音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

<基礎>スケール/モード構成度数一覧表/avoid noteについて

<スケールの名称について>
この記事で扱っている音階は、ポピュラー・ジャズ音楽で用いられるものです。

 

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<avoid note=回避音/障音/特性音について>
上記の表の黄色のセルの音は一般的に「アヴォイドノート」といわれる音です。

「楽理上のルールを機能させるために、旋律や和音で避けるべき音」です。

この音は、コード構成音の半音上(m2rd=♭9th)に該当する音、またはその音を加えることによってドミナントコードなどの機能を内在させてしまう(と考えることができる)音を慣習的にアヴォイドノートとしてきました。

「コードの響きを阻害する恐れのある音」または「コードの機能の弊害になる可能性のある音」と解説されたりします。

例えばアイオニアンではIM7というコードができますが、IVの音がアヴォイドノートです。

このIVはIM7の構成音III度の音の半音上の音に該当し、この音をIM7に加えると響きが濁る、とされています。

例として、CM7にIVの音であるFを同時に弾くと、CM7のE音とF音が同時に存在すると一般には極端に濁って聞こえる、とされています。

しかし本当に濁るかどうかは、状況にも音色にも、主観にもよります。

瞬時に音をずらして用いれば(例;f⇨eへ解決させれば)スパイスのように、ブルージーに響いたりします(聞き手の主観も関係する)。

強弱を活かせばカッコよく掻きむしるような音になったります(民族音楽的な効果)。

その人の音楽性が、ド直球の学校合唱型音楽でもない限り、工夫と作法によって匂い立つような響きになったりします。

 

ただアヴォイドだ、と避けるのではなく、ジャンル、感情表現、リズム、音色、タイミングで、どううまくハマるか、等も考えてみる癖をつけましょう。

安易にavoidしよう、というのはクリエイティブな発想とは言えません。

 

またCM7にFを加えると、CM7のB音とF音がトライトーン(増四度)という音程を作ります。

この増四度はドミナントコードにおける特徴的な音程で、CメジャーキーではG7(g,b,d,f)がドミナントコードになりますが、fとbの増四度の音程がトニックに向かおうといういわゆる「ドミナント機能」を持っているとされます。

CM7=IM7は「トニック」という和音の流れを安定させようとする機能を持つコードですから、不安定な要素を持つ増四度を含ませるとトニック機能に弊害が出てしまいます。

そのためCM7にFは乗せないという考え方も楽理上できるわけです。

たいていのアヴォイドノートは音階のトライトーンを作る音に該当します。

(不定調性論ではこのような慣習を取り除く学習をします。もともと自然界に存在しない価値観だからです。両方のバランスに対応できるスイッチを意識の中に作ることで表現の自由度を増していきます。)

 

同様にその他のスケールのアヴォイドノートも、同じような理由から、

・そのモードのIを基準に作られるコード上には乗せない、

・そのコード上ではあまり長い音価(音の長さ)では弾かない、

とした上で、アヴォイドノートを分別して「いつavoid(忌避)するべきか」の利用を判断していきます。

 

モードジャズにおいてはこのアヴォイドノートが今度はそのモードの「特性音」として扱われます。

場合によっては、CM7の上でメロディ音としてf音を伸ばすことで「和声面でポピュラーなコード進行を想定させないことでモードジャズという存在を明確にする」という考え方もできます。つまり「どうやってアヴォイドノートを鳴らしたらかっこよく使えるか」を考える音楽もあることを覚えておいてください。

 

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ポピュラー音楽における基本的な音階はアイオニアン=メジャースケールです。

下記の表では、ダイアトニックの7モードの音名を基準にして、音程関係との差異で最も近い音階名をつけています。

また2、3、6、7度は「M=メジャー」「m=マイナー」で変化を表記し、4,5度は完全系なので#、♭で表記しています。

(クリックして拡大してご覧ください。)

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参考

www.terrax.site