音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

123."Nevermind" 2 / Nirvana★★★

2017-09-06→2019-8-26(更新)

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2曲目 "In Bloom"

パターン1
Bb G |F Ab |
パターン2
Bb Gb |Eb B A |
パターン3
Bb G |~C Eb |
これも長三和音にしても良いですが、三度を抜いたほうが正確に再現できるのではないでしょうか。

   

地平がグニャグニャと動くような感じ。

まるでパニック障害時に起きる足下の感覚です。

これも調的に考える事ができますが、そういう事よりも、指が動くままに出てくる印象の変化を何度も繰り返す事によって生まれてくる「心象」から音楽を感じたほうが少なくとも私はリアルな必然性のようなものを感じます。

 

不定調性論は、調や機能に優先して、演奏者が感じる「音と音との脈絡」を和声をつなげる動機、とできる方法論です。実例としてのニルヴァーナは有効です。

和声進行が持つ「退廃感」をカートが感じ、メロディを乗せた、のであれば、彼は『和声の流れの中に退廃感を出すコトができる』ことを発見した功績が、音楽理論のポピュラー文化の発展に寄与していますし、それにより商業的に成功を収めた、という点が歴史上の功績が大きいと思います。

 

パターン2のBb Gb |Eb B A |のB-A→Bbなんて云う流れは、ぐんにゃりと歪んでけだるそうな心の流れを反映しているようで、とても秀逸だと思います。機能和声をやったら普通は思いつきません。

Bbm7 GbM7 |Ebm7 BM7 Adim7 |
とすれば、これをもう少しお洒落にした心象表現になるでしょう。これはニルヴァーナのこの曲からインスパイアされた表現だ、といえば、この曲の進行が持つ心象の豊かさが分かるのではないでしょうか。

これは個人で感じて頂くしかないのですが。

 

全ての和声の流れには進行感があります。例えば、

1.半音+全音~
|C△ C#△|D#△ E△ |


2.全音+短三度~
|C△ D△|F△ G△ |


3.短三度+完全四度~
|C△ D#△|A#△ C#△ |  etc...

連鎖される和声の連鎖感を活用して、音楽的脈絡を作っていきます。

 

ここでも短三度の移動が「雰囲気」を出しています(と、私は感じます)。
これはリフに五度をのせただけの音楽と云えるかもしれませんが、この徹底ぶりがアルバム全体に不思議な統一性をもたらしています。退廃が地平線まで統一されると、それはもはや美です。

 

3曲目"Come as You Are"
パターン1
E |D |
パターン2
Esus4 |G |

三度を意識させないペンタトニックな旋律作りになっています。
パターン2でsus4がでていますが、これはsus4を作っている、というよりも、
E A |G |という感じでリフも分解できます。この記事シリーズの最後に出てくる「弱いパワーコード」です。
三度の響きを意図的に避けてる感じもします。

まるで三度音が退廃さを和らげようとする事実から逃げていくようです。

 

     


三度抜きコードは空虚で無表情な五度和音ではなく、コバーンによって、決死マニアックで歪んだ音楽性の持ち主しか理解できない響きではないことをその世界的成功によって証明しました。ロックがクラシック音楽理論を新たに乗り越えた一つの瞬間とも言えます。

 

4曲目"Breed"
パターン1
F#7のリフ
パターン2
D A |C B |
これだけです。。

リフものですから、これだけ見ても、この音楽性に「深み」を感じるのは最初は難しいかもしれません。この深みをカートは自分の死で証明してしまった、とでも云えば良いのでしょうか。

通常D→A→Cときたら次はGだろ、と思うじゃありませんか。このほうがキャッチーだし。

しかしあえてそこは不安定なBにおりる、というのがここまで述べてきた退廃さの表現であり、意識をカンナで削っていくような焦燥感になっていくわけです。

 

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ロックの「何でも良い」というのは、"本当に自分が感じたままをありのまま出せるか"、という命題が背景にあると思います。だから音や響き、言葉や社会に何も感じないのではロックはできないし、それが感じさえすれば旧来の音楽理論は必要ありません。ただしコバーンが作り上げた方法論はこの手の音楽には欠かせないフィールであることは町がありません。彼自身が方法論を体現していたわけです。

 

その3に続く

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