音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

124."Nevermind" 3 / Nirvana

その1はこちら

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5曲目"Lithium"
パターン1
D F# |B G |Bb/F C/G |A C |

パターン2
D F#/C# |B G |Bb/F C/G |A C |

パターン3
G A# |G A# |G A# |

   


短三度、長三度の移動が効果的に使われています。ちょっと表情を持っている曲です。何もする事無い、休日のどんよりとした曇り空のようなAメロです。歌い方に焦燥感が出ています。彼の和音の三度への印象を表現しているようで、寒々しく、何か裸の心の中をのぞくようです。

皆さんは、
C |E |という進行や、
C |Eb |という進行にどんな印象を感じますか?
「退廃」とか「生きるのめんどくさい」とか「まだ生きてるんかオレ」てきなイメージを感じますか?

 

もし感じたら是非曲にしてください。たとえそれがニルヴァーナとは全く違った音楽になっても、それこそカートが残した表現方法の大きな遺産の一つだと思います。つまりニルヴァーナはそうした表現方法ができるよ、と教えてくれてるんですね。

 

ここまで一貫して変な進行にこだわられると、これは一つの『技法』と言っても良いくらいです。不定調性的な立体和声進行ですね。裏にいったり表にいったり、ダイスが回転するように主音の概念がぐらぐら動くコード進行です。

 

6曲目"Polly"
パターン1
Esus4 G |D C B |

パターン2
D C |G Bb |

この曲も一貫しています。ここでのsus4も三度ではなく四度を鳴らしているというだけで、sus4としての効果を持っていません。不定調性でいうu4コードです。

わざと感情を隠して、見せるべきところを見せない、というようなこの進行感とでもいいましょうか。
パターン2もまるで心の中は嵐のように凄い風が吹いているのに、まったくそれを表面では表現できていない、ようななんとも云えない切なさと怒りみたいなものを感じます。


7曲目"Territorial Pissings"


パターン1
A |F |D |D |


これだけです。シンプルですね。
気張ったところがないし、孤独や迷いを隠すところもなく「すみません、これが限界です。」的な繊細さが同居していて、なんとも切ない感じが、日本人の侘び寂びに似たものも感じます。

このA-F-DはDが主和音だとすると、V-IIIb-Iになります。
A-Fにまた長三度(短六度)の移行が見られ、ニルヴァーナらしさ、というか、このアルバムらしさが出ています。

 

 

8曲目"Drain You"
パターン1
A C# |Gb B |
パターン2
E D |B |×4
他これに付随したキメがあります。

このアルバムの中では展開も示唆に富んで凝っています。

一小節に二つのコードをキメて演奏していく、のがパターンになっているようで、
これはさすがにここまで聴いてくると、バリエーションの限界を感じてしまいます。

まるで自分の人生に限界を感じるのと同じような、"突き破れそうにないと思わせてくる限界"です。


和声が作り出す感覚は「退廃的」でどうしようもないくらいルーズだから、これを弾いて、毎回歌うのも相当精神的にヘビーなのではないでしょうか?ましてや繊細な人物なら。
だから弾けば弾く程落ち込むわけで、これは良くないですよね。

まさに諸刃の剣。どうすればよいのでしょう。


そういう意味でオアシスやレディオヘッドは、その先のもっとアクティブな答えを見つけたのかもしれませんね。表面的には似ているようで全く違う音作り、音楽性ですが、そこは「ヴォーカリストがカート・コバーンじゃなかった」からなのでしょう。

 

これは音楽的クオリアの話です。その響きをどうとらえるか、が個人個人違うから違った音楽ができるのです。

ネヴァーマインド<デラックス・エディション>
その4に続く。

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