音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

Super-Ultra-Hyper-Mega-Meta Lydianから階層的音表現の探求雑話★★★★

これもジェイコブさんの動画からの展開です。

www.youtube.com

 

 

 ======

動画の最初で述べられる「スーパーなんちゃらリディアン」はホールトーンスケールの前半分が半音で接合され続けた音階です。

f:id:terraxart:20181204143032p:plain

c-d-e-f#までは全音、それから半音一つ挟み同型を接合していきます。

g-a-b-c#となりcに解決せず、どんどん五度圏をめぐるように上昇していきます。

 

=======

c-d-e-f#-g-a-b-c#-d-e-f#-g#-a-b-c#-d#-e-f#-g#-a#-b-c#-d#-f-f#-g#-a#-c...

Clydian(の前半)-Glydian-Dlydian-Alydian-Elydian....です。

=======

以上です。。。

 

動画でもこの存在が作る雰囲気だけを述べて終わっていますが、こういう話を聴くと、現代の音楽的構造がいかに片寄ったひと種類の方法論に価値を置いているのかが見えてきます。悪いことではないですが、学習期にいる学生さんだけでも広く価値観を肥大させたうえで商業音楽に戻って頂きたいです。

 

いろんな解釈ができるでしょうが、数学的な美しさをどのように実際の音楽で使うか、ですが、縦の世界で転調(転モード)が起きる、という発想が一番シンプルでしょう。

 

ここからはあなた自身の価値観により展開出来るかどうかを追っていってください。

 

Q1.楽曲が途中で転調することを許す Yes or No?

楽曲が文字通り単調にならないように、曲の調を変えることでダイナミックさを作ることをあなたは許せますか?

まあ、現代人でこれを拒否する人はほぼいないでしょう。

 

(図1)

f:id:terraxart:20181202102224p:plain

 

Q2.ではこれが水平ではなく、垂直的転調をしたらどうでしょう?そんな楽曲許せますか?Yes or No?

下記のように音域で調が変わる、というような楽曲構造で、あなたが良いと思える曲ができることをイメージできますか?

(図2)

f:id:terraxart:20181202102954p:plain

こうした意図的変調といえる技術に、シンセの「キートラッキング機能」があります。

様々なエフェクトやフィルターをかけた時、音域によって聴こえ方や音量に変な癖がつかないように、どの音域でもある程度滑らかに変化して聴こえるようにオートマチックに倍音を変化させて出音をくっきりさせる技術です。素晴らしい発想です。

もしあなたが

「僕は低い方がメジャーで、高くなるとマイナーにしたいんだ。だって低い音は暗いだろう?そのままマイナーだとどんよりしすぎるんだ、で高いと今度はキンキンとしてメジャーだとひどく明るすぎるんだ」

という人がいたら、あなたはそうすべきです。このスーパーなんちゃらリディアンは、拡大解釈すればそういうことをしてみたらどうか?という提案にもなるわけです。

 

スーパーなんちゃらリディアンは、音域が上がることによってリディアンモードのアクシス(軸音)が変わっていきます。いわゆるモーダルインターチェンジしていくわけです。ここでは軸音変換という種類の変化です。

www.terrax.site

これはちょうど(図2)で示したように音域ごとに音階が変わる楽曲構造になる、ということが分かります。ただあまりに細かく変わり過ぎるような構造にすると音楽的理解をするのは大変ですから、下記のような使い方への展開から入っていくのが良いかな、と思います。

f:id:terraxart:20181202124548p:plain

これはリディアンではなく、さらに発想をミクソリディアンに展開してG7の不定調性論的拡張性を利用して、シークエンスで四度移動させた形になって、最後つじつまを合わせてDbから主音cに戻ります。コードでいうと、

G7-C7-F7-Bb7-Eb7です。これは手癖で覚えていないと即興では難しいものです。しかし楽曲を制作する上で活用する事は出来ます。

スーパーなんちゃらリディアンは、この手の縦の展開を可能にする象徴的な素材であり、一般理論ぽくはないですが、ジャズではすでに用いられている古い思想を象徴化した存在である、と言えます。ジェイコブ氏は「音階と言えるかどうか…」と言っていますね。

そもそも「音階」ってだいたいなんだよ、って感じになちゃうのですが、この人は優しい先生です。

 

===== 

そもそも1オクターブで音階が収束するというのはあくまで基本的な常識に過ぎません。

 

Q3.CM7でGオルタードドミナントスケールを使っていいですか?Yes or No?

ジャズを考えてみましょう。

f:id:terraxart:20181202103750p:plain

この二小節は、Cアイオニアンで支配されていると言えます。

しかしジャズでは、

f:id:terraxart:20181202103951p:plain

このように発想してしまう脳の構造が出来上がっています。音楽性とかではなく、II-Vを拷問のように叩き込まれることで、CM7を見ると必然的にII-Vが頭に浮かんでしまうというPTSDが発症してしまうのです。

f:id:terraxart:20181202104227p:plain

時にこのようにモード解釈が 脳内では配置されます。正確にはモードが浮かぶのではなく、II-Vのフレージングの指ポジションがイメージになって浮かぶ、と言えばいいでしょうか。当然これは、

f:id:terraxart:20181202104439p:plain

みたいになってもOKです。

さらにコンテンポラリーなスタイルでどんどん展開していけば、

f:id:terraxart:20181202104600p:plain

が保たれていれば「ジャズ・フュージョン感」がでますので、

f:id:terraxart:20181202104636p:plain

のように、最初に半音上のC#アイオニアンから入って、次の小節でCアイオニアンに帰着しても「おぉぉx」というジャズ的感動はやってきます。

(そう、、、なんでもいいんです..悪魔の囁き)

