音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

下方倍音列について_その1

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「下方倍音列理論」という音楽の理論が明確に存在するわけではありません。

また下方倍音が上方倍音のように自然発生するとしないことで世界は成り立っているので、我々(の時代に生きる我々)が通常知覚できる範疇において、下方倍音列は数理以外では存在しない、とするのがトレンドです。

ただこれもまた天動説である可能性が常にあります。いつだって世界は過渡期です。

自分のイメージに従い、それを活用して自分の表現を作ることができるのが表現です。

下記ではそうした自己表現の手段としての下方倍音列とその周辺情報について述べます。

 

当ページはあくまで個人が用いる方法論の中で下方倍音的存在を活用する方法を書いていますので専門の方はご注意ください。

まず前置き(長いです)。

ピタゴラスによるピタゴラステーブルを応用すると下方倍音列の概念が生まれます。

古代哲学者時代からその存在(?)は概念として知られていたようです。

哲学者イワンブリコス(ランブリコス)はピタゴラスの研究家でしたが、彼がその本に下方倍音列の元とも解釈できるアイデアを書き記しています。

 

そもそもピアノを鳴らしても物理現象として根音より低い音は自然には鳴らない(差音による低音、耳の構造の中で仮想的に構成される音(?)の認識が感じられる可能性はあり得ます。また演奏技巧として「サブハーモニクス」等の手法もありますが、これは下方倍音"現象"ではありません。)とされた下方倍音列は「得体の知れないもの」の代名詞のような扱いをするのがファッションのようです。

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演奏技巧における"低い音"については、上記で"anomalous low frequency vibration=ALF"異常な低周波振動、などと呼んでいます。木村まりさんの演奏技巧が著名のようです。

Subharmonic Partita, by Mari Kimura - YouTube

 

この"サブハーモニクス"については、先のアダム・ニーリーさんの動画では音叉を紙に触れることで440Hzより低い200Hzの音を出しています。これは紙に触れる回数が、実際の音叉の振動の半分ぐらいだったりするから、という説明です。

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音叉自体の振動なのか、手で触れるときの微妙な距離感がブレるからなのか、とにかくこれで原音より低い音が出せるわけです。音叉だけでなく、触れる紙も微妙に振動するので回数が半分ぐらいとかになるのかな•́ω•̀)?

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弓についても演奏時に弦の振動を間引いた感じで触れるイメージで原音よりも音が低くなります。これ自体は下方倍音が鳴っているのではなく、演奏テクニックと物理現象による低音発生です。弦の長さが関わるので1/2、1/3倍音などに等しい音がランダムに鳴る、と説明しています。これはどこまで意図的にコントロールできるのでしょうか。

専門的にはヘルムホルツモーションというらしく、弦の振動現象を利用した演奏法がこのALFの発生原因である、としているわけです。

mindfulcellist.wordpress.com

下記ページ中断にヘルムホルツモーションの解説があります。

en.wikipedia.org

またニーリーさんも述べていますが、脳は欠けた倍音を補うようにできています。

ちなみにシンセサイザーで高いc-g-c-c-e-gぐらいを弾くと、演奏していない低いcが感じられます。EQでも出ていない音が耳に確かに聞こえます(これこそ差音の場合も=その場合、EQで確認できる場合もできない場合もあります。EQ上では弱い差音も耳の中で増幅されている可能性もあるからです)。特に倍音たっぷりなFMシンセ的な音に顕著です。それはスピーカーも鳴らしていない脳の中で作られた基音です。なんでそんなことになるか、というと、実は音楽文化自体が、脳の構造に適した形で進化してきたからです。どちらかというと楽器もDAWもシンセも脳内が倍音を上手に聴き分けることを活用して作られているので、脳は勝手に倍音を生成し、楽器の音色を聞き分け、脳内で生み出される倍音を勝手に聞いてしまっているんです。

こうした著名な著書にも、脳自体が倍音を感じ取る能力に優れているから現在の音楽文化が成り立っている的解説がなされています。

 

音楽が倍音が豊かなのではなく、人の聴覚器官や脳が倍音を選別/聴取する機能に優れた組織だから、現在の音楽文化のような形態になった、というのが実際のようです。

だから、本当は人間が聴取できる存在以外に、振動現象を構成している何らかの現象がある可能性も当然あります。

下方倍音の数理もそうした可能性を示唆する材料の一つだと思います。

あなたがそれしか理解できないから、あなたが理解できないもの以上のものは存在しないという保証はないわけです。

 

「良い音」というのは、聞き手によって違い、その人の倍音聴取能力によって、年齢によって、これまで触れてきた音楽経験によって全く違う聴取能力を示すわけです。

だから、脳内が下方倍音列的存在をその場の音響現象に関係した何かの拍子に感じたり、作り上げることがあったとしても、不思議ではないわけです。

何を持って「存在しない」というかが曖昧なのが現状です。 

そこから、同じ実音を同じ聴覚器官で聞き分けるわけではないので、統一的な音楽の理論を当てはめるのは困難だ、と不定調性論では考えることにしました。人の音楽的背景、聴覚器官の個人差があるので、同じ振動現象に触れても、同じような情報として脳が認識しているわけではない、と考えるわけです。

