音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

アラン・ホールズワースのポジションチャート自作(ソロ編2)★★★★

その1はこちら。

www.terrax.site

アラン・ホールズワース神の伝説のREHビデオ~スケールチャートを自分で作ってみました。

ちなみにこれらのモードを実際どんなコードでどういう風に使うか、ていう一番肝心なことをビデオでは触れていません(爆笑)。そこで先ほどのページのような結論になります。このチャートは覚えるだけ覚えて、あとは感覚なんだ、と。

だって最初のscale1とチェレプニン9音スケールを覚えたら、あとは指ずらすだけなので、いちいちこれらのスケールを"頭のなかで切り替えて"弾く必要がこの時点ではもはや必要ない、からです。リック、とかの紹介も"ヤンギ"ではもともと嫌いっぽかったし。ですので当時謎だったスケールチャートの読み方、理解の仕方だけ書いておこうと思います。これを使って彼はソロを取ってる、とか思わないように(笑)。

VHSだよ!!注意(笑)

 

 

Scale1 Cmajor D minor G7=Dドリアン、Cメジャースケール

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CM7(6,9)

Dm7(9,11,13)

G7(9,11,13)

前ページでも書いた通り、これらを即興的に展開できるスキルを長年かけて身につける必要があります。

Scale1はCメジャースケールのポジションチャートです。ギター弾きで各種セッションギターをバリバリこなしたい、という人はこれを12キー覚えられるなら覚えてください。

バンドギタリストの人はそこまで必要ではありません。バンドの曲がカッコ良く弾ければよいです。

とりあえずこのハ長調のチャートを頭に入れてしまえばあとは左右に移動するだけなので簡単です。

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これは例えば一弦3音でのモードのポジションフォームの覚え方です。

(0-12、12-24フレットは同じ位置です。見やすくするため上記はエオリアン、ロクリアンをハイポジションで表記してます)

ギターではこのポジションの「型」がモードのフォルムそのものになります。

この「形」をモードと関連付けて共感覚的に覚えてください。

当然ルートの位置がどこかも同時に把握しないとモードの活用は遅くなるのでしょう。四の五の言わずに数か月かけて覚えてしまう方が放置しておいて活用できないより簡単です。覚えることだけは力業です。

 

ただし、覚えても、このチャートを丸まま使ったのでは意味がありません。

体得したあとは、「モードポジションを考えずとも弾ける」ようになるまでひたすら現場をこなしていくことで、「感覚的にモードポジションから外れたり戻ったりできる」ようになります。これがホールズワースのアウトの原理原則です。指にポジションが体得されているのでインとアウトが自在にできるわけです。

 

このチャートで

Cアイオニアン

Dドリアン

Eフリジアン

Fリディアン

Gミクソリディアン

Aエオリアン

Bロクリアン・・・モードが弾けます。まあ、、当たり前です。

CM7(6,9)、Dm7(9,11,13)、G7(9,11,13)

はこのモード上で必要なテンションを表記しています。

その他もちろん、Em7(11)、FM7(9,#11,13)、Am7(9,11)、Bm7(b5,11,b13)も該当します。これ以外ビデオでもたいした説明がありません。ただこのポジションを広く活用して、スキッピング、ストレッチを駆使して変態的なソロを作る譜例などは紹介されていましたね。それも一つだけ。とにかく、この黒丸がフレット上で浮き出るぐらいになるまで覚えることです。

ホールズワースは普段は練習せず、ツアーやレコーディングが始まると、いそいそと練習を始める、というウソのような話を別のインタビューで読んだことがありますが、それは晩年で、さすがに若いころはひたすら弾きまくっていたんじゃないかな、、と思います。

 

Scale2  Dminor(maj7)=Dメロディックマイナースケール

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Dm6(M7)

A7(9,11,#5)

G7(9,#11)

C#7(b9,#9,b5,#5)

同様にこれはDのメロディックマイナーのポジションです。なんでDがルートかというと、上の四つの活用コードはCメジャーの時のIIm6,VI7,V7,IIb7でセカンダリー系のコードになります。Cメジャーのキーでよく出てくるコードに対応させてチャートなんです。それをcの位置を下記のように1つずらすだけでこのチャートが出来ます。

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これだけでいきなり活用できるコードが広がるし、覚え方も簡単だし、便利です。

その代り、スピードプレイでは運指が変化するので運指の練習だけは欠かせないですね。

ギタリストは、このように一つ動かすだけで、増やすだけで活用できる利便性を追求するなどして、効率よく学習をし、後は練習に費やす!生き物だと思います。

 

Scale3 A minor(maj7,b6) =Aハーモニックマイナースケール

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Am9(M7)

