音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

絶望のDaug;コンパートメント~ユーミン歌詞・コード考26

ユーミンの不定調性コード進行研究

ユーミン歌詞・コード考 / アルバム「時のないホテル」2

 

以前まとめたブログ記事を現在の不定調性考を用いてリライトいきます。レポートの語調が"である調"なので一部引用部分の表現はご容赦くださいませ。

各種レポートはM-Bankにお問い合わせいただければPDF似て無償で配布しております。宜しくお願い致します(日本音楽理論研究会にて発表も行いました)。

 

5,コンパートメント
(ユーミンレポートより)

 

 AD

  

これは恋破れて、列車の中で睡眠薬自殺を考えている女性の歌。


重いテーマですが、これもユーミンの必殺技、死についての歌です。

 

 AD

   

   

 

Cメロ(アルバム収録タイム 3:10-)


E♭M7 |E♭mM7 E♭M7 |Dm7 |Dm7 |
E♭M7 |E♭mM7 E♭M7 |Dm7 |Dm7 |
E♭M7 |E♭mM7 E♭M7 |Dm7 |Dm7 |
E♭M7 |E♭mM7 E♭M7 |E♭m6 |Daug |


ここでの楽曲のキーはGm(g moll)、ゆえにこのE♭M7はVI♭M7になる。VI♭系和音独特のふわりと浮いたような進行が続く


E♭mM7によってさらに足下が危ぶまれるような響きを醸し出し揺れ続く表現がされている。


この曲は、列車で睡眠薬を飲み自殺を図る女性の心情が歌われる重い歌である。

 

このCパートはユーミンの歌の中でも非常に高い音で歌われ、切実に生への悔いと死の誘惑の狭間で揺れ動く心がこの和声で表現されている。

またm7thコードの寒々しく、吹きすさぶ心、という印象を感じるかもしれない。

また最後のDaugはもはやあきらめてしまったどうしようもない状態、というような雰囲気を感じるから不思議である。


曲の最後には「ひこうき雲」の時と同様に、繰り返しのゆらゆら動くコードで終わる。
Cm/B♭ |Cm/A :|


ユーミンにとっての和声的な響きがその歌詞に合っているか、または合っていずとも歌詞の表現しようとしている色彩に効果的な色彩を加えているか、を頭で理解しているのか、ただ感じたままの結果なのか分からないが、和声が歌詞の意味とあいまって構成されている好例であろう。

 

===

"白夜の荒野です"

これを死の否定と捉えるとか、絶望と捉えるとか、次の「水の影」が答えだ、とかいろいろ言う人がいるでしょうが、そういうことはどうでもいいんです。

その音楽が聴こえてきたとき、それを聞いてあなたの頭の中にストーリーや映像が見えれば、それが音楽ですし、それ以上に成り得ることはありません。

ユーミンミュージックのストーリーに感応してしまうのは、歌詞と、歌い方と、和音とアレンジがその雰囲気を聴き手がいかようにも解釈できる自然さで統一されているからです。癖がなく(俺のこの音を聞け的な)、奇抜な音がなく(和音の奇抜さはストーリー上必要だから、これは奇抜とは言わない)、必要十分なサウンドでまとめられているバランスが真似できない、わけです。

 

メディア文化が進化してしまい、「音楽へのこだわり」が肥大し、こだわりのゴールがもはや見えません。プロツールズが出る前は、ゴールがあったんです。

だから現代は納期の中でこなせる仕事を通じ、あなた自身の生活や人生を良いものにするために作り手も演奏者も、エンジニアも楽しみ方を再発見しなければなりません。苦しみも努力も楽しんでしまった人が生き残れる社会になりました。

 

音楽に命を懸ける、スポーツに命を懸ける、伝統に命を懸ける、ということが苦しみにならないところは自分にとってどこなのか、を見つけた人がこの国で健康で健全に人生を楽しめるのかな、という気がします。

 

仲間とみんなで協力して良い人生にしていこう!って励ましあうのはとても大切です笑。

 

 

時のないホテル 

 

 

AD