音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

チック・コリア "Spain"動画から~スケールだけでなくテンション・ポジションから即興を考える★★★

Chick Corea - Spain - Live At Montreux 2004 - YouTube

こちらの動画の詳細を解説させて頂きます。音楽はyoutube上で聴いて下さい。

まあ、そういうお題があったと思ってください。

私自身はアナライズとかとかそういうことはほとんどしませんが、一応講師なので。。。

 

0:00-1:25 アンコールとあいさつとセッティング。

これも商業音楽ですね。こういうときに粋なことが言える人は成功します。逆にこういうことをしたくない人は新しいビジネス音楽を立ち上げてみたほうが良いと思います。それもまたクリエイティブ。

   

1:25-2:04  チック・コリア Bハーモニックマイナー的なアドリブイントロ(導入;呼び込み:喚起;慣習への合図~注目させる効果)最後のスパニッシュなb5thがいいですね。f音=1:58あたり。グッと沈み込ませる(集中させる)効果があります。

 

2:05-2:50 E・マリエンサルのF#フリジアンのソロ~最初はフリジアン的ですが、コリアが2:24にGM7を弾くことで、キーが生まれ、これがVIbM7の役割を果たし、Bマイナーキーが生まれます。コリアはここでもb5th=f音をスパイスとして入れてきます。

最後はBmに吸い寄せられモードもBエオリアンになります。

 

2:50-3:42  J・パティトゥッチのソロ。ここでもF#フリジアン的な香りからスタートします。終始音をf#にするようにメロディを組んでいく必要があります。そして同様にVIbM7のGM7によってキーが生まれ、Bマイナーに落ち着きます。

 

3:43-4:04 再びチック・コリア。

A    |GM7   |Bm7   |をボーダーレスに二回繰り返します。

 

4:05-4:28 引き続きチック・コリア。

再びF#フリジアン的な雰囲気に戻ります。F#7と混ぜるようにして弾いてます。

F#ハーモニックマイナーP5↓をベースにクロマチックに崩したりしてます。 

4:22で一回Bmに戻ります。その手前でF#7のテンションコードらしき濁った響きが鳴ります。そしてフィルターをいじる。

 

4:28~6:08 Spainのメインテーマです。これはもう市販の譜面を買ってください。

www.jazzguitarstyle.com

素敵なサイトがありました。基本アナライズは上記などをご参考ください。

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ここからはとりあえず読んでください、としか言いようがない情報量です。

音楽家って凄いと思いませんか?これを言葉使わずに音だけでかつ即興的に表現していて意味を与えていくわけですから。

書いてみて、わかりつらくなったなぁ、という印象なのですが、これらが自分なりになんとなく分かればジャズ理論の中級が修了なのではないか、と感じます。

ちなみに上級は、ホーンアレンジや、ソロ曲への編曲といった、個別の高い知識が要求されるものになると思います。

どうぞ宜しくお願い致します。

 

6:08-6:54 皆で見まわしていきなり御大バンマスソロ。

GM7    |GM7    |GM7    |GM7    |

F#7     |F#7     |F#7     |F#7     |

Em7   |Em7   |A7   |A7   |

DM7  |DM7  |GM7  |GM7  |

C#7    |C#7   |F#7   |F#7   |

Bm7    |Bm7   |B7   |B7   |として

 

(下記やってることの小節振り分けはだいたい...です) 

(1コーラス)

GLydian    |     |   |   |

F#ホールトーン     |   |F#オルタードドミナント風     |    |

Em7=コードトーン+9th   |   |Eb7コードトーン+9=裏コード |   |

DM7コードトーン(6th→5thへのダブルクロマチックアプローチ)    |   |

GM7コードトーン+#11+同様に9th→rootへのダブルクロマチックアプローチ  |   |

C#7の4thからの半音階的装飾音とコードトーン    |   |

F#7=root音から半音下降でM3まで#11thをフックに   |   |

Bメロディックマイナー   |   |Bオルタードドミナント的   |   |

(2コーラス) 

Em7コードトーン崩し的    |    |    |F#オルタード又はコンディミ(フリジアン#3とコンディミ手癖が混じった感じ=F#7を先取り   |

F#フリジアン#3とF#コンディミ、b9,13など     |     |     |     |

Em7(9)コードトーン  |   |A7のM3rd~Aミクソリディアン7(#11)的なクロマチックを挟んだ下降=スケールではないコードトーンを埋めている感じで   |   |

DM7コードトーン  |  |Eb7(13)  D7(13) |  |

C7(13)    |   |B7(13)   | |

Bb7(13)    |   |Gb7またはB7の#9から三度でのオルタード的ハモリ   |   |

最後は解釈の違いがあると思います。聞いた感じの解釈と自分に合うコードに脳内変換してます。一度これで弾いてみてください。

 

6:54-7:38ギャンバレのソロ。

(1コーラス)

|   |    |Glydian   |    |

GlydF#7コードトーン  |    |    |     |

Em7(9.11)コードトーン   |   |A#dim7コードトーン   |  |

Dメジャーペンタ  |  |GM7(#11) コードトーン |  |

C#7(b9)コードトーンシークエンス    |   |F#7(b13)コードトーンシークエンス   |   |

Bm7(9)コードトーンシークエンス    |Bm7   |B7コードトーン   |   | 

(2コーラス) 

