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音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

9.参考文献抜粋資料10 (ユーミンレポート公開シリーズ)33

日本人の心の情景を変えたシンガーソングライター(改訂版)―研究レポート;ユーミン楽曲の和声分析と音楽的クオリアが紡ぐ作曲の手法―

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9.参考文献抜粋資料10

 

 

文献12松任谷由実;才輝礼賛-38のyumiyoriな話 (中央公論新社,2011)  

p.26

吉永(小百合)...ユーミンはどうですか。ずっと続けていらして。

松任谷...折々で冒険してるんですよ。ずっとそのままのように思われていますが。「変わり続けるから、変わらずにいられる」というニール・ヤングの言葉が好き。

 

p.28

松任谷...数年前に、茂木健一郎さんに「クオリア」という言葉を教えてもらったんです。夕焼けを見て泣いたり、何かの匂いである感情になるのは、そこを刺激されてるからだとか。で、それをやりたくて音楽やってたんだなと改めて気づいて。歌詞で具体的にどうこう言ってるんじゃなく、それを聴いたときに歌とメロディとサウンドとがあわさって、湿度を感じたり風の匂いがしてくるようなのが気持ちいいなと。

(市川)海老蔵...お若い時はそれを意識してたんですか。

松任谷...してなかったんです。今、結婚前に荒井由美という名前だった頃のものとか聴いて、一体何だろう、と思います。イントロが流れただけで午後の煙った海が見えたりとか、まだ冷たい春先の雨の匂いがしたりとか、歌、下手なのに(笑)。

 

p.47(提供曲の作曲について)

松任谷...(前略)やっぱりその「誰か」の歌が一番魅力的に聞こえるようなレンジ、音の高さとかがあるし。転調しちゃえばいいってものでもないんですよね。キーっていうのは大事だから。そのキーが持っている色というのがあって、ピアノでいうとフラット系の黒鍵を多用するようなキーだと濡れた感じはがするとか、ハ長調、Cのキーだとやっぱりスカーンと能天気な、陰影とかがないような感じもするし。だから、それを短三度ずらしてBフラット※にしたら違う曲になるわけなんですよ。たとえば昔、原田知世さんに『時をかける少女』を書いたんですけど、一オクターブでおさまってるんですよ、あれ。(中略)十四歳の少女が、レンジの狭いところで、変化があるように歌ったら魅力的だろうなと思ったりして。(中略)奇跡の曲なんです。

※本レポート注;Cから短三度でEフラット(メジャーキー)の記事の聴きとり間違いか?

 

p.54

石田(衣良)...曲の着想を得る時に、最初はどこから入ります?

松任谷...ワンフレーズ、ワンモチーフ、メロディ。メロディですね。

石田...それを上手く捕まえた時には、もう出来たって感じがするんですか?

松任谷...ううん。その段階はね、ただ楽しい。昆虫採集のように、幻の何かを捕まえてるような。追いかけていくとそこで化学反応が起きるんですよ。大変なのは詩の段階。本当は言葉に置き換えられないのに、言語化しなくちゃならない。(中略)「脳内女優」とか「脳内俳優」とか言ってるんですけど。人は誰も見てないんだけれど、自分の中で劇場がクルクル回りだす。

 

p.62

松任谷...それと、自分でも思うんだけれど、詩っていろんな作業の中で、一番きついんですよね。音だけやってるぶんにはすごく感覚的で、入り込めばもう自由で楽しいんだけど、ロジックと右脳の感覚のところを言語化して通訳しなくちゃいけないのがすごいきつくて。桜井さん(ミスチルの※)もよくやってるなと言ったら変だけど。

※は 本レポート追加。

小林(武史)...僕も桜井も、荒井由美の頃からの長い歴史の影響を当然受けてるから、ああいう水彩画みたいだったりする視覚的な曲を作るのは、やっぱり苦労してます。

 

p.68

松任谷...(前略)私があまり言うと、小姑っぽくなるんですけど、最近の曲の中には、本当にただ日記を羅列しているだけのようなものが多いと感じます。そういうのに活をいれなければならないかな、と少しは思っています。ポップスでも、もっと文学性が必要なんじゃないかと。

石原(慎太郎)...(前略)あなたは、詞が先ですか?作曲が先ですか?

