音楽教室運営奮闘記

音楽と教育と経営の雑記ブログ~不定調性論からの展開

ドアをあけたら あなたの靴と誰かの赤い靴~ユーミン歌詞・コード考22

ユーミンの不定調性コード進行研究

ユーミン歌詞・コード考 / アルバム「OLIVE」2

 

以前まとめたブログ記事を現在の不定調性考を用いてリライトいきます。レポートの語調が"である調"なので一部引用部分の表現はご容赦くださいませ。

各種レポートはM-Bankにお問い合わせいただければPDF似て無償で配布しております。宜しくお願い致します(日本音楽理論研究会にて発表も行いました)。

 

4,最後の春休み

 

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"因縁文"、的。と個人的には呼んでいます。

 

ああ、今日は嫌なことがあったなぁ、ああ、だから今日のこんなどしゃ降りの雨なのかなぁ。

 

みたいなかんじで、二つの本来全く関係のない事柄を二つ関係があるように並べる、というものです。音楽の場合は簡単です。

 

G7→C

 

という、本来この二つの音の物理現象は、全く何の関係もありません。
でも数理と調と、慣習的経験から、つなげて意味を持たせる、ということを音楽人は普通にできます。それを作詞に応用するわけですね。

 

これも結構使える技法だと思います。

全体がなんとなくできたら、こうしたテクニックを一か所入れるだけで、歌詞全体が印象的になります。

いくつも技巧的になる必要はありません。

 

この歌は、「卒業写真」の前段階、みたいに位置づけたら、勝手ですけど、なんかいろいろリンクしてきそうですね。

 

5,甘い予感

 

伝聞歌詞、ですね。いわゆる伝説を語る歌の系統です。

 

これも一つテクニックです。


よく「今朝の新聞の記事に」とか「雑誌で見た」とか「夏の映画で」とか、そういう作詞家の外からやってきた知識、というのが何かの暗示のように、その人の今に照合される、という歌詞テクニックです。

 

テクニックテクニックというと聞こえがあまり良くありませんが、もはやユーミンがやってしまったので、テクニックというしかありません。真似になってしまうからですね。


こうした歌詞の手法を、活用して皆さんの表現を作ってください!

 

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6,帰愁
 

皆が経験するあたりまえの感情だけど、歌詞にするのは難しいと思います。

 

人間としての願望を歌。

 

的確にツボを押さえてくるユーミン感覚を堪能しましょう。将棋やってて凄い手を毎回打たれた時の気分笑。自分の盲点とか、全てその一手で教えられる。

 

 

7,冷たい雨

 

この歌も雨とけんかと赤い靴が「因縁文」になっていると思います。

 

けんかして家を飛び出して、戻ってきたら、別の女の赤い靴。赤って言うのが強烈ですよね。

 

"おい、おい何だよ、この色の靴!"

 

ふつうそれを見たら、誰でもそう思うでしょう。その強烈な体験感をこうしてさらっと歌詞にすることで、ローキックのように後後効いてきます。

 

それに駄目押しの冷たい雨、凹む経験のデパート。

 

でもこれもストーリーの割に、軽いシャッフルビートの明るいコミカルな曲になっています。

 

このような感覚が、死をふっと歌にできるユーミンの昇華感覚なのかもしれませんね。
死についての歌があれほど軽いのですから、これだけ凹む歌でも、このくらいの軽さになっていくのかもしれません。

 

でもふっと聴き終わると、そういう凹む出来事もいずれ時間が解決してくれて、軽い存在になっていく、薄れていく、そういう先の主人公の心を想定したような感じにも聴こえますし、ソウルソングの伝統のように、黒人達の葬列のステップのように、"昇華"の早さ、がユーミンソングの特徴なのかもしれませんね。

 

そういう意味でも"ひこうき雲"みたいな歌も、そうした昇華力が、あの清々しさとなり、魅力を放ち続けるのかもしれません。

 

ユーミンの死についての価値観は、そうした悲劇や喪失感のちょっと先にある感情や人の心の状態を曲調にしているのかもしれません。

そこには共感というより、「憧れ」を感じさせてくれます。

これをポジショントークとみるか、魅力とみるか、そういうことだけでも生き方って変わるんじゃないかなぁ、と思います。

 

OLIVE 

 

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