GLydian    |   |   |   |

F#alterd dominat     |   |    |    |

Em7(9)コードトーン   |   |A#dim7(コンディミアルペジオ下降)   |   |

DM7コードトーン |  |Glydian  | |

C#7(#9)コードトーン    |   |F#7→F#7(b5)コードトーン   |   |

Bマイナーペンタ+5th    |   |B7コードトーン   |   |

 

7:39-8:23マリエンサルのソロ

(1コーラス)

Glydian    |   |   |   |

F#7(#9)コードトーンまたはフリジアン#3     |   |   |    |

Bナチュラルマイナー(またはBマイナーペンタ)   |   |  |   |

Bナチュラルマイナー(またはBマイナーペンタ)   |   |  |   |

Bマイナーペンタトニック  |   |Bマイナーペンタトニック+b5th  |   |

Bマイナーペンタトニック  |   |Bマイナーペンタトニック +M3rd   |   |

(2コーラス) 

Bナチュラルマイナー  |   |   |   |

Bハーモニックマイナー   |   |  |   |

注)本来Gリディアン、F#ハーモニックマイナーb5thなどと書くべきですが、演奏を聞いて頂ければわかるとおり、演奏音の重心はモーダルセンターにはありません。つまり

「モード名で解釈してはいけないようなニュアンスを持つソロ」がもっとたくさん存在することを学習時にしておきましょう。

Bナチュラルマイナー&装飾音を含む上行するシークエンス | |  |  |

Bナチュラルマイナー&装飾音を含む上行するシークエンス(続き) | |  |  |

Bナチュラルマイナー+C#7(9)コードトーン    |  |F#7(b9,b13)コードトーン   |  |

Bマイナーペンタ+9th    |  |B7(b9,b13)コードトーン(バップリック)  |   |として

 

8:24-9:07 パティトゥッチのソロ

(1コーラス)

Bマイナーペンタトニック    |    |    |    |

F#7(b13)コードトーン     |    |    |    |

Em7(9)コードトーン   |   |A7(b9)コードトーン+6→5thアプローチ   |   |

Bm7(9)コードトーンまたはペンタトニック+9th的 | |  |  |

C#7の7thからクロマチック下降~オルタードドミナント 的リック   |   |F#ホールトーンン的?  |   |

Bm7(9)コードトーン的(Bマイナーペンタ内)   |   |B7(b9)コードトーン的  |  |

(2コーラス) 

GM7(13)コードトーン周辺シークエンス |    |   |    |

F#7のM7thなども含まれる即興的駆けあがり(スケール不明=断定振り分けできず、ほとばしり感あり)   |  |  |   |

Bマイナーペンタトニック内   |   |Em7アルペジオ的   |A7オルタード(b9,b13を含むバップリック的)   |

※F#7で一瞬四拍見失って、Em7がずれた感じにも見えます(またはわざと自分から放棄して解放されたか)。ピアノの和音感が戻って次のA7で戻した(戻ってやった)、という感じがまたスリリングですね。それゆえに次のDM7とGM7がコードトーンで「確認している」感じがリアルです。真偽はともかくこういうのはよくある事なので、それも含めてアドリブの面白さであることがアナライズできる音楽理論であってほしいです。

DM7コードトーン  |  |GM7コードトーン  |  |

コードトーンを支点にしたクロマチック下降   |  |  |   |  |  |   |  |

※戻ったから安心(戻ってやったよ!感、笑)、というような開放感を感じる締めくくりにも感じられて素晴らしい。

   

9:08-10:14  ウェックルのソロ

(1コーラス) コリアのコードから

G(6,9)   |   |   |   |

F#7(b13)    |  |   |    |

Em7   |  |A7sus4(9)   |  |

DM79)  | |G(6,9)  | |

C#7(b9)  | |F#7(b13)  |  |

Bm7(11)    |  |B7(b13)   |  |

(2コーラス) (3コーラス)も同様。

二種類のシークエンスフレーズでドラムソロの流れにストーリー感を作っています

 

10:15- チック・コリアinterlude

(1コーラス)

GM7のコードトーンへのダブルリゾルブフレーズ   |  |  |   |

F#7オルタードドミナントとコンディミが混ざったような | | |   |

Em7コードトーンまたはEドリアン  |  |A7オルタードドミナント的   | |

フリーにクロマチック的に上行/C#  /D  /D#  /E  /F  F#  | | | |

※意図は分かりませんが、最終的にC#7の5thに流れます。コリア独自のII7への流れを同曲で確立していると思いますので、他の動画もチェックして癖を掴んでみてください。

C#7(b9)コードトーン+オルタードテンション    | |F#7(#9,b13)系バップリック的な流れ   |  |

Bm7コードトーン+5thへのクロマチックダブルリゾルブがスパニッシュ!    |  |B7(#9)  |  |として

 

