音楽教育活動奮闘記

不定調性論からの展開~音楽思考の玩具箱

プラシーボ的反応と独自論6〜見つけた意味を扱う工夫

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プラシーボの治癒力: 心がつくる体内万能薬

プラシーボ反応のさまざまな心理学的側面を的mながら、直感的制作とそれに伴う処理、そして日々の直感力向上のためのヒントを模索してみましょう。

 

トップダウン/ボトムアップ方式

プラシーボには進化論的な解釈の仕方があります。

雷が近くで鳴るとびっくりして、ドキドキして、緊張します。雷が近くで鳴ったから命の危険を感じ、ストレス反応が出たためです。

これを脳のトップダウン反応と言います。

次にもう一度来るんじゃないか、と脳は考え、ストレス反応から、集中力モードになり、回避行動のためのあらゆる準備を体が始めます。

そのためにコンセントを抜いたり、命を守る具体的な行動もし始めます。

 

同時に、ボトムアップ処理が始まります。

どこに落ちたのか、火災は起きていないか、割れた木や屋根の破片が倒れていないか、停電は起きていないか、近尾で騒いでいないか、漏電はないかなどの情報を得ると、少し安心し冷静さを取り戻します(ボトムアップ処理)。

基本的に命を守るためにトップダウン処理が行われたほうが生き残る確率は高まります。この辺りの解釈が進化論的です。

不定調性論で言えば、直感的判断は何も考えずに出てきたフレーズをとりあえず置いてみて制作を進めることに該当します。作りながらボトムアップ処理が行われ、それが適切かどうか、新しい意味が加わってそこから何か辻褄をあわせて展開できないか?などと考えます。

この最初の直感的選択が変に自分から外れたものにならないように、普段から直感的選択をして、その心象、雰囲気、展開を目の当たりに体験して、その感覚を制作に生かしましょう、となります。

 

実際に病気に苦しみ、治りたい、と期待してる人は、「この薬が効きますよ」と言われると、それを期待します。肉体は健康時の状況を覚えていて、いち早くその健康時の状況を求めているために、いつでも治る準備はできています。

いいフレーズが来たときに「あ、これだ」と瞬時に思えなければ、その後集中して作り上げるプラシーボ的反応が起きません。

 

やがて「強く期待する」という情報が入り、その次に、具体的に錠剤を飲む、といった行動が起こり、体に異物を入れます。その時に体は「これが期待のトリガーだ!」と病状を治す命令を下します。

必要な化学物質を生成し、必要な治癒措置を行い、実際に数値として現れるような治癒反応を示します。簡単な病気なら、薬の効能とトップダウンで自動的始まるプラシーボ反応による治癒の進行と、その生み出された化学物質の量などで個人差はあります。

だから薬は偽薬でも本当の薬でも治癒は進行します。

これで自己治癒力と薬の力がなぜ両方存在しているかの説明ができます。

今選んだフレーズがいいフレーズかどうか判断できることが肝心で、それは才能というよりも普段どのくらい音楽を自分の理想とともに聞いているかにかかっています。

 

子供が母親に絆創膏を貼って欲しい、とせがむ場面でも、忙しい母親として「そんなこと自分でやりなさい!」と言いたくなりますね。子供がトリガーを待っていることを無視している例です。

 

老人でも家族にマッサージをお願いしたり、わざわざ不器用な子供や老パートナーにやってもらおうとするのも、そうやって治った経験から、自然とそういう言動や行動でコミュニケーションを取ろうとしたりします。家族としてはいくら老いたとはいえ、そのくらいは自分できるじゃん!と言いたくなりますが、まあ治ったらお願いはされませんし、やがてはそういうこともできなくなるので、少し身を砕いてやってあげてもよいのではないでしょうか。その代わりしっかり感謝してもらってください。効果が倍増しまっす。「甘え」というんも社会では罪ですが、もし人間が言語を持たなかったら、その慎ましい行動は最大の自分への敬意ではないでしょうか。

 

音楽制作ではどうでしょう。

パパッと作る時「お、いいじゃん」と自分が思ったり、周囲が「あ、そのフレーズいいね」などの声がかかると、創作意欲は自らの気分がトップダウン的にどんどんインスピレーションの回路を開きます。

この時「本当にいいと思っているのか!?よく考えろ!」みたいなこと(ボトムアップ処理を促すような行動)は思いませんし言いません。

言い換えれば、これは自分の選択に甘えを示し、愛情を持って受け入れる行為です。その程度が落ちないように、毎日懸命に音楽的なクオリアを鍛えているのですから!