E7(b9,b13)

そしてハーモニックマイナースケールのスケールチャート表です。これはホールズワース氏が書いているように例えばキーAmにおける、AmM7系のトニックコード、または、V7(b9,b13)系のドミナントにおけるオルタードな解決感を作り出すいわゆるハーモニックマイナーパーフェクトフィフスビロウスケールまたの名をフリジアンM3、フリジアン#2、フリジアンドミナントスケールなどと呼ばれるものです。

普通のナチュラルマイナーは最初のチャートscale1を使えばいいだけなので。

 

これはscale1の7度を右に動かせばこの形が出ます。

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とにかくメジャースケールだけでも完全に叩き込んであれば、その後、

「ここがルートでここが9thだな」

とかサクッと入ってきます。そしてコーダルなソロがとれるようになるのも早いです。

そしてそのあとひたすらセッションしないと、まるで音楽的にソロが弾けないことでしょう。やっぱり5-10年ぐらいかかってしまうと思うのです。

   

Scale4  Aminor(M7,#11)=Eハーモニックメジャースケール

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Am9(M7)

EM9(9,#11,13)

B7(b9,13)

ハーモニックメジャースケールはジャズのスケールというより、クラシックの和音解釈がスケール化されたものです。リディアン・クロマチック・コンセプトでも「リディアンディミニッシュ」として出てくるスケールです。

これはハーモニックマイナースケールのように増二度の跳躍を含むスケールです。慣れないとごっちゃになるので、、先に有用性が高いハーモニックマイナースケールを十分に覚えさせてからこちらに取り組むといいでしょう。

これはscale1の6度を半音下げた形で覚えます。

 

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Scale5  G#(Ab)diminished

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そしてディミニッシュスケールです。この形は二種類しかありません。

半音全音のセットで考えるコンビネーション・オブ・ディミニッシュ(コンディミ)と、全音半音で考えるファンクショナルディミニッシュです。呼び名はいろいろあります。前者をハーフホールディミニッシュ、後者をホールハーフディミニッシュと呼んだりします。

(half-whole...)

コンディミはI,III,V,VIIbを持つのでV7(b9,#9,#11,13)的なコードスケールとして使われます。またファンクショナルの方は、二つのダイアトニックコードを接続する際に、パッシングディミニッシュとなり、、アウトしながら繋げていくことができます。

 

 

 Scale6  Bb Jazz Major(#5)

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BbM7(#5)

D/Bb

F7(b9)

そしてここからがホールズワースらしいコードスケールのチャートになります。

このジャズメジャースケールと題されたスケールは、メジャースケールとハーモニックメジャースケールが混ざっています。これを覚えてしまえば楽です。#5はパッシングトーンとしても活用できるので、、通例M7コードでもM7(#5)コードでもどちらでも使えます。またV7(b9)でも使えるスケールとなっています。ただしこのスケール自体は9thも持っているので、メジャー系の曲で用いると違和感は最小限になります。

 

Scale7  C Jazz Dominant(addM7)

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考え方は同じです。これはミクソリディアンにM7がくっついたスケールポジションです。

通利のメジャースケールの状態では、m7はM6-M7の間をつなぐ音として機能します。パッシングノートとして使います。ミクソリディアンで考えると、m3rdがパッシングノートとして入ってきます。

addM7となっていますのでたとえば、

IM7-I7-IVM7

等の時に一気にこれで弾き倒すことができます。

 なおこの際にでもM7とm7の位置関係を良く把握していないとコントロールできません。

   

Scale8  B Jazz Minor(addm7)

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同様にこれはドリアンにM7を付けたスケールとも言えますし、メロディックマイナーにm7を付けた音階とも言えます。上のチャートでいうと、

Bドリアン+M7

または

Bメロディックマイナー+m7です。

マイナースケールとして使いやすいのはドリアンですから、ドリアンにパッシングノートとしてM7を付けたポジションと覚えればいいでしょう。

 大したことないではないか、と思われるかもしれませんが、ドリアンにM7を加えるだけで、絶妙にアウトし、スリリングなスケール展開となります。この微細な差が演奏に

「いかにもなドリアン」感

「いかにもなメロディックマイナー」感

を失わせ、サウンドがポジショニングによって独自性を増します。

半音が連続する、というホールズワースの独自のスケール論が、もし本当にサウンドを生んでいるなら、まさにバークリーメソッド的な「半音が連続しないこと」というスケール論理を超越してくるわけで、ますます不定調性的な「独自性をしっかり育成する事」に注力する事で生まれる本来求めるべきだった個性の発見に近づきます。

