。

そしてそれが教科書に載ってしまうと、いよいよまた表現者たちは飽きます。

学校と芸術は常に相反する位置にあるように思えます。そのイメージは払拭したいですよね、じゃあ学校って無能なやつがいくところ、みたいなイメージしか残らないから。

 

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途中をすっ飛ばしますが、結局

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このFm7で使えない音はない、となります。

せめてf#とaはだめだろ!だってルートの半音上のf#はいくら何でも不協和だ!、それにFmってマイナーコードなのにaはメジャーコードの三度の音だから、これだけは絶対だめだ!

まあ、一般論に擦れた状態の学習時はそうかもしれないのですが・・自分も一時期はそこにちゃんとしてちゃんとしよう、なんて思ったこともあったのですが、

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こういう感覚はどうしても自分を心地よくさせてしまうんです。

上記記事の曲は"昼寝の曲"です。

わたしは短三度の上に長三度が乗ると、「眠気」とか「微熱感」とか「ほてり」を感じます。共感覚的なものでしょう(そんな共感覚ある??)。

いままで、これは「人と違うんだから切り捨てよう」と思ってずっと生きてきましたが、諦めました。無理です。美人を見て美人だと思わないようにしよう・・って思いこもうとするのって意味ないと思いません?それと同じ感じで、感じてしまうものを無視しようって、そんなことしていたらまともに自分の五感とともに人生送れないじゃん・・。だから私は自分を切り捨てるのではなく、社会を切り捨てました。

だから私が賛同できる音楽の教科書とか、ないんです。残念です。

 

でもこうやってここに一人いる、ってことは、これまでもたくさんいただろうし、これからもいるでしょうし、だからその権利を認める教材がなければなりません。

そこで不定調性論の考え方の発展となったわけです。

あなたも自分の感覚を信じて、自分の感じるところを"開発"してみてください。

そして、それが世間の常識と違ったら、そういう自分をひっそり認めてあげて、空き時間に自分の芸術を作ってみてください。満たされますょ?

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以下の表をご覧ください。これは不定調性音楽論教材第四巻・資料集からの抜粋です。

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このようにいずれのモード=スケールにもm7は出てきます。基本は四つのスケールなのですが、開始音によって指で押さえるポジションが異なるのでどうしてもこの24種のポジショニングは覚えてしまう必要があります。

 

つまり、Fm7だけでIをm7に持つモードを列挙すれば、

Fドリアン

Fフリジアン

Fエオリアン

FドリアンM6

Fドリアン#4

Fフリジアンb4

Fリディアンm3

などのモードが使用可能なわけです。これをあなたはいつ使い分け、どのように人生の中でまんべんなく使って、常に変化を出し、常に適切に選んで演奏していく自信がありますか?

普段は避けている問いですよね。

結果的に、プロ野球のピッチャーが自分の持ち球をいくつかに絞るように、プレイヤーも自分が使うスケールを三つに絞る、みたいなことをしているかもしれません。

さらにリハモのテクニック・バリエーションまで混ぜたら、いったいいくつの技を覚えなければならないのでしょう。一生で勉強しきれませんね。それをただ教える学校も時間を生徒の無駄にしている思います。まず生徒が何を欲しているかお先に見極めてあげて、マンツーマンで必要な指導に集中することが本来の現代的教育であると思います。

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また、ビバップのフレージングで、装飾音のリズミカルアプローチを使ってFm7のフレーズを作っていく場合などもあります。これはビバップがコードスケールという概念がなかったころに生まれた音楽であることに起因しています。これらの音はことごとくコードスケール外の音です。

このようなアプローチまで押さえて覚えていこうと思ったらそれこそ人生の時間が足りません。

バップをやらないなら、こういうアプローチはすてる、と一度は決意しつつも、先生などをやったりしていると、あ、レッスンで使うかも・・みたいにいちいち勉強の範囲が増えてしまいます。


こうしてコードスケールはいずれ12音(またはそれ以上=微分音)にまた帰ってきてしまいます。勉強したことは何だったんだ・・みたいに途方に暮れる瞬間ですね。

 

さてここからが不定調性論。

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スケールについては

まず、あなたの学習期間から逆算してください。

3年ジャズに費やせるなら、みっちり遊ばず、ひたすら勉強してしまってください。あとは一生、暇な時に勉強するだけで良いですから。

もし半年しかないなら、このページで挙げた四つのスケールのうち三つ、

・メジャースケール

・メロディックマイナースケール

・ハーモニックマイナースケール

ディミニッシュスケール(二種)

ホールトーンスケール・クロマチックスケール

ペンタトニックスケール

の構造・ポジションだけ2か月で覚えましょう。まず記憶に定着される必要があるので、どうしても最初はひたすら運指練習と合わせて弾いて覚えないといけません。

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それと同時にカバーです。自分が目指すアーティストの曲をできれば30曲ぐらいカバーしましょう。弾けるようにしてください。その演奏フレーズが並行して覚えているスケールのいずれかと合致するはずです。必要ならコード・モードアナライズを行って理解して弾けるようにしてください。3年あるなら2年ぐらい費やす覚悟で。半年しかないなら、10曲。

楽譜を見なくてもいつでも弾けるようにしたら、そのころにはフレーズ感覚が身についています。モードで考えることもできるけど、あなたの指のポジショニングでモード感、スケール感を覚えているはずです。

 

フリジアンスケールって、〇〇〇〇な感じの時に使いたいよねー

とか

リディアンて黄色だよね!でも彼が弾くと銀色だよね!