 

つまりジャズにおけるトニックコードの本来のスケール観は、CM7を例にとると、

f:id:terraxart:20181202105112p:plain

というような旋律的展開か

f:id:terraxart:20181202105601p:plain

といったような、水平軸で変化する音階が一つの和音でセットになっているモーダルハーモニー音楽、ということもいえます。

一つの和音に一つの音階ではなかった、というわけです。でもこれは分かりきっている事です。なのになんでいまだにCM7ではCアイオニアンである、みたいなことを教えなければならないのか。いや、必要ですが、その先にすぐ入って頂きたいです。

CM7=アイオニアンというのは、1=一つの意、と述べているだけで、1をどう使うの??みたいな話に行かないといけないわけです。

 

そして、自然界はどうなっているか、というと、

f:id:terraxart:20181202110233p:plain

(出典;倍音 - Wikipedia

ですから、どんどん半音より細かくなり、高い音域にいけばいくほど「統一性」みたいなものは当然失われていくわけです。機能和声論も不定調性論もこれを無視して「どこどこまでを使う」と限定して方法論を創っています。

もちろんホールズワース神も2オクターブスケール、3オクターブスケールを用いる、と言っていた通り(出典;伝説のREH教則ビデオ)、音階を1オクターブに収めるというのは基本的発想の最初の一歩に過ぎません。

だからスーパーなんちゃらリディアンのような発想で「自動的転モード音階」があっても良いかと思いますし、自然界はそういう風に一つの"調"などに縛られていないのだから、調というルールを前提にし続けるのではなく、自分はどうしたいの??にどんどん趣向を凝らしていく必要があります。

現代音楽でもこうした価値観はすでに20世紀に用いられています。

  

もしこの技法を即興的に用いることができるとしたら、AIによる即興演奏ではないでしょうか。人間そのものがアナログな作業を嫌ってきているのに、これだけ増えた音階や方法論をどうやって適切に使い分けろ、というのでしょうか。

 

では、またちょうちょのメロディを使いましょう。

f:id:terraxart:20181202111741p:plain

これをスーパーなんちゃらリディアン的に二分音符でリディアンを展開してみましょう。

f:id:terraxart:20181202113125p:plain

このように振り分け、

f:id:terraxart:20181202115645p:plain

自動的にメロディをそれぞれのモードに合わせて移旋させます。

そして味付けにそれぞれ主和音を置いてみます。これはもちろん自在にヴォイシングして(各種のリディアンから離れても)構いません。

(また不定調性論では、このリディアンのフレーズを一部変えてもOKです。)

下記和音を添えます。分かりやすいように頭打ちです。

f:id:terraxart:20181202115629p:plain

音にしてみましょう。

五回聞くと慣れます笑。現代音楽ですから手間がかかるのは勘弁してください。

比べては恐縮ですが、ついアニメ映画「銀河鉄道の夜」サントラやいくつかのシーンを思い出してしまいました。

細野氏のあの心を掻きむしるエグイ音楽が忘れられません。

銀河鉄道の夜 [DVD] 

 こちらで音楽だけプレビューできます。

https://www.amazon.co.jp/%E9%8A%80%E6%B2%B3%E9%89%84%E9%81%93%E3%81%AE%E5%A4%9C-%E7%B4%B0%E9%87%8E%E6%99%B4%E8%87%A3/dp/B0000564DU

 

もちろん、アイドル曲のサビ前とかに使うべき色っぽい技にもできる、、、はず。

 

音階という存在が主音から始まり、主音に戻る道筋であるとしたら、こうした転調存在は、

主集合から始まり、主集合に戻る存在、と言えます。

人生もひょっとすると一つの細胞から始まり、様々な変質を繰り返し、また最後に一つの細胞に戻る道筋かもしれません。人類も含めて、宇宙も塵に始まり塵に終わるかもしれません笑。

 

宇宙には無限の組み合わせとパターンが存在して、それぞれがそれぞれの生を生きます。べつに「こうせねばならない」という法は宇宙にはどこにもありません。

そうならないようにしてもそうなってしまうのが唯一の「法」でしょう。

あなたはあなたが思うようにしか成れません?

 

===

今回の音階とは関係ないですが(先の動画ではこの名称の音階存在についてただ質問を受けているだけです)、ジェイコブ氏は、微分音を使ってボーカルハーモニーミュージックを究めつつあります。まさに独自の思考です。

www.youtube.com

個人が個人の脳で考えなければできない選択の音楽を彼は行っていると思います。

明らかに全てを取っ払って、自分の和声観と音楽構造を持っており、それがヒットチャートに順じているかいないかはまるで関係ない動きの姿がとてもクリエイティブです。日本で同じことをやっているのは、今は動画文化の中にいるキッズたちだけではないか、と思うくらいです。クリエイティブな変態はどこに隠れているのか・・。

 

天才だから、と言ってしまえばそれで終わりですが、このような人を育てる土壌はもっとあっても良いと思います。

=====

もしあなたが、このような方法論が面白いと感じたらそういう音楽を求めてもいいのだよ、という結論です。

 

今に流されず、あなたが何に感応し、何をしたいか、いかに食うかをクリエイティブに捉えていきましょう。

こんなキツイ状態、、好きなことでしか耐えられないから!

Super-Ultra-Hyper-Mega-Meta Zinsei。