音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

Esus4M7(9);コード表記の間隙を突く。リヒャルト・シュトラウス 2つの歌曲★★★★

題材は、R.シュトラウス、2つの歌曲、You tubeにあるので、添付します。

Richard Strauss op 26 no 1, Frühlingsdränge; Martha Mödl, mezzo - YouTube

 

Richard Strauss - Frühlingsgedränge ('Spring Voices') Russell Malcolm - earlier version - YouTube


こういった歌曲をポピュラーの耳で聴くと、音高の響いた感じが異なるため、一聴してもなかなか最初は捉えられないかもしれませんが、楽譜を丁寧に弾いていけば、かつコード概念で弾くことで結構分かると思います。


 

 

「 春の賑わい 」
レーナウの詩による2つの歌曲 Op.26より

Frühlingsgedränge
from Zwei Lieder nach Nicolaus Lenau

Richard Strauss

楽譜はこちら

2 Lieder, Op.26 (Strauss, Richard) - IMSLP/Petrucci Music Library: Free Public Domain Sheet Music

ページ内の「complete score」のいずれかをクリックしてダウンロード下さい。


歌詞については素晴らしいサイトがありましたのでご紹介させてください。

シュトラウス,リヒャルト Frühlingsgedränge


これを見ると、この曲が春、愛、まどろみ、といった事を歌っているのだ、と分かります。

===== 

コード弾きでも分かるように、この曲の展開を簡素化してみよう。

 

E△ |

E△ |E△ |C#△ |C#△ |G#m7 |G#m7 |C#7 |F#7 |

G△ |G△ D#dim7 |Em |Edim7 |G△ |G#dim7 |Am7 |FM7 |

F#7(b9) | F#7 |

B△ AM7 |% |% |% |E△ |% |C#aug |F#m7 |
F#m7 |% |A△ |% |B7|B7 Bbdim7 |

E△ | = |E△ |= |=| = |AM7 |= |B7 |= |

C#m7 |G#m7 |= |F#m7 | = |B7 |% |Esus4 |% |E△ |

E△ |E△ |E△ |E△ |

※「=」の小節は、伴奏が全休符の場所です。

下記は、より原曲の音を拾ってコード表記化したものです。
======
<イントロ> E△(6,9)

E△(6.9)
Frühlingskinder im bunten Gedränge,
色とりどりにひしめき合う春の子供たちや
C#△(6,9)
Flatternde Blüthen,duftende Hauche,
揺らめく花々、匂い立つ吐息が
EM7/B EM7(#11) G#m9 (?)
Schmachtende,jubelnde Liebesgesänge
思い焦がれ、喜びあふれる愛の歌たちが
C#7sus4 C#7 F#7(9) A7 Eb7
Stürzen an's Herz mir aus jedem Strau---------che.
私の胸へと押し寄せる あらゆる茂みの中から


G△(6.9) Am7/G G△ D#dim7
Frühlingskinder mein Herz um----schwär--men,
春の子供たちは私の胸にまとわりつき
Em(9) Edim7 A7 Edim7
Flüstern hinein mit schmeichelnden Worten,
心地よい言葉でささやきかけ
G△(6,9) E7(9) E7(b9) Fdim7
Rufen hinein mit trunk--enem Lär----men,
酔いしれた響きで呼びかけ
Am7 FM7 FM7(6) F#7(b9) F#7
Rütteln an längst versch--lossenen Pforten.
ずっと閉ざされていた扉を揺すぶるのだ

 

B△ AM7 B△ AM7
Frühlingskin--der, mein Herz um--ringend,
春の子供たちよ、私の胸を取り巻いて
B△ AM7 B△ A△
Was doch sucht ihr da----rin so dring--end?
そんなにあわてて何を探しているんだ?
E△(6,9) C#7 C#7(b13) F#m(9)
Hab' ich's verrathen euch jüngst im Traume,
私はうっかり教えてしまったのか つい最近夢の中で
Ebm7(b5) F#m(9)
Schlummernd unter dem Blüthenbaume?
花咲く木々の下でまどろんでいるときに?


A6 B7(6) B7 Bbdim
Brachten euch Morgenwinde die Sa---ge,
朝の風がお前たちに運んだのか、その噂を
E△/G# EM7
Dassich im Her-----------------zen eingeschlossen.
私が胸の中に閉じ込めているという
AM7(13) B7(9)
Euren lieblichen Spielge-----nossen,
お前たちの親しい遊び仲間のことを
AM7/C# G#m F#m B7 Esus4M7(9) E△
Heim-----lich und selig - ihr Bildniß tra--------------ge?
ひそかにそして幸せに-彼女の姿を抱いていることを?