 (2コーラス) 

GM7(13)  |  |  |   |

F#7(b13) |   |  |  |

Em7(9) #4→5th  |  |  |  |

DM7(9)  | | | |

Em7/C#またはG5/C#~C#7とF#7双方のUSTと捉えると面白い  |  |  |  |

Bm7(13)  | |  |  |

 

 (3コーラス) 

GM7(9)+m7→M7へのクロマチックアプローチ   |  | |  |

F#7(#9)+M7→rootへのクロマチックアプローチ  | |  |  |

Em7(9)+b9→9thへのクロマチックアプローチ   | | | |

DM7(9)  | | | |

C#7(b5,b9,#9) オルタードテンションで作るフレーズ   |   |  |  |

Bm7(9,11)  | |  |  |

 

 (4コーラス) 

GM7+m3→M3へのクロマチックアプローチ   |  | |  |

F#7(#9)+m3→M3へのクロマチックアプローチ  | |  |  |

Em7(9,11)   | | | |

DM7(11)通常のアイオニアンモード的  | | | |

C#7(b5,b9,#9) オルタードテンションで作るフレーズ   |   |  |  |

Bm7(b6)エオリアン的  | |  |  |

 

(5コーラス) 

GM7  |  | |  |

F#7(b9)  | |  |  |

Em7(9)   | | | |

Dのアイオニアンモード的  | | | |

C#コンビネーションオブディミニッシュ  |   |  |  |

ここで、コリアがC#7ではコンディミだったのかぁ!!!!という気付きがある。

これで先の「フリーにクロマチック的に上行/C#  /D  /D#  /E  /F  F#  | | | |」と書いたところも、コンディミが頭にあった上でゆらゆらと上がってるのかな??みたいなイメージも沸きます。

Bm7(9)エオリアン的  | |  |  |

 

(6コーラス) 

Gリディアン的  |  | |  |

F#ミクソリディアンb9的  | |  |  |

わぁー13ナチュラルかよ!!!光線ですね。今日一。アルマンド先生得意顔!

ここでもコンディミなのかな??

Eドリアン的   | | | |

DM7、恐らくb5→5thへのアプローチなので、リディアンではない、とここでは考えるぐらいに学習者はニュアンスを区別できるようになって欲しい。  | | | |

C#7コンビネーションオブディミニッシュ的、これもm7→M13のプロ―知的でもありますね。  |   |  |  |

Bm7(9)  | |  |  |

 

(7コーラス) 

GM7(13)元のフレーズに戻ります |  | |  |

F#7フリジアンM3的,b13,11  | |  |  |

Em7(9)   | | | |

Dアイオニアン的  | | | |

C#7テーマに戻るフック  |   |F#7  |  |

Bm7(9)  | |  |  |

 

12:53~テーマ戻りエンディングまで。最後にお客さんにテーマを歌わせる暴挙が最高。

ラストのかき混ぜ部分は、

A7   |A#dim7   |Bm7  ||

 

お客さんとシーケンスフレーズを駆使して7コーラスのソロは圧巻ですし気持ちが良いですね。演奏する側のエンターテインメント意識もさることながら、b9が歌えるお客さんが集まっていることが条件(笑)。

 

不定調性やっちゃうと、こうしたアナライズを一切しなくなってしまう(瞬間的に判断できるようにする脳回路を鍛えるからです)ので、学習期のうちにぜひトライしてみてください。

 

 

コリア先生のシークエンスフレーズは、オルタードテンションなどを用いていかに音楽的脈絡を作っていく良い例題と思いますので参考にしてみてください。

 

 

また実際の演奏は、ミスも予定調和も完全即興もなんでもありです。

何が相手から繰り出されるか分かりません。またソロにしても、きっちりスケールを弾くという伝統は、70年以降の話なので、それまでは

コードトーン+その他の音の組み合わせ

または

コードトーン+楽器の周辺ポジションの組み合わせ

で出来ていることを知りましょう。

つまり、「スケールに合っていればなんでもいい」というわけではありません。

ギターで言うなら、いきなり低いほうを弾いていたのに、急に高い方に1音だけ飛んで戻ってきて「スケール内の音だからいいだろう」というような80年代解釈に飛びつく前に、スウィングやビ・バップなどの音遣いを十分に身に着けた上で(そんなに高速に弾けなくても良いです)、コンテンポラリー、不定調性の方に向かっていってください。

 

ここでは、じゃあどう弾くかまで示せませんが、バップリックを10個ほど覚えて弾けるようになったら色々な動画を見ながら、「ああ、指の届くところでまずはソロを作っていけばいいのか」と思ってくれたらよいです。個性がほしい人は、結局自分の思考と練習方法と指癖が個性そのものになっていくのだ、ということが分かります。そしてちゃんと伝統を引き継ぎたければ、やはり誰か伝統を引き継いでいる人の門をたたき、徹底的に「個」が入らないように訓練しなければならない、ということが分かります。

 

 

以上お疲れ様でした笑。 

(参考)

Chick Corea Plays "Spain" (Tutorial with Overhead Camera and Transcription) - YouTube