とか、それぞれのモードに対する実用的な感覚が生まれますので、これを大切に。

このとき、あんまりピンとこないモードは、あなたの音楽の選択肢から外れていきます。

 

これでピッチャーのように「俺はカーブを究める」とかってなんか使用モードの未来が見えてきたら、それに特化した自分だけの方法論を作ってください。

あなたが先生になった時は、

「自分が考えて編み出した方法を君に教えるけど、君はそのやり方を参考に自分のやり方を作りなさい、先生がいつつまづいて、どんな風に克服したかは全部おしえるから」

と言えば大丈夫です。

方法論は必ずしもその人に合うとは限りません。でもあなたの自己流が成り立った過程とか、考え方とか、を伝えることはとても意味のある事です。上達して、自分のやり方をマスターするのは学び手本人の責任です。

 

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自分の方法論は、最初あなた自身も理解ができないような考え方でアプローチする事が多いので、偏見は禁物です。講師も心を開きましょう笑。

まさか!!!って事が起きるんです。

要は、自分らしく、自分に最もしっくりくる思考回路で、演奏時にクリエイティブになれる方法論で出てくるやり方でなければなりません。

例えばAm7で自分は常にAロクリアンを弾きたい、と思っていることに気が付いたら、最初は愕然とするかもしれませんが、どうせ最後は自分の欲望には抗えないのです。もしそれが最初の学習時三年間の間に出てきたらそれはそれはラッキーです。最初は「こんな考え、気の迷いだ」と思うかもしれません。でもそれをどこかにメモしておいて下さい。

あなたの音楽人生をきっと決定づけます。それが一般受けするようなものであれば、富も名声も全部手に入ります。

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勉強する過程で一番エキサイティングなのは、自分を発見したときです。知識はトリガーに過ぎません。最初の言葉に戻りましょう。

覚えながら、弾きながらいつも自分が感じたことをメモっていってください。

そういうノートを持ちましょう。

寝る前にそれを開いて、今日何を感じたかを総合できれば、明日には答えが分かります。睡眠中の脳は超スーパーコンピューターだからね!!

あなたが感じたその中にヒントが必ずあります。何かに集中しているとき、ふっと抑え込まれていた潜在意識の深い願望が言葉になるときがあります。

やがてそれは音楽活動に余裕が生まれていくにつれて強くなります。

そしてやがてはその欲望を実現していく人生になると思います。早く見つかるに越したことはありません。

Once You (feat. Suzie Collier) - Jacob Collier w/ Metropole Orkest; cond: Jules Buckley - YouTube

ジェイコブ・コリヤー君とかは、すでに微分音をコーラスに用いて自分のハーモニーを作る、というめちゃくちゃニーズがなさそうな自分の欲望に気が付いて実践にし始めています。末恐ろしい表現者ですね。

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コードスケールを覚えることに限らず、この、覚える、という作業は完成がないので、覚えることをゴールにしては何も生み出せません。

そうではなく、覚える過程で生まれてくる、不安、焦り、希望、アイディアを拾っていってください。その過程で「あ、自分、ジャズのアドリブを進化させたいから、コード全て覚えても意味ないかも」と気が付くか、「あ、自分コードスケールなんてなかったスイングジャズの伝統を後世に残す活動したいかも」と気が付くか・・とにかく予想もしない気づきがやってきます。

こうした「学習から得られる印象」に集中していくような発想が不定調性論的な学習思考です。

だから勉強は楽しいですよ。今読んでる本の知識が入ってくることはもちろん、自分のやりたいことを見つける脳が一方で働いていますから、ヒントがいつ転がってくるか分からない楽しみとワクワクがあります。

 

学校の勉強もそんな風に教えてくれたら、楽しいですよね。

年号なんて覚えなくていいから、今日の授業で感じたことをメモれ!

それが「昼飯はサンドイッチがいいな」だったら、講師の授業がつまらなかった、という意味です。

みたいなところから。

 

同じ知識でもそれは受け取る側に意識がある限り全く違う知識になって受け取られていく・・・これもまた矛盾への同意がないとなかなか受け入れがたいことですよね。

 

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==コーヒーブレイク〜M-Bankのロビーの話題から==

じゃ、お前はなにで勉強したんだよ、と言われれば最初は北川先生の本でした。実際にレッスンも受けたことがあります。めっちゃプロ向けです。音楽をまじで作りたいならこのくらいついておいで系です。あとはメーザーハウスで遊びながら理論全ステップ制覇しました。

皆さんは新しい時代の参考書が沢山あるので自分で選んでください。

ポピュラー音楽理論 改訂版 北川祐 編著