自然倍音は、ラモーの時代から音楽の基本として位置付けるのがトレンドでしたが、それを推し進めて、倍音を根拠にする、というよりも、脳が倍音を根拠に音楽を個人的な認識で把握する、という考えにして、不定調性論では、実際に鳴る音でグループを作るのではなく、数理の上(比率)で関連性を作り上げ、そこから音楽を作る独自論を設けました。鳴った音は頭の中で個々人の情報になってしまいますが、鳴っている(振幅している)振動現象自体は数理的に等しいものです。

この考え方にすれば、自然倍音も下方倍音も音楽表現に自在に用いることができます。

合わせてその人のバックグラウンドに応じいくらでも解釈や情報認識を拡張できるので、それぞれが独自論を設けやすい、という意味でも便利だと感じています。

 

ちなみにこのサイトのどこにも決して「下方倍音は実際に鳴っている」とは言ってませんのでお間違いなきよう笑。

 

そうやって割り切って上下の倍音の数理を用いると、体系的な和音作成、和音形態分析に非常に便利です。

なぜこれを和音作成に用いないかについては、もはや現代の音楽理論家たちが意地になっているのではないかと感じるほどです。和音自体が人工的なものなのに。

その伝統に従っていると私自身がやりたい音楽ができないので申し訳ありませんが独自論でどんどん進めていこうと感じています。

長い前置きでした。 


<自然倍音(上方倍音)について考える>

ピアノの低いほうのc(ドの音)を仮にc1としましょう。c1よりオクターブ高い音をc2とします。

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そしてこのc1を、基準となる音「基音」としましょう。

 

ピアノのc1をがーーーんと弾いた時に、空気中に伝搬する振動の波の一秒間の振幅回数が「振動数」です。

これが人間の耳に伝わり、耳の中の鼓膜を同じ数だけ振動させます。

c2=65とすると、これは鼓膜を1秒間に65回振動させる、とイメージしてください。人はそこに音程を感じる(鼓膜から脳へ電気信号として送られる)訳です。

音自体が存在するのではなく、振動が音という現象になって脳に伝わるという意味では、本来は人が感じている"音"ですら自然界には存在していません。

 

この振動数の単位はHz(ヘルツ)です。

 

この65を比「1」とします。

比2であれば、65×2=130Hzですね。オクターブ高いcです。


では比10なら?65×10=650Hzです。「65のcの10倍音」と理解しましょう。

 

c2は65Hzだ、とかと言います。

 

===
普通のピアノでこのc2を弾くと、整数倍の振動数音が自然発生します(波の共鳴、と弦の共鳴パターン、部屋の音響によってそれらの高音が発生する)。単音で振動させる時、基音より低い振動数は発生しません。

倍音 - Wikipedia

 

これらの自然に混じってしまう振動数を、「自然倍音(上方倍音)」といいます。

静かなスタジオやホールなどでピアノの低い音を思い切り打ち鳴らすと、様々な反響と一緒に高いキーンという音が感じ取れるはず(脳内で鳴ってしまう音も含め)です。それが弾いた弦から生じたりその空間の共鳴、または、耳の中で発生している振動現象を音として認識している訳です。

 

また自然倍音は楽器の音色として認識されています。

「ピアノの音」はある特定の振動数の含有量によって決まっています。この振動数とこの振動数、この振動数を幾つの割合で混ぜて鳴らすとピアノの音色ができる、という考え方です。シンセサイザーでピアノの音色を作る時は、これらの振動数パターンを真似て作ります。

現実にその音が鳴るというよりも、脳がその振動数の割合で鳴った音に対してピアノの音を感じるようになった、というのが科学的な事実の表現に近いかと思います。

 

自然倍音は必ず原音の振動数よりも低い振動数が発生することはあり得ません。

ギターの弦で一番低い音よりも低い音が鳴らないのはそれ以上弦を長くできない、そして弦が細すぎるからですね。

弦の長さを短くすればするほど高い音は出ます。

音を低くしたければ、元の長さよりも長い弦が必要です。だから下方倍音は自然には鳴らないわけです。

 

最近の研究では、耳の中では原音よりも低い音が作られていると確認されています。

 

また、複数の音が鳴ると二つの音の振動数の差音が音程となり混じっていく場合もあります。

 

自然倍音列(上方倍音列)を順に書き出してみましょう。
c2=65とすると、
2倍音=130
3倍音=195
4倍音=260
5倍音=325
となります。これを順に列していくのが「倍音列」です。

 

===

音名= 振動数
c4= 261.6256
c#/d♭4= 277.1828
d4= 293.6648
d#/e♭4= 311.1276
e4= 329.6276
f4= 349.2282
f#/g♭4= 369.9944
g4= 391.9954
g#/a♭4= 415.3047
a4= 440.0000
a#/b♭4= 466.1638
b4 = 493.8832
c5 = 523.2512
いろいろ掛け算して計算してみてください。

 

ちょうど、オクターブ上のc5はc4を二倍した数になります。
261.6256×2=523.2512

HP、教材、動画等も。

 

その2に続きます。

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倍音いついての参考記事

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