 

以下のスケールも全て作りましたので列挙しておきます。

Scale9  A Jazz Minor (add♭6)

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Scale10  Symmetrical

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C,Cm

E,Em

G,Gm

Ab,Abm

シンメトリカルスケール。『近代和声学』『ブルーノートと調性』では、チェレプニンの9音音階などと呼んでいましたね。近東地方の音楽が五つの五音音階に整理できることからペンタトニックスケール音を転回してすべて組み合わせてこのスケールを作ったそうです。

チェレプニンスケール構造の詳細は下記より(アマゾンに飛びます)。

近代和声学

ブルーノートと調性 インプロヴィゼーションと作曲のための基礎理論(CD付) 

 

 

Scale11  Cb Jazz Minor(add#11)

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Scale12  C Jazz Dominant(addm3 & M7)

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Scale13  C Jazz Major(add m3 & m6)

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Scale14  C Dominant(#9)

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Scale15  The Whole Tone Scale

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とにかく特徴的なのは、「半音を連続しない」というジャズ理論のセオリーを違えてチャートを作っている事です。

この考え方はスピードプレイを行うホールズワース神だからこそ、発想と言っていいでしょう。ただしホールズワースはII-V-Iなど用いないのでこうした発想が通例のスタンダードジャズの演奏において齟齬が出ない、というだけです。

   

この考え方を一般スケール論にすると、

たとえば、Dm7-G7(b9)という進行があった時、

Dm7=Dドリアン=Dm7(9,11,13)

G7(b9)=GフリジアンM3=G7(b9,11,b13)

ですが、この二つのコードを一つのスケールで弾こうと思うと、この二つのモードをガチさせて弾けるような一つのモードを作ってしまえばいいわけです。

 

Dドリアン=d,e,f,g,a,b,c

GフリジアンM3=g,a♭,b,c,d,e♭,f

です。

これを全部キーの元であるcを中心に並べてみましょう。

c,d,e♭,e,f,g,a,a♭,b,

となります。

 

これでたとえば、Dm7、G7で可能な限り共通して弾きたくない音を決めます。

私なら、aです。

 

※Dm7のとき、e♭はd音の半音上だから弾けないのではないか?

→もしこのDm7がII-Vを組んでIに解決するなら、これはドミナントモーションのときであるから、このII-Vの空間は完全にドミナント化するので、多少の浮遊感やアウト感はあってもいい。a♭は五度音aの半音下なのでOKとする。これは同様にG7の時のcにも該当する・・・適切な個人の判断にゆだねる。

 

これを考えて再度スケールを構成すると

c,d,e♭,e,f,g,a♭,b,

こうなります。

これをチャートにしてみましょう。

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こんなモードになります。

 

これを新たに覚えてしまって、Dm7-G7でひたすら速いパッセージを弾けば、

IIm7(9,11,13)-V7(b9,11,b13,13)

的なナチュラルテンションの進行は網羅できます。いちいちIIm7-V7で煩わしいコーダルチェンジをしなくて済む。というわけです。

 

ここであなたは迷うかもしれません。

 

えー。。新しいスケールおぼえて、変なソロ採れるようになるのはありがたいけど、なんか一般性からかけ離れそうだなぁ…。

 

そうなんです。ホールズワース神は、そこ(一般性)に見切りをつけ、自分の音楽に邁進したんです。ビートルズほど売れなかったかも、ですがビートルズと並ぶ神になったと私は思います。

 

独自性に走る、というのはとても勇気が要ります。個性個性って軽々しく言うな。

その個性のためだけに極めなければならない要素が沢山あって、汎用性からどんどん遠ざかります。やらなくちゃいけないことが凄すぎて個性に走れない、というのが本当のところです。

一般の人がどのくらい個性の確立のために考えるかっていう最もチープな例が不定調性論だ、と言ってもいいです。それでもやっぱり20年以上かけて自分に迫っていく覚悟です。少なくとも人生は棒に振るのは基本、としてもらって。

 

もし「普通に売れたい」とあなたが思っているのなら、普通のやり方をやってください。その方がきっと友達多いし、収入多いし、家族に恵まれるし、社会的地位が得られます。個性とはそれらを放棄する藻であると思います。一握りの天才だけが全てを手にするのでしょう。

 

だからM-Bankでもいかに一般性を保ちながら、個性を増進させるかについて、本当にご本人と二人三脚で考えていきます。どうしてもある程度の個性がないとこの世界はやっていけませんからね。

 

<参考>
■REH VIDEO Allan Holdsworth Booklet

Allan Holdsworth [VHS]


アイドロン~アラン・ホールズワース・コレクション