<アウトロ>
E△  |E△  |E△  |E△  |

======

 

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E△ |
イントロは一小節だけなんですね。
(※△=長三和音の意)

E△ |E△ |C#△ |C#△ |G#m7 |G#m7 |C#7 |F#7 |
いきなりI△→VI△


ふわっと浮かせて、雲間から太陽が射すような、がらりと変わる春の天気のような雰囲気を冒頭から与えてくれます。ここだけで「春の感じ」に納得できます。

 

そのあとこの曲はIIIm7=G#m7に向かい、C#7-F#7とドミナントを連発し、調が曖昧になります。
このF#7の小節をもっと細かく見ると、
F#7-Bb7(b5)-A7-Eb7omit3
となっています。激しいですね。長三度上がって、半音下がって、裏コードへ。でも次はD系のコードではなくGです。

 

G△ |G△ D#dim7 |Em |Edim7 |G△ |G#dim7 |Am7 |FM7 |
テンションも冒頭と同じ6th、9thが乗っていて伴奏型も良く似ています。この転調がまたゾクゾクしますね。短三度上への転調は、ジャズでも多用されます。

 

歌詞のセクションの変化で、調も変えているのかもしれません。
D#dim7はジャズで言うB7(b9)ですから、続くEmへの陰りを予見させます。そのEは続くEdim7によってさらに陰ります。このEdim7=Gdim7でもあり、この翳りがG△になる事で、また明るさを取り戻します。

 

眠ったり起きたり、まさに春眠暁を覚えず、というような和声の明暗です。


続くG#dim7によってその雰囲気は翳りをみせます。

 

次のFM7はジャズでは禁則とされている、Am(b13)の響きです(マイナーコードにb13は乗せてはいけない)。独特の刺々しさを持っていますが、このまどろみの世界では,草原の土手に横向きになった自分の頬にささる草々の葉のような、淡い痛みを感じるようでした。

 

F#7(b9) | F#7 |
そして次のセクションに行く前に、ドミナントが示されます。b9の感じがとてもロマンティックに響きます。次のストーリーへの期待を持たせるかのようなサウンドです。

 

B△ AM7 |% |% |% |E△ |% |C#aug |F#m7 |
次にB△が中心となります。ここではB△に結びつくAM7が合いの手のようにくり返されます。まどろみの中で夢とうつつが忙しく妄想されるようです。

 

一瞬Bメジャーキーに行ったのかな?と感じましたが、B-AM7がE△のVとIVM7だとわかり、このセクションは最後のセクションの前の「大きく拡大されたドミナント」なのだ、と感じます。トニックに戻りたくなる潜在欲求が、どことなく潜在的な妄想のようなものを匂わせて、少々エロティックです。

 

そして主和音としたE△が現れ、次にまたC#系のコードヘの変化を見せ、IIm7であるF#m7に流れます。


F#m7 |% |A△ |% |B7|B7 Bbdim7 |
このF#m7からの流れは、A△-B7とつながりE△への帰結を明らかにします。
E△に結びつく前の、Bbdim7は構成音がEdim7でもあり、Edim7→E△という翳りから明るみへという展開がここでもまた現れています。

 

E△ | = |E△ |= |=| = |AM7 |= |B7 |= |
C#m7 |G#m7 |= |F#m7 | = |B7 |% |Esus4M7 |% |E△ |
E△ |E△ |E△ |E△ |
E△のダイアトニックコードの中に留まって穏やかな雰囲気の中で曲が締めくくられます。

 

Esus4の部分なのですが、原曲では、Esus4M7(9)というサウンドになっています。

この和音はとても美しいのです。

 

これをシュトラウスが使っている、というのを知るだけでも良いですね。

この和音、まさに「まどろみにまた落ちていくような雰囲気」。


まだ静寂が存在した当時、この和音は、静かな作曲部屋で、とても甘美に響いたのでしょうか?

 

そして実際に弾いてみてください。

下記で、チョー分かりやすく、メロとコードを打ち込んでいます。

リヒャルト・シュトラウス/「 春の賑わい 」Op.26-1 試作BGM化 - YouTube

 

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コード進行にしてみると、シュトラウスやべw----ww

コード進行なんてワンパターンで飽きるべ!!

ってなると思います。時々クラシックの曲見てみると面白いかもしれませんね。

 

こんな低次元で感じても感じられる、クラシック最高。