音楽教室運営奮闘記

不定調性論からの展開紀行~音楽と教育と経営と健康と

IVsus4、マイナーコードの連鎖~不定調性進行感が増したアルバム;スティービー・ワンダーレポート10-2

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事例41Pearl (CDタイム 0:16-) 

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Aメロ

Dm7 |G7 C/G G7 |Dm7 |G7 C/G G7 |

Dm7 |G7 C/G G7 |Dm7 |G7 C/G G7 |

Bメロ

B♭ |B♭ |G  |G  |

B♭ |B♭ |

Dm  |G7 |Dm  |G7 |

=degree=

Key=Ddorian

 Aメロ

Im7 |IV7 VII♭/IV IV7 |×4

Bメロ key=Dm+Ddorian

VI♭ |VI♭ |IV  |IV  |

VI♭ |VI♭ |

Im  |IV7 |Im  |IV7 |

Richard Morrisの作品。

ドリアンのIV7を用いて、VII♭/IVという和音感を添えています。

またBメロでは短三度のメジャーコード移動による展開が変化を出しています。

 

B♭への移行は、VIへの進行感ですし、短三度のGへの移行は、平行短調への長調変化の進行感の活用と言えます。こうした機能和声の「進行感」が理解ができたら、その進行感を随時用いて作曲の際に音楽的脈絡を構築するトレーニングをすると良いです。

 

またたとえば、C△ |A△ |といった和音をDTMなどで3分ぶんほど打ち込み、それに合わせて歌ってみたり、楽器等でメロディを即興的に作り遊んでみる、というのも一つの方法です。機能和声感以外の音楽性を自分の中に根付かせる方法です。

 

事例42Somebody Knows,Somebody Cares (CDタイム 0:49-)

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Aメロ

A♭7  A♭7(m7→13) |~

Bメロ

Cm  CmM7 |Cm7 Cm6 |B♭m7  E♭ |〜

主和音はA♭7で、最初の1分は1コード的にリフレインがされ13thのテンションが添えられるだけのパターン。

変化するBメロではIIImのクリシェ。スティービーもクレジット。

 

 

事例43Angie Girl (CDタイム 0:06-)

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Aメロ

G   |G/B  |Cm6  |Cm6  |C  |C/D  |G  |×2

Bメロ

F#m7 |FM7 |G  |G  |

F#m7 |FM7 |GM7  |D7  D#7   |半音上のキーへ

=degree=

Aメロ Key=G

I   |I /III  |IVm6  |IVm6  |IV  |IV/V  |I  |×2

Bメロ

VIIm7 |VII♭M7 |IM7  |IM7  |

VIIm7 |VII♭M7 |IM7  |V7  V#7   |半音上のキーへ

冒頭のIVm6のキラキラとしたイメージはインスピレーションを与えませんか?

IVmには6thを加えると急にキラキラした印象、又は尖ったようになります(私の印象)。

これはIVmのm3rdとM6thが増四度、トライトーンの関係になり、不協和度が添えられるからです。

またこの曲では逆サブドミナントマイナー進行があるCm6-Cが用いられています。

この作品はスティービーもクレジット。

 

BメロにおけるVIIm7→VII♭M7→IM7なども進行感を用いた好例。

これはGM7からF#m7に下降した感じは、IVM7→IIIm7の進行感、そこからVII♭M7に下降する感じは、IIm7-II♭M7-IM7の変化感の活用と考えることが出来ます。

 

たとえば、Dm7-D♭M7では、Dm7のd,aが半音下降するとD♭M7になり、その声部進行が綺麗です。

 

事例44I've Got You (CDタイム0:17-) 

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イントロ

CM7 |CM7 |CM7 |CM7  |

Aメロ

D  DM7 |D7  |G  |CM7  |

D  DM7 |D7  |G  |CM7  |

Bメロ

F  Fm |G C C/B |Am |Em7 |Em7 |G7 |G7 |

CM7 |CM7 |CM7 |CM7 |

=degree=

Aメロ Key=D

I  IM7 |I7  |IV  |VII♭M7  |

I  IM7 |I7  |IV  |VII♭M7  |

Bメロ

key=C

IV  IVm |V I I/VII |VIm |IIIm7 |IIIm7 |V7 |V7 |

IM7  |IM7  |IM7  |IM7 |

スティービーが作曲者にクレジット。

これまでの作品に見られないような転調パターンが作られています。

イントロでCが中心になるイメージを与えた後、II度調ともいえるDをセンターにしてクリシェを用い、すぐにCのキーのIV-IVmのサブドミナント感を活用してCのキーに循環してきます。

 

 

例)

CM7  |Dm7  |Em EmM7 |Em7  A7 |

D DM7 |D7  |G  GM7 |G7 Gm7 |

DM7 |D♭7 :|

というように進行感の流れに脈絡(自分が感じる範囲で良い)があれば、音楽的連鎖は出来てしまうので、あとはこの流れに沿うメロディ、歌詞を作るだけです。

 

私自身は少なくとも上記の例だと、単純に進行感がてんこ盛りで連鎖されているだけで、特徴的なメッセージを受け取ることが出来なかったので、下記のように変更をしちゃうかも。

例)

CM7  |Dm7  |Em EmM7 |Em7(♭5)  |

Dm7 |G7 |BM7 |DM7 |

FM7  |A♭M7:|

これは好みであるし、また今の自分だからこうした、という事に過ぎません。

これであれば私はこの流れに海岸の涼しい雰囲気と風を思い浮かべることが出来たので、これによってメロディと歌詞も書ける気がする―。

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