2017.12.16-2019.10.17更新
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ビートルズの不定調性コード進行研究
カム・トゥゲザー- Come Together
このアルバムではついにオリジナリティがファンを置いてきぼりにするレベルです。
この曲もポールによれば、古いロックンロールのパターン、サウンド、慣習から何かを新しくしたい、という思いで生まれた作品とされいてます。
また、下記はこの曲の着想となった曲とされています。
Chuck Berry - You Can't Catch Me (1957)
確かに、これ、ゆっくりにしてダークにするとcome togetherですね。わお!!って感じします。(参考)カム・トゥゲザー - Wikipedia
D7(#9) |% |% |% |
A7 |A7 |G7 |G7 |
D7(#9) |% |% |% |
D7(#9) |% |% |% |
A7 |A7 |G7 |G7 |
Bm A7 |G7 A7 |~
歌い出しからです。
ビートルコードがふんだんに使われ、きわめつけはD7(#9)というジャズロックサウンド、もはやプログレです。
私はこの曲に昔から「暗闇の中から聞こえてくる声みたいで、怪しいサウンド、意味不明な歌詞、の世界観」と感じてきました。「黒」のイメージです。
でも皆さんクールにこの曲をアレンジしてるので、面白いです。
さすがマーカスのサウンド。こういうのはライブで盛り上がるんでしょうね。
7thコードしかないのに、どこか陰鬱とした雰囲気は、あのベースラインのリフにあるのだ、と思っています。
最初に述べた通り基本はD7,A7,G7のブルース/ロックです。ただブルースの感じを巧みに消し去っています。
(不定調性;これも「Hey bulldog」と同じ、四度領域のサウンドだからですね。7thコードを「五度領域+四度領域のサウンド」とすることで、違う世界が見えてきます。詳しくはこちら。)
一般には、こうした、ブルース形式ではない7thコードを「ブルージー7th」などと呼んでいます。
C7
という図柄を見ても不定調性論的思考を知ったなら、
「あ、セブンスコードだ」
「あ、ブルースっぽいのかな」
「どうせブルージーなんだろう」
と思い込まないで済みます。聞いて見るまでどう響くかはわからない。
ビートルズは7thコードのサウンドが持つその時々の魅力を常に発見して使っており、7thコードが、ブルージーでもあり、能天気なロックンロールでもあり、無表情だったり、無味無臭なプラスチックのようでもあり、人を急かすようにとがったり、エネルギッシュなロックそのものになったりする、ということを体で知り、楽曲制作に活かしていたように感じます。
ではちょっと簡単に領域混合和音(四和音のこと)によるコード進行を作ってみましょう。
例;
C7 |D7 |F7 |G7 |
Ab7 |Bb7 |Eb7 |Db7 |
音源はこちら
https://rechord.cc/HBPVK93cSqQ
なんだ、ただの7thの連鎖じゃん、と思うでしょう?
できるなら従来の方法でコードアナライズしてみてください。まどろっこしくなると思います。分析しているうちに思考の質が曇ります。
不定調性論はその「分析解釈時間」を用意しないで済む思考方法に特化しています。
感じたら即具現化、です。
細かいことは全部仕上がってから考える、的に。
仮のメロディもつけてみましょう。
Cミクソリディアンが使われています。
Xm7(b5)やXmM7やXdim7なども同様です。Xm7(b5)で今のメロディをアレンジしてみましょう。
Cm7(b5) |Dm7(b5) |Fm7(b5) |Gm7(b5) |
Abm7(b5) |Bbm7(b5) |Ebm7(b5) |Dbm7(b5) |
m7(b5)は基音の下方7倍音までにできる音集合です。これを機能和声と関連づけるからおかしくなるんです。
これも音楽だ、と思える人は、不定調性的な感覚をお持ちです。
こんなことは許せない、とお思いの方は、許せる範囲の中で音楽をやるしかありません。
この曲では「さあ一緒にヤろうぜ」と言っています。悪巧みを一緒にやろう、という感じです。「自分らしく勝手に生きようぜ」です。
come together.