 

トップダウン方式が確立されている現場はどんどん仕事が進みます。迷いがないんじゃなくて、全員その効果を経験上把握しているからです。

中には「え?それはあんまり良くないんじゃ...」とか「え?それは無計画すぎてあり得んでしょ?」となんて反論する新人さんもいるでしょう。

でもそれは新人さんが未経験すぎるのではなく、経験がない分、先入観がなく、異変を察知してボトムアップ処理をメンバーよりも先に始めているだけです。

そこで進行を止めたり、勢いづいたトップダウン処理に水を差したら、現場は回らなくなります。

トップダウンの現場では、常識や確信を後回しにして突っ走らないといけない、みたいなところがあります。またそうした慣習がハラスメントを生みやすい土壌にもなっていきます。難しいです。そういう脳の仕組みだけでも理解して、あとは老獪に対処するしかありません。新人もベテランもそれぞれの役割と特性を活かせる現場は優秀だと思います。

 

 

特にボトムアップ処理に優れた人は、クリエイティブの現場では、全力でサポート側に回り、進行状況で事故が起きないように見守ってください。論理的に主張して正義として進行を止めても勢いが止まり、仕事が遅れ、士気が落ちるだけです。

ルパン三世はトップダウン型、次元大介はボトムアップ型、ですかね。そこに五右衛門の諦観が加わる。大仕事の時は、ここに峰不二子が参戦し、三人をコントロールしなければなりません。

物語を味わい深いものにするのは、何が正義かを銭形警部が審判する時です。

 

 

自分だけの制作の時も、良いと思ったフレーズ、これだ!!と思った直感を信じてガンガン進めるタイプは仕事が早いです。

提出後に「ここは直して?ここはこうして」という部分が慎重派よりも多いかも知れませんが、人が3曲のところ12曲くらい作ってきますから、経営陣として面白い人材でしょう。

細かいところを気にしない人を大雑把だと揶揄したり、ミスばかりの人に"適当すぎ"、注意したりします。その根本の独自論を意識し、早くしかもミスが少ない、独自論にビルドアップできるように一緒に考えてあげてください。

違うタイプ同士が支え合えるのが最強です。

 

条件づけでプラシーボが起こりやすいのは「十分に強い連想があること、十分な回数繰り返されていること、後になって連想を打ち消すようなことが何も起きないこと」だそうです。

 

条件づけ理論によれば、私たちは患者に何を与えるかを考えるだけでなく、その患者の過去の経歴をも考慮することが求められている。

お薬を処方するだけでなく、これまでどんな経験をしてきて、どういうふうに考えてきたかを医者が聞き出せ、ということなのでしょうか。これができるのはやはコンプライアンスの低い(良い意味で)、民間医療/代替医療でしょう。

「昔のこと聞いてどうするつもりだ!」

と思う人もいるでしょうから、なかなか難しいとは思いますが、そういうことを自然に聞き出すのが上手な人は、そこでトリガーを探して、きっかけが見つかれば、対処しやすくなります。

 

音楽はとっつきやすいです。

・好きな音楽のジャンルはあるの?

・どういうアーティストが好き?

から会話ができるからです。会話ができれば、私でさえも、声のトーン、目線、喋り方、アクセントなどからどういうスタンスが一番効くのか、のヒントが得ることができます。そこがわかると、そのひとが伸びるポイントから伸ばすことも可能です。

それが同書のいうプラシーボ反応を引き起こす鍵になる、ということなのだと思います。

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