松任谷...曲が先です。曲を書く段階で、映像は見えているんですが、みんなが分かる言葉に翻訳しなければならないので、そこに苦しみます。曲はある意味、遊びで作っていられますが、詩になると、ものすごく悩んでしまいますよ。

石原...曲のヒントはどうやって得るんだろう。

松任谷...いまだに、たくさんの音楽を聞きます。外国のものでも、クラシックでも民族音楽でも。(後略)

石原...(前略)新しい作品はどのようにインスパイヤされて出てくるんだろうな。

松任谷...「新しい過去を手に入れる」と表現しているんですが、一度フォーマットして手を染めたかに思えても、自分で新しいと感じられたらOKだと思うんですよね。

石原...(前略)あなたの曲はやっぱりご主人がアレンジしたりするんですか?

松任谷...ええ、ほとんど。

石原...亭主にアレンジしてもらって、曲が良くなったって感じする?

松任谷...というよりも、「ユーミン」というユニットになっているので。私が前に出る役で、二人で一緒に世界観を作ってます。ステージもビジュアルのプランも。

 

p.101

松任谷...そのファンタジー、ノスタルジーをあるとこから意識的に、これは自分にしかできない、誰もやる人がいないっていう自覚のもとにやってきたんです。ずっとファンタジーをやり続けられる力を持つというのが夢なんですよ。

 

p.144

寺島(しのぶ)...ユーミンさんにお聞きしたかったんですけど......、どうやったらユーミンさんのように、長い間、時代に沿って、かつトップでいられるんでしょうか。

松任谷...ラッキーだったんですよ。日本のポップスの黎明期で、インフラから作らなくちゃ活動の場がなかったから。基本の土木工事をしたことで、そんな風にみてもらえるのかもしれませんね。

 

p.164

松任谷...自分の話で恐縮なんですけど、中学の時に、それ自体がパイプオルガンみたいな教会で、『トッカータとフーガ  ニ短調』を聴いて。それが建物全体にガーッと来た時、ぶわーっと涙でて。(中略)それからね、声が、パイプオルガンみたいになっちゃったの。元から変わってたのかも知れないけど、私は絶対そのせいだと思ってるんです。声帯まで全部影響受けちゃったというか。それぐらいの衝撃で。(後略)

 

p.172

辻井(信行)...詞と曲の関係がすごくいい。どういう時にこんな曲が浮かぶのかなって。

松任谷...うまくいってる時は、できる順序は関係なく、出来上がったものが一つの温度とか映像とか世界になってるのかなあ。(後略)

辻井...(前略)ユーミンさんはどういうことをイメージして曲を作ってるんですか。

松任谷...私、母親がすごく不良でして。小学生の頃、六本木に飲みに行くお供に連れてってくれたんです。夜中に外に出たら、首都高速道路の下のたまった霧の中に東京タワーが見えたんですよ。都会的な曲を作ってると、その時嗅いだ霧の匂いが浮かんでくることがありますね。

辻井...ピアノを弾いたりして作るんですか。

松任谷...まずは鼻歌ですね。最近は小さいレコーダーをバッグの中に持ってて、ちょっと浮かんだ時にコソコソっと陰に隠れて歌って、「ここはAマイナー」とか注釈を入れておいたり。(後略)

松任谷...(前略)ああ、ショパンは好きです。すごく。クラシックの影響はすごくあったと思いますね。ヨーロッパのクラシックのいいとこ取りなんですよね、ロックやポップは。

 

p.210 

松任谷...言葉の大切さも感じていらっしゃるとか。

岡田(武史)...言葉は、本当に言霊ですよ。(中略)何回も何回も問いかけると、言葉の力がパワーアップして広がっていくんです。本気で向かい合った時の言葉は心を動かします。

松任谷...日本語ってそうらしいです。あと、痛みや苦しみは、言語化できると楽になりますよね。雨の日は憂鬱だけど、一度として同じ雨はない。そういうにおいを、直接雨という言葉を出さなくても詞や音楽で表したいと考えていると、どんな雨の日も美しい。

岡田...

ああ、素晴らしいな。人生の秘訣かもしれない。(後略)

 

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